レスラーの日記を代わりに書いてあげよう復刻版1

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873鈴木さん
12月冬の雨は嫌い日

ノア中継で小橋さんのリハビリ風景が流れた。思った通り、あっという間にリハビリのレベルを
越えてしまっていた。できればもう少しゆっくりしていてほしかったが、これ以上彼を力ずくで
止めてもストレスで逆に身体を壊してしまいそうだったので、ある程度自主判断に任せること
にしたのだが、失敗だっただろうか。彼は相変わらず、あたしの心配を気にかけてもくれない。

この週末は、小橋さんは実家に帰っていた。あたしも心配の種がいないので、久々にアニマ
ル浜口ジムで思い切り汗を流してきた。天井の穴は修理してくれていたが、終わった頃には
再び開いてしまっていた。安普請にもほどがある。冷気が入ってくるが、火照った身体には気
持ちいいくらいだった。

部屋に戻ってから、携帯にメールが届いていたことに気がついた。小橋さんからだ。件名に
『メリークリスマス!』とだけ入っていて、本文は無し。添付ファイルには親戚であろう子供達
といっしょに写真に収まった小橋さんの笑顔。あたしを一人にしておいて、ずいぶん楽しそう
ね、小橋さん。

クリスマスのバラエティ番組を見ていても妙に腹立たしい気分は消えず、早々にベッドに潜り
こんだ。

寂しいよ…。
874鈴木さん:2006/12/26(火) 11:26:57 ID:RGj8FjkP0
ウトウトとし始めた頃、不意に玄関のドアが叩かれる。チャイムの存在を知らぬかのように、ド
カドカと断続的に叩かれる。時間を見ると23時50分だ。何を考えているんだろう。無視して布
団をかぶってしまうが、まだ続いている上に音が加速…いや…このリズムは聞き覚えが…マ
シンガンチョップ!?

まさかそんなと思いつつ飛び起きて玄関に走る。鍵を開けると、その音に反応して玄関を叩く
のも止まる。そっとドアを開けると…そこには小橋さんが立っていた。なぜか湯気の立つ上半
身裸で。やはりチョップだったらしい。常識と言うものがないのだろうか。

近所迷惑なことを怒ろうと口を開きかけた時、先制攻撃を受けた。

「メリークリスマス。25日中に間に合って良かった。…びっくりした? はいコレ。」
手渡された包みを呆然と見る。福知山から飛んできてくれたらしい。さっきのメールは新幹線
の中からだろうか。サプライズ狙いなんて似合わないことをしてくれたらしい。

「それじゃ、ここからディファまで走るから! また明日!」
あたしを残して、ここから電車で2時間はかかるディファ有明まで走っていってしまった。プレ
ゼントは小橋さんが愛用していたプロテインだった。食生活改善で当分不要になるストック分
だろう。小橋さんらしくて思わず笑みがこぼれた。

幸せな気分でベッドに戻る。良い夢が見れそうだ。

チョップでボコボコに凹んだドアの修理のことは、明日考えよう。