◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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171お前名無しだろ
村上のその言葉が、カシンの胸を締め付ける。
「一成……お前は馬鹿だ。大馬鹿だよ……」
カシンのマスクが、涙でぬれる。
「そんな……余計な心配しなければ……死なずにすんだのに!」
カシンは左手で刀を払いのけると、右手でポケットから何かを取り出し、村上に押し当てた。
途端、村上の全身に凄まじい衝撃が走る。
刀が手から離れ、立っていられない程の脱力感が、全身を襲う。
「そうか、電気、か……」
意識が朦朧とする中、村上はカシンの右手に握られた武器を見た。
それは、本来高岩竜一に支給された筈のスタンガンだった。
カシンはもう一度、村上に電撃を仕掛ける。
火花を散らす電流を見ながら、村上は、いつかの夏の日を想い出していた。
「電気……雷……あの日……」

それは、猪木さんと小川さんと一緒にパラオの海に行った日のことだった。
小川さんと沖の島まで二人で泳ぎ、いざ帰ろうとした時に、雷雨に見舞われた。
雷が大嫌いな村上は、怖さのあまり、思わず小川に抱きついてしまう。
(今思うと、かなり恥ずかしいよな……でも、楽しかったな……)