◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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178お前名無しだろ
村上が楽しい記憶に浸っていたのは、ほんの数十秒間だった。
そして再び気付いた時、村上の眼前には、刀の切っ先と、それを構えるカシンの姿があった。
「形勢逆転だな、一成……」
「ああ、そうみたいだな……」
村上は微笑んだ。そして次の瞬間、意外な言葉を口にした。
「なあ、石澤さん……このまま、とどめを刺してくれないか?」
カシンの手が、一瞬、震える。
「え?な、何言ってるんだよ。俺はそのつもりで、こうしているんじゃないか……今更、何を……」
「……そうだよな。殺し合い、だもんな」
「でも、どうしてだ……さっきは『俺だって、死にたくない』って言ってたくせに……」
カシンの問いに、村上は淡々と答える。
「……もうこれ以上、このキャラを続けたくないんだ」
「キャラ?」
「そう。俺は今まで『平成のテロリスト』とか『UFOの核弾頭』とか、色々と言われ続けてきた。
 良い意味でも、悪い意味でも……露骨に嫌う人も、多かった。
 レスラーのキャラって言えば、それまでだけど……偏見に満ちた目で俺を見る人は、
 結構多かったんだ。 石澤さんは知っているよな……俺の本当の性格……
 もし万一、このプログラムで生き残ったとして……
 やっぱり、俺を『人殺し』って言う人は、他のレスラーより多いと思う。そういうキャラだからね。
 ……これ以上、親に迷惑を掛けたくないんだ。だから……頼むよ」