◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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2521さん代打 ◆oOfl/2go
夕方が近付いていた。
街中にあるスポーツジムで、小原は一人、佇んでいる。
「PRIDEに出たい……」
彼はそう呟いた。
新日に所属したままPRIDEに出場したのは、カシンだけだった。
カシンにはアマレスでの実績があったが、小原には大した実績がなかった。
先日やっと安田との格闘技戦を組んでもらえた程度だ。
でも、やっぱりPRIDEに出たい。
所詮安田戦は気休めでしかない。
「俺にはこれしか無い。俺の未来は、PRIDEと共にあるんだ」
小原は、床に無造作に放られたオープンフィンガーグローブに手を伸ばした。
そしておもむろに両手にはめる。
天井から吊るされたサンドバックを無心で叩き続けた。
体に染み付いた腕の動きは、流麗に乾いた音をを奏でて行く。
そして、ひとしきり叩き終わったその時――
パチパチパチ……
小さな拍手が聴こえた。
「誰だ!?」
小原は慌てて振り返る。
ジムの奥には、藤田が一人、佇んでいた。