村上春樹風にプロレスを語るスレッド

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186お前名無しだろ:2007/02/13(火) 20:59:07 ID:Hr6B975a0
みのるの好物はあげたての唐揚げである。
彼はそれを深い丼に何個か重ね、その上にマヨネーズを注ぎかける。
船木が初めてみのるの家を訪れた時、彼は五月のやわらかな日ざしの下に
テーブルを持ち出して、その不気味な食物を胃の中に流しこんでいる最中だった。
187お前名無しだろ:2007/02/14(水) 13:57:50 ID:KVGsqbANO
僕は、かつてファンが暴徒となって押し寄せた
今はなきある国技館の跡地にいた。
黄昏は突然に訪れ、気がついたとき
僕とアゴ男のふたりだけがその場に取り残されていた。
「どうして、あのとき舌をだしてたんだい?」
僕は、アゴ男に訊いた。
「・・・どうしてって、そりゃ、舌でなくても良かったのかって君は思うの
かい?」
アゴ男は答えた。
「舌を出すってことは、・・・」
アゴ男は続けた「うん、たぶん舌でなくても良かったって思う、今となって
は(今となっては)でも、あの時はしかたがなかったんだ、ピーターの野郎
が・・・。」
「ピーターがどうかしたのかい?」僕は訊いた。
「今となってはもう言い訳はしないよ。あの時僕が舌をだして気絶したふり
をしてたってのはもうみんなが知っていることだし・・・。・・もう言い訳
はしない。」
「やれやれ」
家の冷蔵庫にある1ダースのビール缶を思い出して僕は溜め息をついた。

188お前名無しだろ:2007/02/15(木) 18:22:04 ID:U9j77Liq0
>>185
Uインターとの対抗戦までの永田さんならシリアス路線でも行けたのに、、。
どこで彼のプロレス人生が狂ったのか。
189お前名無しだろ:2007/02/15(木) 23:51:20 ID:fujGNS/50
決定的なのはミルコ戦の半笑いだな。
190お前名無しだろ:2007/02/17(土) 09:09:02 ID:RhIqb7gn0
「アントニオ猪木?」
「そういう名前のおっさんがいるんだよ。新日道場のリングサイドの
ポスターになってるおっさんだよ。アゴが出ていて、赤いタオルを首から
かけていて・・・知らない?」
「申し訳ありませんが、ナガタはその方を知らないと思います。」
「そうか、アントオ猪木を知らねえんだ。今どきめずらしいねえ。
でもまあいいや。もっともそのおっさん自体は抽象概念なんだよ。人でもなく、神でもなく、仏でもない。ただの銭ゲバなんだ。ただし抽象概念だからかたちはない。でも何か外見が必要だから、たまたまそういう格好をしてるんだ。」
ナガタさんは困った顔をして、手のひらで、ブサイクな顔を
ゴシゴシとこすった。

191お前名無しだろ:2007/02/17(土) 17:25:47 ID:RhIqb7gn0
「探しものがうまく見つからないときには、人は熟睡できないものだよ、イノキちゃん。」
猪木さんはぽかんと口を開けて相手の顔を見つめた。
「探しもの?なあおじさん、なんで俺が探しものをしてるってわかるんだい?」
「ちゃんとアゴに書いてあるもの。イノキちゃんは根っから正直なひとなんだよ。そんなこと何もかも全部アゴに書いてある。見る人が見ればイノキちゃんの頭の中なんぞスカスカのへちまみたいなもんだ。」
192お前名無しだろ:2007/02/18(日) 15:49:06 ID:jylp5h4/0
「君はムラカミハルキの本を読んだことがあるかい?」
僕は中古のスバルについていた、時代遅れなラジオ・カセットのボリュームを絞りながら
>>190のねずみ男に尋ねた。
「君は」僕は続ける。
「彼の文体を模写する程度に、ムラカミハルキを読んじゃいない。>>190-191はただの作文だ」
>>190のねずみ男は何か言いかけて、ふと口をつぐむ。
そんなねずみ男を見ながら、僕はマルボロ・メンソールを一本取り出して火をつけ、
ため息と一緒に煙を吐き出す。
「やれやれ」。

193お前名無しだろ:2007/02/18(日) 16:17:49 ID:psUSKL0w0
猪木さんのやるカンガルーキックという
いささか時代遅れのようなネーミングのその技が僕は個人的に好きだった。
猪木さんほど見ている人の存在基盤を付け根から揺り動かしてしまうような、
そんなレスラーは他にいない、残念ながら。というべきなのだろう。おそらく。
194お前名無しだろ:2007/02/20(火) 00:26:46 ID:m3Tfn3g10
ニュージャパンの選手はイカしてる。
ファッションだって御機嫌さ。
永田さんのウエストポーチ、レガースの羽、
うん、ノックアウトだね。
中西学の奇妙な標準語、
ハートにグッときちゃうのさ。
長州のグッドタンニング、
君をうっとり暖めてくれる。

プライドの選手がみんな、
ニュージャパンの選手ならね、、、、。
195お前名無しだろ:2007/02/20(火) 00:36:18 ID:6ovtw0tN0
「ジサクジエンっていうのは、キミみたいな人の事をいうの?」
そう問いかける僕に、>>192は何か言いかけて、ふと口をつぐむ。
僕はため息の代わりに唾を吐き捨てる。
「やれやれだぜ」
196お前名無しだろ:2007/02/20(火) 15:37:06 ID:y6Hb8dN80
>>194
タンニングでコーヒーふいた。
197お前名無しだろ:2007/02/21(水) 01:32:17 ID:5o3ex8LHO
「ニュージャパンが僕らにもたらすイメージは、ひらたく言うと『とどかなさ』みたいな物なんだ」
「とどかなさ」
彼女は、熱いものを少しづつ飲みこむように、ゆっくりとその言葉を繰り返した。
彼女の目は何かを追っているようだった。例えばサイモンの独りよがりや、永田さんの微笑みのような形を持たない何かが僕と彼女の間にむくむくと割って入って来ているみたいだった。
「ニュージャパンについて君は何か知ってるのかい?」
「なぜそう思うのかしら?」
僕の問いに答えた彼女の顔から表情がどんどん無くなっていった。Uインター戦の最後の高田延彦のように。
198お前名無しだろ:2007/02/23(金) 00:28:25 ID:KnKys9Po0
家に帰る途中、ずっと口笛を吹いていた。それはどこかで聴いたことのある
メロディーだったが、題名はなかなか浮かんでこなかった。
ずっと昔の唄だ。僕は海岸通りに車を停め、暗い夜の海を眺めながら
なんとか曲名を思い出そうと努力してみた。
それは「パワーホール」だった。こんな歌詞だったと思う。

「長州〜リキリキ足が短い♪
       長州〜リキリキ腕も短い♪」


確かに良い時代だったのかもしれない。
199お前名無しだろ:2007/02/23(金) 09:12:00 ID:2pTMITAi0
>>198
破壊王の作詞だな。
200200:2007/02/23(金) 19:02:25 ID:RC0UzI2B0
200
201お前名無しだろ:2007/02/27(火) 13:16:01 ID:OKHXXk/r0
そもそも村上春樹の健康的な生活&スノッブな趣味は
ギミックなのかガチなのか。
202お前名無しだろ:2007/02/27(火) 20:36:38 ID:/YGoA8wU0
洗面器いっぱいくらいの野菜と、毎日のランニングはガチ。
そんなにみんな車を運転しなくていいじゃないか、と言いながら、
いつのまにか免許を取って日本でも運転してたのはヤオ。
安西水丸が美人だ美人だ言ってた奥さんがそこそこブサイクだったのはガチ。
203お前名無しだろ:2007/03/03(土) 21:13:08 ID:Awl8eR6J0
>>202
> 洗面器いっぱいくらいの野菜と、毎日のランニングはガチ。

ウォークマンを腕やら腰やらに付けてランニングしてたらしい。
もちろんカセットテープのヤツ。

今でこそ、ポータブル・オーディオは軽くて性能がいいから問題ないが
当時はかなり浮いた姿だったと思う。
204お前名無しだろ:2007/03/05(月) 11:20:45 ID:zAWo1jyl0
安西の似顔絵だけはガチ。
しかしさすがに村上も老けた。もう男の子じゃないって自分で言ってるし。
205お前名無しだろ:2007/03/06(火) 21:12:05 ID:7szgXwo90
「ねえ、社長」と橋本は言った。
「私、AMGに乗りたいの。いつか私のためにAMGを買ってくれる?」
「ああ、いいよ。いつかね」と藤波は言った。
「いつかって、いつ?」
「会社のお金がたまったらね。お金がたまったらそれでAMGを買おう」
「会社も貯金箱を持ってるの?」
「うん、大きいのを持ってるよ。リングくらい大きい奴を持ってるんだ。
それくらいお金をためないとAMGは買えないからね」
「会長にたのんだらAMGを買ってくれると思う?
会長はお金持ちなんでしょう?」
「そうだよ」と藤波は言った。
206お前名無しだろ:2007/03/06(火) 21:22:07 ID:7szgXwo90
「会長は野毛の道場くらい大きい貯金箱を持ってるんだ。お金もいっぱい
入っている。でも借金の返済が多すぎてなかなか中のお金を取り出す事ができないんだ」
橋本はそれについてしばらく一人で考えこんでいた。
「でも会長に一度訊ねてみていいかしら。AMGを買ってほしいって」
「そうだね、一度聞いてみるといいな。ひょっとしたら買ってくれるかもしれないね」
ドームの駐車場に着くまで藤波は橋本とAMGの話をしていた。
どんな色のAMGがほしいのか。AMGに乗ってどこに行きたいのか。
AMGの助手席に乗せるのは女房なのか。
橋本を駐車場からエレベーターに乗せると、藤波はまっすぐ猪木と佐山の待つ
部屋に向かった。
207お前名無しだろ:2007/03/06(火) 21:29:55 ID:7szgXwo90
橋本×小川のブックを聞いて、藤波は机に両手を載せ、目を閉じた。
藤波は自分の体の中にいるようには思えなかった。
藤波は自分の体がどこからか間に合わせに借りてきた一時的な入れものみたいに
感じられた。
橋本は今夜どうなってしまうんだろう、と藤波は思った。
藤波はできることなら橋本にすぐにでもAMGを買ってやりたかった。
いろんなものが消えうせてしまう前に。
なにもかもが損なわれて駄目になってしまう前に。
208お前名無しだろ:2007/03/06(火) 22:03:05 ID:Zw97PoP80
>>205->>207

オチがいいね。
209お前名無しだろ:2007/03/07(水) 14:05:16 ID:3bKXoePh0
実際には藤波はブック(というか不穏な空気)なんて全然知らなかったろうな。
さすがに東スポで結果を知ったってことはなかったろうけど。
210お前名無しだろ:2007/03/12(月) 01:27:24 ID:j1ddPK6I0
ハイホー!age

211お前名無しだろ:2007/03/13(火) 13:35:50 ID:R7/esmV90
「司馬遼太郎(他)風にプロレスを語るスレ」は落ちたというのに…っ!
212お前名無しだろ:2007/03/14(水) 21:14:32 ID:SZqNlRts0
ゴングが廃刊に追い込まれたあとでも、竹内さんは僕らに向けて記事を書いてきて、それは日本スポーツ出版の会社内での問題であり、
ゴングの売上げが悪かったわけでも、プロレス全体のジャンルの人気が衰えたわけではないと強がった
213お前名無しだろ:2007/03/15(木) 00:27:02 ID:I+lqRhps0
西村修は実に多くのものを憎んだ。長州力、癌、ハイスパート、ラリアート、結婚、、、。
数え上げればキリがない。
しかし彼が好んだものは三つしかない。酒と独身生活とゴッチスタイルである。
彼は藤原と木戸を除けば恐らく日本一の完璧に近いゴッチスタイルを身につけていた。
ステーキの焼き方と犬の殺し方意外は全てである。
中でも自慢はヘッドシザースを倒立で抜け出す技で、
「俺はいつかこれでノゲイラの三角をエスケープするのさ」
というのが彼の口癖だった。
214お前名無しだろ:2007/03/17(土) 19:52:31 ID:1gbhIhp60
「小力ちゃん」とその老人は呼んだ。よくとおるきんきんとした声だった。
御小は呆然としてその男の顔を見ていた。「あんたは――――」
「そうだ。サンダーズ大佐だ」
「そっくりだ」と御小は感心して言った。
「そっくりではない。わしがカーネル・サンダーズだ」
「あのフライド・チキンの」
老人は重々しくうなずいた。「そのとおり」
「ナニコラ。しかしこのタコ、どうして俺の名前を知ってんだ?しかもネタの方と間違えてんぞ」
「『キレてないですよ』Tシャツを着てるじゃないか。たとえ何があろうと『キレてないですよ』と
いえば長州小力じゃないか」

「やれやれ」御小は力なく溜息をついた。「ナニコラ、タココラ」と言い返せす気力はなかった。
四国についてからいろいろなことがあり過ぎて、少し疲れていたからだ。
215お前名無しだろ:2007/03/19(月) 14:36:29 ID:gFBp0shKO
御小・・・・
216お前名無しだろ:2007/03/22(木) 18:32:41 ID:OpVB8HtbO
こんなもんか
217お前名無しだろ:2007/03/25(日) 11:33:50 ID:qh7IzHSl0
「それほとても難しいことみたいに思えるけれど」と老母は言った。
「難しいことだよ、とても」と僕は言った。「でもやってみる価値はある。三沢光晴みたいな
唄の下手なデブでもエースになれたんだ。努力がすべてだ」
彼女は少し笑って、そして肯いた。「あなたの言うことなんとなくわかるような気がする」
「わかりがいい」と僕は言った。そしてエシジシを入れたが、僕の年代モノのラングレーは
うまくエンジンがかからなかった。あの事件以来、調子が悪い。
だいたい、ラングレーを見てカローラUと間違えるヤツだっていたのだ。
失礼としかいいようがない。
「でもどうしてそんなに三沢光晴ばかり目のかたきにするのかしら?」と彼女は言った。
「どうしてだろう」
「本当は好きだからじゃないの?」
「今度ゆっくりそれについて考えてみよう」と僕は言った。
218お前名無しだろ:2007/03/28(水) 21:11:20 ID:ieoq59q00
「長州ちゃん」とそのガラの悪そうな皮ジャンの男が呼んだ。耳障りな声だった。
御小は呆然としてその男の顔を見ていた。「あんたは――――」
「そうじゃ。大仁田厚じゃ」
「そっくりだ」と御小は感心して言った。
「そっくりではない。オレが大仁田厚じゃあ!」
「あの国会議員の」
皮ジャンは重々しくうなずいた。「そのとおりじゃ」
「ナニコラ。しかしこのタコ、どうして俺の名前を知ってんだ?何でオレに声をかける?」
「新日本のジャージを着とるじゃろうが。たとえ何があろうと新日本プロレスといえば
長州力じゃろうが!」

「やれやれ」御小は力なく溜息をついた。「ナニコラ、タココラ」と言い返せす気力はなかった。
借金のためとは言え、またこんなのを相手に電流爆破マッチをやらなければならないのか?
「ひどく疲れてるんだ」と御小は言う。そして両手で顔をつつむようにしてあくびをした。
219お前名無しだろ:2007/03/29(木) 03:32:59 ID:aeYiL6/+O
そう、猪木の子供たちはみな踊るのさ
220お前名無しだろ:2007/04/01(日) 12:35:12 ID:X+WOdc0P0
フミは今度は平板な視線で長州をしばらく見ていた。そして「変な人」と言った。
彼女にそう言われると長州は自分が本当に人生の敗残者になったような気がした。
たぶん悪気はないのだろう。でも彼女にそう言われると結構こたえるのだ。
221お前名無しだろ:2007/04/03(火) 23:31:30 ID:cQE7gTlm0
hoshu
222お前名無しだろ:2007/04/04(水) 15:08:40 ID:5iv7vXD30
222
223お前名無しだろ:2007/04/08(日) 11:50:09 ID:mf+3tA2V0
「顔色が悪いよ」とSSマシンが言った。
 僕はソファーに腰を下ろし、何も言わずに缶ビールのふたを開けてひとロ飲んだ。
「きっと風邪をひいたんだよ。慣れない人達はここの冬は寒いからね。空気も湿っているし。
今日は早く寝た方がいい」
「いや」と僕は言った「今日は寝ないよ。ここでずっと友だちを待つんだ」
「今日来るってわかるのかい?」
「わかるよ」と僕は言った。「彼は今夜十時にここに来るんだ」
SSマシンは何も言わずに僕を見ていた。目を覆ったマスクからには表情は窺えなかったが明らかに狼狽してるようだった。
「今晩荷づくりをして、明日には引きあげるよ。彼に会ったらそう伝えておいてくれ。たぶんその必要も
ないと思うけれどね」
SSマシンはわかったといったに肯いた。「あんたが行ってしまうとさびしいよ。まあ仕方ないことだとは
思うけどね。ところでチーズ・サンドウィッチをもらっていいかな?」
「いいよ」
SSマシンは紙ナプキンにサンドウィッチをくるみ、ポケットに入れると、手袋をはめた。
「会えるといいね」と帰り際にSSマシンは言った。
「会えるさ」と僕は言った。
224お前名無しだろ:2007/04/09(月) 02:24:20 ID:fsaOgKODO
何故にマシン?
225お前名無しだろ:2007/04/12(木) 03:23:28 ID:FhQiJUN3O
「中の人がバレバレ」つながりではないかと
226お前名無しだろ:2007/04/12(木) 22:34:58 ID:xGlCTrsx0
僕「お前、鼠だろ!」
227お前名無しだろ:2007/04/14(土) 21:00:23 ID:0WGzF+Hf0
「あなたはアナウンサーで、新日本の実況席にたった一人で座っているの。
そして毎日毎日、勝敗が予め決まっている退屈な八百長試合を、熱を込めて
実況しているの。ある日、あなたの中で何かが死んでしまうの」
「死ぬって、どんなものが?」
彼女は首を振った。「わからないわ。何かよ。東の入場口から上がって、決
められた時間通りに中のリングを通り過ぎて、西の出口に下がっていく猪木
を毎日毎日繰り返して見ているうちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて
しまうの。そしてあなたは場外にマイクを放り出し、そのまま何も考えずに
ずっと西に向けて歩いていくの。太陽の西に向けて。そして憑かれたように
何日も何日も飲まず食わずで歩きつづけて、そのまま地面に倒れて死んでし
まうの。それが、ヒステリア・喋りアナ(ウンサー)」
228お前名無しだろ:2007/04/18(水) 18:37:16 ID:MV8WNzrhO
実況席にたったひとりで座って猪木の試合を実況するっていう
シチュエーションに無理がある
229お前名無しだろ:2007/04/21(土) 22:42:35 ID:SdQaG/5P0
              文書T

<団体が立ち上がったら、興行が行われるものなんです>
230お前名無しだろ:2007/04/25(水) 17:23:17 ID:cdvqcolOO
age
231お前名無しだろ:2007/04/26(木) 22:53:18 ID:m/MGpsoP0
「ねえ、あなた、私がスパゲッティ屋に入った時、あなたは何て言ったか
覚えてる?」
「料理を注文しただけじゃないかな。」
「違うわ。あなたは、プロレスの複雑さは、まるでスパゲッティのようだ、
こう言ったのよ。」
プロレスの複雑さは、まるでスパゲッティのようだ、そう、確かにあの頃
の自分にとって、プロレスの複雑さはスパゲッティのようだった。この
アングルの伏線はこのブックなのかと辿ると、実はそのブックが別のアン
グルの伏線になっていて、それは辿れば辿る程、因果関係が掴めなくなっ
ていくのだ。あの頃の自分は、本当にそれで迷った。
けれども、今ならその意味が分かる。いくつもの試合の因果関係を分からな
くさせることが、1つ1つの試合が八百長だと知っている観客を楽しませる作
戦だったのだ。プロレスを考えた人というのは本当に頭の良い人だと思う。
232お前名無しだろ:2007/05/01(火) 11:45:52 ID:kSqnqHNb0
某老舗団体が駄目になってしまうのは、
wjが崩壊してしまうことよりもの悲しい。
233お前名無しだろ:2007/05/04(金) 18:46:26 ID:2SGllhxUO
新日はあすからもまた普通に興行を行うだろう。だがそれは以前の新日ではない。
誰も気がつかないかもしれないが新日の姿をした別のものなのだ。
うまく表現出来ないが新日の中で何かが決定的に損なわれてしまったのだ。
234お前名無しだろ:2007/05/07(月) 17:39:36 ID:smO77AnI0
駄目になった新日本
235お前名無しだろ
ストーブを消しているせいで、部屋は冷えびえとしていた。僕は毛布にくるまってぼんやりと闇の奥を眺めた。
深い井戸の底にうずくまっているような気がした。
時間が流れた。闇の粒子が僕の網膜に不思議な図形を措いた。措かれた図形はしばらくすると間もなく
崩れ、別の図形が描き出された。水銀のように静止した空間の中で、闇だけが動いていた。
時計が九時を打った。九つめの鐘がゆっくりと暗闇の中に吸いこまれてしまうと、沈黙がその間隙にもぐりこんだ。

「話していいかな?」と山田が言った。
「いいとも」と僕ほ言った。

「約束の時間より一時間も早く来すぎちゃったよ」と山田は済まなそうに言った。
「いいさ。見てのとおりずっと暇なんだ」
山田は静かに笑った。彼は僕の背後にいた。まるで背中あわせに座っているような感じだった。
「なんだか昔みたいだな」と山田は言った。

「海外修行前後のことを話すのはとても辛い」と山田は言った。
「この辛さはどんな風にしゃべっても君にわかってもらえないんじゃないかと思う」
「質問して構わないか?」
「構わないよ」
「君はもう死んでいるんだろう?」

山田が答えるまでにおそろしいほど長い時間がかかった。ほんの何秒であったのかもしれないが、それは僕にとって
おそろしく長い沈黙だった。口の中がからからに乾いた。
「そうだよ」と山田は静かに言った「山田恵一は死んだよ。リバプールの風になったんだ」