◇◆★新日バトルロワイヤル★◆◇

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1お前名無しだろ
一瞬、慣れ親しんだ道場ではないと西村修は錯覚した。
もちろん、その部屋はいつもの新日本の道場であったのだけれど、
何かがおかしかった。何かが違っている。
すぐに、西村修はその原因に気づいた。窓の外で、すでに日が暮れようとしている。
さっきまで練習中であったはずなのに・・・
西村修は、辺りをそろそろと見回した。道場内で見かけたことのあるプロレスラーたちが、
先ほどまでの西村修と同じように机に伏して眠っている。
そのなかには、西村修の親友でもある天山広吉の姿もあった。
俺、どうしたんだろう? 西村修がそう思ったとき、道場内に大きな音がした。
皆、眠りから覚めたばかりらしく、西村修と同様に周囲を見回している。
一体、何が起きたのだろう?何故俺達は、ここに居るのだろう?
誰もが困惑と不安を隠しきれずにいた。
「おい!エーー、西村さん……何が、どうなってるだエー?俺、怖い……怖いよ……」
天山は、目に涙を溜めて不安を訴えた。
西村修は「大丈夫だよ」と言ってあげたかったが、出来なかった。
自分自身、現状が怖くてたまらなかった。
そう、嫌な予感がする。
何度もニュースで聞いた、『あれ』の状況によく似ている……
突然、施錠されていた教室の扉が、開いた。
そして、銃を携えた兵隊の様な連中が十数人、入って来る。
兵士達は黒板の前に整列すると、銃をプロレスラー達に向け、構えた。
いつでも発砲できる体勢だ。
まさか……
コツ、コツ、と、兵士達とは違う、軽い足音が聞こえた。