紅夜叉は利用された!

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後楽園ホール。全試合終了後、プロレス記者は北斗晶を囲んだ。
FMWとの試合を経験している彼女が今後の対抗戦をどう見ているのか、と。
やはり土屋・前泊には興味がありますか?と聞く記者連中に北斗は一気にまくし立てた。
「ああ?あんなチンピラ共じゃなくてもっと他にいるだろーが! ちくしょう!
 クズ共のてっぺんで踏ん反り返ってるヤロウだよ、なに勘違いしてやがんだ!
 長与だぁ?いつまで寝ぼけた事言ってんだよ、女子プロ最強?ふざけんな!」
話しの内容から北斗の怒りの対象がLLPWの神取忍である事は明白だった。
しかし神取の全女に対するコメントなどまだ誰も聞いた事など無かった。
随分怒ってるネェ、と傍で試合を終えたばかりの堀田が声をかけた。
「そりゃ怒るよ、あの馬鹿が! プロレス愛してない奴に最強なんて言わせねぇよ!」
    「これは神取選手に対する挑戦と受け取って良いんですね?」
「なんでアタシがあんなのに挑戦しなくちゃいけねぇんだ!ふざけるなよ、お前」
北斗の怒りに動揺する記者達の後ろで、宍倉は薄ら笑いを浮かべ腕組をしていた。
・・・良いぞ北斗、もっと怒れ・・・宍倉はダメ押しの言葉を吐いた。
    「神取は長与でさえ対決を熱望した実力者ですが? 勝てる自信は?」
北斗が長与を嫌ってるのは知ってる。北斗を煽るのは簡単な事であった。
「ふざけるな!長与なんてとっくに越えちまってるんだよ!コッチは!
 潰れそうな団体でもチケット代くらいあるだろ? 見に来いよ、バカヤロウ!
 コッチはプロレス愛してるんだよ! 心のプロレスってものを見せてやるよ!」