◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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181お前名無しだろ
カシンは動揺していた。
村上を殺す事が、自分の役目だと信じていた。
そして村上本人も、それを希望している。
躊躇する理由など無い筈なのに、踏み出せない自分がそこに居る。
天山広吉を撃つ事は出来たのに、どうして村上は殺せないのか?……
「石澤さん……怖いんだね。きっとそれは、銃と刃物の違いだよ。
 銃は所詮、弾の反動しか手元に返ってこない。でも刃物は違う。
 相手の感触が直に伝わるから、命を奪う感覚が直に伝わるから……怖いんだ。
 それを解って欲しいんだ。新日で唯一、俺にやさしく接してくれた
 石澤さんに生き残ってもらいたい、だから……」
村上はそう言うと、刀の切っ先を自分の喉元に当てた。
カシンは俯き、大粒の涙をこぼす。
「……じゃあな、一成……」
そしてカシンは、刀を握る手に力を込めた。
天山の時には感じなかった嫌な感覚が、掌に伝わって来る。
路上に拡がる血溜まりを見ながら、カシンは泣き崩れた。