復活!!司馬遼太郎風にプロレスを語るスレ

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60燃えよ剣より(1)
「練習が機微しすぎはしまいか」
取締役である田上明が三沢に助言したとき、建太は白い眼で田上を見た。
「田上さん」
といった。
「田上さんとも思えぬ。ノアを弱くしたいのですかね」
「たれがそう申した」
田上は気色ばんだが、建太はニコリともせず
「私の耳にはそう聞こえる」と、静かに応じた。
練習バカだ、と田上は腹の底が煮えくりかえるような思いであったろう。
61燃えよ剣より(2) :2005/11/05(土) 13:38:44 ID:KXuSpUxa
「田上さん、私はね、日本中のプロレスラーは皆腰抜けだと思っている。
 プロレスラー、プロレスラーといっても威張れたもんじゃねえという現場を、
 この目で何度も見てきた。月給制とマニア受けすればいいという泰平が
 そうさせたのだろう。が、ノアだけはそうはさせぬ。真のプロレスラーに仕立て上げる」
「真のプロレスラーとは、どういうものです」
「いまのプロレスラーじゃない、昔の」
「昔の?」
「日本プロレスとか、NWA全盛の頃の王者とか、まあうまくいえないが、そういうものです。」
62燃えよ剣より(3):2005/11/05(土) 13:44:31 ID:KXuSpUxa
「小橋は存外無邪気であられる」
子供っぽい、と吐き捨てたかったのだろう。
そのかわり、田上は頬にあらわな嘲笑を浮かべた。
建太は、その顔をじっと見ている。
かつて、永田裕志と「プロレス道論議」をしたとき、
永田の頬に浮かんだのと同質の嘲笑が田上の頬に張り付いている。

ーサラリーマンあがりめが。

事実、田上はそんな気持ちだった。
しかし、建太の心底にも叫びだしたいものがある。
理想とは、本来子供っぽいものではないか。