◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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18お前名無しだろ
ピピピピピピピピ……
警告音の間隔が短くなってゆく。
悪魔のカウントダウンに、静かだった教室が再びざわつき始めた。
しかし、当の小嶋本人は、まだこの危機的状況に気付いていなかった。
「みんな起きているのかよ!うるせえよ時計……誰かとめろよな!プロレスが一番面白いんだよ!」
永田はパニック寸前だった。
親友の命が、あと数秒で消えてしまうかもしれない。
しかし、自分にはそれを止める術が無い。 「小嶋……小嶋ぁ……」
永田は、とっさに小嶋の両手を強く握った。 涙がこぼれ落ちて、止まらない。
その涙が、小嶋の頬へと落ちて行く。「ずっと……ずっと、友達だよ……」
まだ通常の判断力が戻っていない小嶋には、何故夕子永田が泣いているのか、解らなかった。
しかし、「友達だよ」という言葉だけは、はっきりと聞こえた。
「おい、なに言ってんだ!俺とお前はずっと親友だぜ!」
小嶋は、いつものように微笑んだ。 その直後――
ぱんっ、という音とともに、小嶋の側頭部が弾けた。
永田の顔が返り血を浴び、真っ赤に染まる。
瞬間、教室中が再び悲鳴に包まれた。
人の命が奪われた瞬間を目撃した以上、それは藤波の時とは比較にならない状況だった。
「お前ら!静かにしないか!」
猪木の忠告も、もはや届かない。
ある者は泣き叫び、ある者は気を失い、ある者は何度も嘔吐を繰り返した。
そんな混沌とした中、永田は小嶋の手を握ったまま、動かなかった。
いや、動けなかった。
呆然としたまま握っている小嶋の手には、まだ、温もりが残っていた。
「まだあったかいぜ、小嶋……」