1 :
お前名無しだろ:
2 :
お前名無しだろ:04/09/25 15:44:01 ID:i6Y9VrMY
光子最高
3 :
お前名無しだろ:04/09/25 21:59:36 ID:dA4DkEvx
>>1 どうも!
職人さんのカキコがあったのはもの凄くうれしかった
当時とプロレス界はだいぶ変わってしまったけど、まだプ板を見ていることが妙にうれしい
プ板よりも、HPを設けて密かに結末を作って欲しいです
当時の職人さん、新規の職人さんだけ出入りできるBBSかメーリングリスト作ってまた議論してもらって
今の新日をテーマにまたやったら全然内容変わってくるでしょうな
4 :
お前名無しだろ:04/09/25 23:38:55 ID:ZXeCSwAd
一応こちらにも貼らせて頂きます。
328 :321 :04/09/24 01:35:41 ID:04IcglKe
…爆発による突風に吹き飛ばされた体を憂鬱げに起す。
ふと額に手をやると、僅かの時間しか触れていない筈の掌は瞬く間に
赤土色へと変色してしまった。
痛みは…何となくだが感じる。燦燦と輝く太陽のせいか、この悪夢の3日間の疲労か。
自らの肉体の苦痛すら、どこかおぼろげに思える。
微かに残された正常な神経が、現実の認知を拒否しているのかも知れない。
「…もう…さすがに、ヤバイかもな…」 西村修は寂しげに呟く。
独り言を吐き終ると同時に、彼の背後の瓦礫の山が崩れる音がした。
西村は鬱陶しげに振り返る。
329 :321 :04/09/24 01:38:38 ID:04IcglKe
盟友・越中詩郎の遺品である手榴弾により、木っ端微塵に破壊された野毛の道場。
その想い出の跡地から這い出てくる、埃に塗れた血だらけの巨体を確認した時、
西村の感情は怒りや驚きを超越し、只管感動していた。清々しいまでに、感動を覚えた。
(……このひとの力とは、一体何処から来ているのだろう…?)
「…底が丸見えの、底無し沼か……」 以前、タブロイド紙で見掛けたフレーズを口ずさむ。
その刹那、彼は残された最後の武器、赤土色に錆び上がったパイプ管を自ら手放した。
5 :
お前名無しだろ:04/09/25 23:41:31 ID:ZXeCSwAd
330 :321 :04/09/24 01:40:45 ID:04IcglKe
既に西村の中に『生き残る』だの『新日本の再建』などの言葉は無きに等しい。
越中やカシン、木戸と藤田、天山・小島・永田・大谷…命を散らして逝った同僚達への想いすら
果たして残っているか?…それすら自分で疑わしい気分だ。
ただ、巨大な『興味』だけがある。
この状況に陥ってすら、諦めるという言葉を持たない、その厚顔で意地汚く泥臭い生命力に。
恥も外聞もなく、ただ生きる為に瓦礫から這い出る自らの師を眺めながら、西村は覚悟を決める。
最早、何も考えまい。何も背負うまい。
この偉大なるペテン師に立ち向う手段、それはあるがままの自分…いや、己すら捨て去る無の境地、
すなわち『無我』!!
難病に侵されて以来、自分のライフワークとして来た言葉の集大成を示す時が訪れた。
目ぼしい武器など既に何も無い。銃弾という銃弾、刃物という刃物は全て使い切った。
それでも、この男を倒せなかった…ならば、この身ひとつで戦おうではないか。
何も持たず、だからこそ何にも縛られない、自由なひとりの男として!!!
6 :
お前名無しだろ:04/09/25 23:44:47 ID:ZXeCSwAd
331 :321 :04/09/24 01:49:54 ID:04IcglKe
西村は這いつくばる猪木の元へ歩を進め出す。
佐山の日本刀により大きく切り裂かれた背中を背負い、
馳の放った銃弾により貫かれた左足を引き摺りながら。
先刻、猪木の関節技により外れた右肩は腫れ上がり、噛み付き行為によって食い千切られた
首筋からの出血は未だ止っていない。
それでも、西村は猪木の元へ歩を進める。『無我』という生き様を敬愛する師へ披露する為に。
200×年8月×日 AM11時27分
新日本プロレスリング共催 バトル・ロワイヤル決勝戦
アントニオ・猪木 VS 西村 修
「……さぁ…行くぞ、石澤…」
最期まで共に戦い抜いたパートナーの名前を静かに、そして噛み締めるように呟く。
もっとも、アイツの性格からしたら「疲れた…もう、あとは勝手にやって下さいよ」くらいな事は
言い出しかねないけどな…と西村は苦笑いすら浮かべ、王者の元へ歩む。
神聖なる最期の戦いのゴングが、今、遂に打ち鳴らされた。
7 :
お前名無しだろ:04/09/26 01:41:31 ID:0zcQ2f1S
この小説ってやっぱり西村が主人公だったんだ・・
西村はジョジョで言うと康一君みたいなキャラかと思ってたら
ラストは猪木vs西村!
8 :
昔はカンコ君:04/09/27 01:50:17 ID:fXzPepPH
……いや、もう、ホント…ありがとうございます。
途中で投げ出した私が、今更職人ヅラする事自体、恥ずかしいやら、
申し訳ないやら…
でも、
>>1さんを始め『続編が見たい!!』と言って下さる方々の為に
微力ながら精一杯頑張ります。御支援の程、よろしくお願い致します。
御声援、よろしくお願い致します。
今度は、逃げません。
で、本格的に再開する前にケジメとして一回だけ私信を書かせて下さい。
これが最初で最後ですので。
このスレの真のエースであった◆ZNLiv1KU さんへのメッセージです。
9 :
昔はカンコ君:04/09/27 01:53:38 ID:fXzPepPH
>>◆ZNLiv1KU さんへ
…その節は、本当に申し訳なかった。今更、謝って済む問題ではないけど。
ひとり踏ん張ってる貴方を見殺しにする様な形で、逃げ出してしまった。
貴方が執筆された『戦おうとする越中の傍から逃げ出す吉江』そのものに
なってしまいました。反省、というより後悔してます。
ポツダム宣言の翌日から、正直投げやりな気持ちになりバトロワスレどころか
プ板自体への出入りを自粛してました。また今だから言いますが、ちょうど
11月から長期の海外勤務も決ってたので(結局、1年8ヶ月…)、精神的に
色んな面で焦燥してたのも事実です。
ただ出発直前、後ろ髪引かれる思いでスレを覗いた所…温かい私信を頂戴しており
…ずっと、心の奥底に引っ掛ってました>貴方とバトロワの存在が。
自作で恐縮ですが『猪木の存在を無視し続けた木戸』の如き後悔を抱えたまま
事、今に至った次第です。
今更…な話題ですし、私が幕引きするのも筋違いなのは重々承知の上です。
(以前も書いたけど、ラストを締め括るのは俺や他職人ではなく、貴方だけに許された
資格だと今でも思ってる。あの言葉に嘘はない)
だけど、せめてもの罪滅ぼしという意味も込めて、俺なりに精一杯やってみるよ。
もう見てないと思うけど…何処かでこのスレの存在を知ったら、遊びに来て下さい。
『…相変わらずしょっぱいなぁ>カンコさんは』という批評、お待ちしてますので(w
10 :
昔はカンコ君:04/09/27 01:56:52 ID:fXzPepPH
さて続編に入る前に、私なりのストーリーのおさらいを。
私が考えた一つ目のラストは御紹介頂いてる通り『猪木VS西村』でした。
(もう一つのラストは猪木-西村編が終了し次第UPします、コッチはほぼ完成済)
で、ここで昔から御覧の方々からツッコミが入ると思うんですよ。
『猪木、参加者じゃねーじゃん!?』っていうツッコミが。
これはですねぇ…◆ZNLiv1KU さんの作品にあった通り、暴走しまくりの
猪木(&佐山)に対し国側が逆ギレ⇒一参加者に格下げ、というストーリーで補完しときます。
(いくらなんでも、自衛隊員殺しちゃマズイでしょっ!!みたいな)
「そんなに戦いたいのなら、戦わしてやるよ!参加者としてな!」てなやりとりがあったと
仮定して下さい。調子に乗りすぎて墓穴を掘る…如何にもアントンらしい顛末という事で(w
決勝戦に至るまでの展開は、一応Jr.マニアさんの『西村・カシン・越中VS佐山』の
ハンディキャップマッチ以降としてます。
他の参加者がどうなったかは、追々描写の中で描いて行きたいな…と。
肝心の続編は明日or明後日にはUPします。と言っても起承転結の『承』の入口ぐらいですが…orz
…暫くの間、お気を長めにお付合い願えれば幸いです。よろしくお願い致します。ではでは…
気長に待ってるんでよろしく〜
13 :
お前名無しだろ:04/09/29 02:19:58 ID:VPqUOq+Z
あらすじ
@【一日目・午前0時〜1時】新日道場(レス3〜30、36〜40)
プログラム開始。見せしめのために藤波、続いて小島が猪木の手によって殺される。
西村が高岩を殺したと勘違いしたカシンは、西村の連れの天山を銃殺し、西村とロッカー前で対決。
結局猪木に静止され、西村VSカシンは引き分けに終わる。
その後西村と藤田が合流した時に藤田が「ゲームに参加するか否か迷っている」と言う。
西村は藤田に人を殺さないでほしいとお願いして別れるが・・・。
死亡者:藤波、小島、高岩、天山
A【午前0時30分〜】児童公園のベンチ(レス31〜35)
長州が思わず高岩を撃ち重傷を負わせる。(その後高岩は@の西村の元へ行き爆死)
武藤が現れ長州と会話後、長州をナイフで殺害。
死亡者:長州
B【午前6時〜】公園(レス41〜54)
村上がジョギング中にカシンと出会い対決。カシンが村上を日本刀で惨殺。
死亡者:村上
C【午前6時30分】猪木の事務所(レス104)
猪木が側近の佐山に引退した選手や関係者も参加させる提案をする。
死亡者:無し
14 :
お前名無しだろ:04/09/29 02:22:30 ID:VPqUOq+Z
D【午前9時】駅の待合室(レス55〜56)
永田が支給された武器を確認。とっかえだまシステムに怒る。
死亡者:無し
E【午後12時30分】コンビニ(レス73〜83)
カシンが村上を惨殺したのを目撃した新崎人生はコンビニへと走る。
そこを拠点にしようとした人生だがカシンが待ち伏せしていた。
殺されそうになった人生だったが途中で武藤が登場してカシンは退去。
人生を助けたかに見えた武藤だったが構わず人生を射殺。
死亡者:人生
F【午後2時】場所不明(レス138〜142)
後藤と同行していた馳だったがタイガー服部を見つけると服部の首をへし折る。
馳の横に服部の死体があるのを見た後藤は逃げようとするが踏みとどまる。
向き直り馳に銃を構えるが、馳が後藤の前頭葉に組み込まれた発信機を爆破させた。
後藤のデリンジャーを回収しようとするが、
突然出てきたエル・サムライ(松田納)が先に手に取り逃げていった。
死亡者:タイガー服部、後藤
15 :
お前名無しだろ:04/09/29 02:24:26 ID:VPqUOq+Z
G【午後3時】高校の図書館(レス84〜88)
柴田の前にカシンが現れる。
カシンを信頼しきっていた柴田だったがラーメンの中にタバコを混ぜられもがき苦しむ。
死亡者:無し
H【午後3時30分】場所不明(レス105)
後発組の田中リングアナと山本小鉄は同行していたが小鉄が田中の腹をドスで切りつける。
だがその小鉄も馳の持つ金属バットで撲殺された。
死亡者:田中アナ、山本小鉄
I【午後5時】スポーツジム(レス57〜60)
ジムでサンドバックを叩いていた小原の前に藤田が現れる。
小原は藤田とスパーリングをして汗を流すが、スパーが終わると藤田にサイレンサーを装備したベレッタで撃ち殺された。
死亡者:小原
J【午後5時30分〜】橋本の行きつけのバー(レス61〜72)
橋本が支給された毒薬で自殺しようとすると、村上が死んだのを知った小川が現れて橋本に問い詰める。
橋本の犯行ではないことを悟った小川は橋本へ共闘を呼びかける。
その時サムライが登場して二人は追い詰められるがなんとか返り討ちにする。
寂れたビルのトイレに二人は逃げ込み、重傷の橋本を置いて食料の調達に出かけた小川だったが、帰った時には橋本は息絶えていた。
どうやら馳浩が殺害したらしい。
死亡者:橋本
K【午後6時〜】ホビーショップ(レス89〜103)
金本と田中稔は装備の調達のためにホビーショップに立ち寄っている時、そのすぐ外でカシンとライガーが戦っていた。
ライガーを殺したカシンはホビーショップ中に進入し、続いて金本と田中を殺すとホビーショップが爆発した。
死亡者:ライガー、金本、田中稔
16 :
お前名無しだろ:04/09/29 02:26:19 ID:VPqUOq+Z
L【午後6時30分】体育館(レス125〜127)
マサ斎藤と坂口征二は二人して体育館にたたずんでいた。
二人がスパーリングをした後寝転んでいると、武藤がやってきた。
二人から情報収集をした後に武藤は銃を突きつけて銃殺してしまった。
しかしマサと坂口から受けたあまりに落ち着き払った態度に、武藤は戸惑いを隠せないでいた。
この時の武藤のショックが後々に妥協という形で影響してくる。
死亡者:マサ斎藤、坂口
M【午後6時30分〜】高校の校舎(レス114〜118)
なんとか生きていた柴田は図書館から高校の校舎へと向かった。
生物室に入ると井上の屍を発見してしまう。
悲劇に暮れている柴田の後頭部を銃弾で襲ったのが鈴木健三であった。
死亡者:柴田、井上
N【午後7時】校舎の屋上(レス121〜124)
校舎の屋上からKのホビーショップの爆破と店から逃走するカシンを目撃した健三は少々驚いていた。
少しして振り返るとそのカシンが目の前にいたのだ。
健三は銃でカシンを撃つが、防弾チョッキを着ていたのを知らない健三はスキを突かれてカシンに殺されるのであった。
死亡者:鈴木
O【午後8時】路地裏(レス119)
辻よしなりは同行者のはずの棚橋に愛想を尽かされ、一人震えていた。
そこへボウガンを持ったもう正気ではないサムライが現れてボウガンの的にされて悪夢を味わう事になる。
死亡者:無し
P【午後9時】高校の図書館(レス120)
棚橋、高校の図書館で馳に殺害される。馳は本で何かを調べていた。
死亡者:棚橋
17 :
お前名無しだろ:04/09/29 02:28:10 ID:VPqUOq+Z
Q【午後11時〜二日目・午前0時】不動産業者の事務所〜運送業者の倉庫(レス146〜151)
瀕死の状態になっている辻を見かけた吉江は現実を見せつけられた衝撃で走って逃げていた。
不動産業者に逃げ込んだ吉江の所に越中がやってくる。
吉江は動揺を露にしていたが越中に殺意はなく、吉江は手を引かれ越中の隠れ場所に連れていかれた。
運送業者の倉庫の中には永田と飯塚がいて、吉江は辻の事を話していた。
そこに深夜十二時の定期放送が流れて脱落者が挙げられるのであった。
死亡者:無し
R【二日目・午前0時30分】一軒家(レス235〜248)
一軒家の中で洗濯物をする保永をカシンが見つける。
カシンは保永に対して殺意はなく、とりあえず別れることになった。
だがその後すぐに馳が保永の元へやってきて、先ほど本で調べて作った火炎瓶を使って保永を殺そうとする。
それを察知したカシンが保永のいた、燃え盛る一軒家の中へ入って保永を救出しようとするが、
保永はカシンにどうせ助からないんだからと自分を撃つように言う。
涙を流しながらカシンは意を決して保永の最後の希望に応える。
死亡者:保永
S【二日目・午前1時30分】バー(スレッド「2」のレス124〜127)
酒を飲んでいた安田の元にヒロ斉藤、その後に平田がやって来る。
平田は二人に組もうと言ったかと思うとすぐに安田、ヒロの順に銃弾を発射した。
死亡者:安田、ヒロ斉藤
18 :
昔はカンコ君:04/09/29 02:39:50 ID:Zv2srnL5
粗筋紹介の最中スンマセン…ヘタ○職人です。
のっけから言い訳ですが、枝葉を考え過ぎて、中々本論に辿り付かず…(;´Д⊂)
いや、ストーリーも下書も出来てるんですが、入力が追いつかなくて…
という訳で、皆様から「まだ、そこかよ!!」と言われる事間違いなしの前編3部作
UPさせて頂きます。続編は…急ぎますんで、もう暫しお待ちを!
19 :
昔はカンコ君:04/09/29 02:42:27 ID:Zv2srnL5
<8月×日 AM11:28>
「…先ずは、あのひとを倒そう…」 彼は再度小さく、しかし強く噛み締める様に呟く。
砕けた左足を引きずりながらの歩行作業は、大変な労力と時間の消費を要する。
芋虫の如く地を這う師匠との距離は、永遠に縮まる事のない、ふたりのプロレスラーとしての
格の差を表しているかの様だ。
それでも西村は、自分でも不思議なほど落ち着いていた。
(…俺の身体の中に、一体何処にこんなふてぶてしさが…?)
数え切れない位の傷を背負いつつ、それでも標的から目を逸らさず
淡々と標的に歩を詰める自分自身の冷静さ対し、微妙な違和感を感じる。
(これが…この感情が…この三日間の成果なのだろうか…?)
決して、この三日間を肯定はできない。余りにも多くのものを失った。無駄にした。
しかし、この三日間の全否定もできない。そうでなければ、今ここに立つ自分が嘘になる。
『正義』とは何か?簡単な話だ。その言葉は、その立場と状況によって判断される。
不変の正義も、不変の罪も、多分存在しない。諸行無常とは、その事を簡易化した言葉だ。
西村は、思う。今、自分にとっての『正義』とは何であるか?を。
今は、それだけを追い求めれば良い。その答えは、もう手の届く場所にある。
めげずに、諦めずに、西村は一歩一歩確実に歩を進める。
永遠に続くとかと思われた偉大な師匠への間隔は、着実に縮まって来ている。
そんな他愛もない現象が、今の西村を後押しする。アントニオ・猪木への距離、概そ40メートル。
20 :
昔はカンコ君:04/09/29 02:44:27 ID:Zv2srnL5
ありのままの自分で戦う事。その大切さを教えてくれた反面教師が、いた。
廃墟と化した道場の向うに小さな映画館が見える。西村はふと彼の最後の台詞を思い出した。
彼との永遠の別れとなった場所…合宿所時代、皆でよく遊びに出かけた古びた映画館。
『俳優』なら銀幕の中で輝く事を誰もが追い求めるであろう。彼は、ついにそのステージに立つ。
その晴れの舞台で、彼は丁丁発止の大活躍を見せる。相手役は『アントニオ・猪木』という凄玉だ。
役者勝負 ― 自らの師を相手に、彼は正々堂々と騙し合いを挑み、そして散って逝った。
「…使命感、だとか…駆け引き、とか…そんなのが、通じるタマじゃねぇつーの…」
AKIRAこと野上彰は越中の腕に抱かれ、西村を相手に自嘲気味に語る。
「とにかく…まぁ、アレだ…なんも考えねーでさ…やってみろや。責任は…取らねぇけど…」
野上の半分投げやりなアドバイスを反芻する中で、西村の心にひとつの確信が生まれた。
(そう言えば、猪木さんの苦手なタイプって…マイペースな人が多かったよな?)
21 :
昔はカンコ君:04/09/29 02:47:45 ID:Zv2srnL5
批判の対象となるべき存在が目前にいない時、その対象を語る猪木はいつも饒舌かつ毒舌だ。
『ズバリ言って、視野が狭いつぅか』
『世界は広いんですよ。その広さが理解できない。ある意味、哀れみの感情つぅか』
『俺は、彼のことを同じ土俵で見たことがないんですよ。見れなぇつぅか。ンムフフフ。』etc
しかし、その中傷の対象が目前にそびえ立った時、猪木は卑屈で従順な猫と化す。
前田日明、然り。ブルーザー・ブロディ、然り。そしてジャイアント・馬場、然り。
(相手の土俵に上がるな…自分を信じろ、っていう事かな…)
独自の『猪木論』を展開する中、気が付くと師との間を遮るものは何一つない距離まで来ていた。
瓦礫の山より這い出て来た日本プロレス界の『神』は、その行為で力を使い果たしたのか
両腕で立ち上がろうとしては崩れる、というムーブを飽きもせず繰り返している。
埃と泥に塗れ、至る場所から出血しながら、芋虫の如く這いつくばる『神』 ―
つい先刻まで神々しさすら感じていた彼の姿は、目前にすると惨めを通り越し何処か滑稽にすら思える。
「そっか。そういうことか…」 痛みと疲労を忘れ、一瞬笑みがこぼれる。
ありのままの自分と、ありのままの相手と。西村は最強の挑戦者として、猪木の元に辿り付いた。
22 :
昔はカンコ君:04/09/29 02:59:09 ID:Zv2srnL5
猪木と西村だけ書いとけばいいものを…つい寄り道してしまいました。
まぁ野上に関しては、一応生みの親(?)なもんで愛着もありますし。
その割には、その後に一回も書いてないじゃんという気持ちは(ry
>>3さんへ
今、自分が設定するなら中邑&柴田を主人公にしたハッピーエンドの方向にします。
以前も愚痴りましたが、当時の新日には主人公キャラがいなかったんですよ。
全日編を見てて、羨望があったのも事実です。三沢っていうキャラはデカイですよ、本当。
でも今なら『クールで理論派だけど、根は熱血タイプ』の中邑と『ヤンチャ坊主のふりして
実は繊細な』柴田という対象的な二人が、反発しあいながらも…というベタな展開でもいけるのかな、と。
何にせよ若い連中が育っている、というのは良い事です。
因みに新三銃士の残りもう一人はヒールの設定にします>私なら。
つぅか、棚橋は絶対ヒールだって!あの小賢しさとナル振りは客のヒートを買うのにもってこいな気がします。
バトロワで言うと馳と野上のキャラを混ぜた様な設定にしたいですね。最初にドラゴン殺す役も棚橋に(w
で、長州の役割を永t(ry
23 :
昔はカンコ君:04/09/30 02:28:12 ID:QQ3jWanw
とりあえず続編が間に合いました。
一応『承』編は今回でおしまい。ようやく怒涛(??)の『転』に入ります。
ダラダラでホント恐縮なんですが、やはり最後ですから自分の気の済むまでじっくり
やりたいと思います。半分開き直りに近いですが(w、お付合い頂ければ光栄です。
なお明日〜土曜まで四国出張の為、次回UPは日曜以降になります。ご了承下さい。
24 :
昔はカンコ君:04/09/30 02:30:55 ID:QQ3jWanw
<8月×日 AM11:32>
「…ようやく、ここまで来ました」 弟子が横たわる師匠を見下ろし、語り掛ける。
西村は万感の思いを込め、次の言葉を繋ぐ。
「御指導…ありがとう、ございました」
別に皮肉でも非難でもなく、西村は素直な感情を曝け出す。
こと極まった現在において、自分がやるべき事はたったひとつ。
全力を尽くし、師を乗り越える。後ろ向きの考えは、もはや不要だ。
男として最大限の力を発揮すべき瞬間…その機会を与えてくれた師匠への
感謝と惜別の言葉である。
その感情を知ってか知らずか? 別の目算があるのか? 師は弟子の方を
見ようともしない。
「これで、最期ですから…全力を尽します」
無視を気にも止めずに、西村は語る。猪木に聞かせる為ではなく、自分の中の
何かを整理する為に。
「…貴方の生命を、奪います。すべては…それから考えます」
25 :
昔はカンコ君:04/09/30 02:32:54 ID:QQ3jWanw
ここで、ようやく『神』は面を上げる。
廃埃と白髪が絶妙にブレンドされた頭部の下には、驚く程の皺と一筋の涙が隠されていた。
「……すまん…俺が…悪かった…」
猪木の異様に長い輪郭の全てに、後悔と懺悔の念がデッサンされている。
「悪かった…本当に、本当に…俺が悪かった…」
今度は西村が黙りこくる番となる。弟子と異なり、この師匠は独り語りを続ける程
悠長な性格にはできていない。
猪木は全身全霊で西村に慈悲を請い続ける。
「勘弁…してくれ……頼む、勘弁…してくれぇ…」
「勘弁、できませんね」 間髪入れず、西村が事務的な口調で回答する。
猪木の顔面が今度は失望と恐怖で蒼白色に染められる。
弟子は右足を軸に、痛めた左足を師の顔面めがけ大きく振り出した。
26 :
昔はカンコ君:04/09/30 02:34:34 ID:QQ3jWanw
西村の放った左足は、痛烈に猪木の顔面を捉えた…はずだった。
西村が蹴りを放つ刹那、猪木は右の掌に隠し持ったジャックナイフの刃を向ける。
ナイフは、迫り来る西村の左足を抉り取る……はずだった。
ところが、予想に反し西村の左足は自分の目の前に現れなかったのである。
西村の左足に予定をキャンセルされた猪木の右手は空しく宙を彷徨い、
ナイフごと地面に突き刺さる。弟子は師匠の行動を、すべて読み切っていた。
「…クッ!!」 慌てる猪木は逃亡ではなく、地に刺さったナイフを抜き出す事を採択する。
右手首に力を再度込めた瞬間、西村の右膝が鋭角かつ俊敏に襲い掛かる。
西村のニードロップを直撃された猪木の右手首は、引力に逆らうかの様に
あり得ない角度に帆を向けてしまった。
27 :
昔はカンコ君:04/09/30 02:36:10 ID:QQ3jWanw
「グヌゥ…!!」 言葉にならない叫び声と共に、猪木の肉体が横にゆらぐ。
先刻とは逆に、引力に惹かれるかの様に今度こそ西村の左足が猪木の顔へ襲い掛かる。
クリーンヒット。完璧に顔の真中を捉えた衝撃は、猪木の鼻を潰し、前歯をへし折る。
今までリング上で味わった事のない痛みに、猪木は悶え転がる。最早、声すら出ない。
「ヴッ!!」 西村も左足の激痛に耐えかね、膝をつく。しかし、今だ。今が勝負の時だ。
脂汗を垂らしながら、鋭い眼光で獲物を睨みつける。西村の中の隠れた野性が開花した。
「これで…終りというわけじゃありませんから!!」 西村が興奮のあまり、叫ぶ。
しかし、その声は泣きながら咳込む『神』の耳元に届いていたかどうか。
死体に群がる蝿の様に、ヘリコプターの集団がふたりの頭上に纏わり始める。
西村は再び猪木の元へ歩み出す。
泣き止んだ猪木は、仰向けになりながら虚ろな目で空を見上げる。
8月×日 AM11:35 残り時間:あと、25分
最後まで気の済むまでじっくりやっちゃってくださいw
29 :
:04/09/30 12:56:47 ID:Y2iKovvM
>>19-27 力作、乙です。すごく読み応えがあります。思う存分やって下さい!
しかし猪木はやることすべてがきたねーなw
30 :
お前名無しだろ:04/10/02 01:43:00 ID:6CkINggY
あげついでにあらすじ
21【午前3時30分】自動車整備工場(レス106〜110)
工場の片隅で息を潜めていた佐々木健介の元に野上彰がやってくる。
野上が健介を見ると慌てて命乞いを始める。
全く野上を殺す気なんてない健介は野上を落ち着かせようとするが、油断した健介を野上が策略通りに殺してしまう。
死亡者:健介
22【午前4時45分】デパート(レス152〜154)
デパートで爆弾の材料を探していた永田と飯塚だったが飯塚が裏切って永田を殺そうとする。
だがサムライのボウガンの矢が飯塚の腹を突いて、それに対して永田はサムライに銃弾を当て退散させた。
自分を裏切ろうとした飯塚に対して永田は駆け寄り声をかけるが飯塚はまもなく息絶えてしまった。
これの30分前に健介の遺体を発見した吉江は動揺して越中達から離れてしまったらしい。
死亡者:飯塚
23【午前5時】場所不明(レス143〜145)
また一人になって健介のことを考えていた吉江の前に予想だにしなかった男がやってくる。前田日明。
どうやら前田はこのゲームの参加者ではなかったのだが、兵士を振り切って、一般人立ち入り禁止区域に侵入したらしい。
目的は成瀬に話があったらしいが、関係ないはずの吉江を撲殺する。
死亡者:吉江
31 :
お前名無しだろ:04/10/02 01:45:22 ID:6CkINggY
24【午前5時10分】場所不明(レス164〜169)
吉江が前田になぶられているのを見ていた武藤。
前田に自分の存在を気付かれた武藤は前田を殺そうとする。
そこに成瀬が突如出現して前田を撃ってきた。
今の新日本にとどまっていたかった成瀬はそれを邪魔しようとするであろう前田を撃ったのだ。
しかし前田の目的は迷惑をかけた成瀬に対して謝るといったものだった。
前田の所に駆け寄り、自分のやったことを責めている成瀬の背後から乾いた銃声がなる。
成瀬に対して発砲したカシンだった。
気づかれないように距離をとって前田と成瀬を観察していた武藤とカシンが対峙するが、
互いが今戦う時ではないと直感した二人は互いに背をむけ歩き去っていった。
死亡者:前田、成瀬
25【午前5時30分】場所不明(レス128〜137)
これより以前の時間の、猪木を道連れにしようとした木戸修の計画は失敗していた。
休んでいる木戸の目の前には西村がいた。
自らの思いを託せる相手だと感じた木戸は西村に対して戦いを挑む。
だが、西村が説得してとりあえず行動を共にしようとしたその時、大谷晋二郎の弾が木戸をとらえていた。
死亡者:木戸
26【午前6時】ゲームエリア内全体(レス157〜160、170〜172)
二日目の朝6時の定期放送が流れる。
猪木は脱落者を発表後、まだ人を殺してない人間に対して、あと6時間以内に一人殺さないと脳内の発信機を爆破させると脅す。
そして見せしめとして今朝投降してきた木村健吾の頭をぶっ放してみせた。
死亡者:木村
32 :
お前名無しだろ:04/10/02 01:49:29 ID:6CkINggY
27【午前7時】公園(レス176〜181)
木村の最期を見届けた西村は木戸の亡骸を埋めるために公園の奥に入っていった。
そこへ藤田がスタート時以来再び西村の元へ姿を現す。
しかし藤田は最初に西村から約束されたとおりに人を殺さなかったわけではなかった。
藤田は西村を追い詰めるが、プロレスからもこのゲームからも逃げようとしている藤田の姿勢を西村は攻め立てる。
藤田が動揺したスキに西村がついに藤田の腹部を短刀で刺してしまった。
死亡者:藤田
28【午前7時〜8時以降】猪木事務所(レス193〜204)
猪木が格闘技探偵団バトラーツの石川雄規と島田雄二を徴集する。
中西学を素手で殺す事が目的らしい。
蝶野も久々に登場。
死亡者:石川、中西
29【午前7時15分〜】自動車整備工場(レス185〜186)
爆弾を作りながら、永田は越中に、ジャンボ鶴田が昔試験的に行われた『プログラム』の生き残りだという事実を聞かされて驚く。
そして鶴田がこの世を去ったのも手術中のショック死などではなく、国家の手によって消された可能性まであるという事らしい。
死亡者:無し
30【午前8時】病院(レス155〜156)
いつの間にかサムライに手足を縛られた中西。
中西はサムライにストレス解消の道具としていいようになぶられる。
死亡者:無し
33 :
お前名無しだろ:04/10/05 00:55:08 ID:INfxkYWM
age
御無沙汰してます。
バトロワを書き上げきれなくて投げ出した負け犬ですw
このスレを見て、ビックリしました…。
何度か復活したスレで「書きます」って宣言したのに、結局書き上げられなくて。
心残りというか、後悔しまくりというか…。
書けなくなったのは、時間が経ちすぎてしまったのも原因のひとつで。
私が最後に残したカシンと越中が新日を離脱してしまい
リアルとリンクしなくなってしまって、創作意欲がそがれてしまったんですよ。
あとは、自分自身の生活の変化ですね。
バトロワに時間を割くことが出来なくなってしまった。
…まぁ、何を言っても言い訳でしかないのですが。
今の私に出来るのは「カンコ君、頑張って」と応援することぐらいです。
あと
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Samos/1943/ ↑ここを完成させることですかね。
これを書く大変さ、よーっく知っています。
無責任かもしれないけど、頑張れカンコ君。
楽しみにしてます。
追伸。
>>22 私なら棚橋はヒール設定で、最後は可愛らしく散ってもらいますw
馳プラス野上キャラ、妙に納得です。つか、禿同。
そういや…今なら金本をもうちっとド派手に殺してあげたのになぁ。
…○○マニアとしてw
35 :
昔はカンコ君:04/10/05 02:56:12 ID:Df/rijYB
珍しくageで一言だけ。
>>34 >無責任かもしれないけど
立派に無責任だよw 以上
ついでに一つだけ聞かせておくんなまし。
三銃士(爆)の一員として、どんなラストを考えてた?
個人的に凄く知りたい。よろしくどーぞ。
PS.御成婚、おめでとう・・・でいいのかな?そうだったら本当、おめでとう!!
内輪ネタ終了。続編は明日間違いなくupします。で、今日は寝ます…
すんません。保管庫の最初のスレにリンクが
はられてないのは俺だけ?もういっかい始めから読みたいんですが…
37 :
保管庫の主:04/10/05 10:16:56 ID:O8jUh3KW
>>1にあるスレで、私(カシン職人)が中西不良債権スレに現れたと書いてあって
ちとビックリしたんだけど…カンコ君だったのね。
しかし、今さら見る人もいないだろうという思いもあって
放置プレイにしてたHPが紹介されてるとは…。
なんかカウンター回ってるなぁとは思ったけどw
初代スレのログ、私も持ってないんですよね。かちゅごと消しちゃったんで。
持ってたら提供したかったんだけど…申し訳ないです。
kaba鯖時代のログは、一部消失してるんですよね(2ch自体にログがない)。
>>37さん、ありがとう!ちょっとずつまとめていこうと思ってるので気長に待っててください。
>>35 無責任でスマンカッタって!w
三銃士(爆)かぁ…懐かしいですね。
えっと、個人的には西村生き残りで考えてました。
できればカシン(石澤)と御本尊も残したかったんですけど…。
西村を残すために散ってもらおうかな?とボンヤリ考えてました。
御成婚って、何だ???
40 :
36:04/10/05 23:33:13 ID:iDV+z2He
返答ありがとうございます>37
41 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:12:34 ID:rTETlHBG
まずは皆様に心よりお詫びを… m(_ _)m
私 、 時 間 記 入 を 間 違 え て ま し た orz
スイマセンが編集時にAM⇒PMに変更願います。あるまじきミスでした。以後留意します。
>>39 いや、「生活の変化…」「時間を割けなく…」って書いてあったので、早とちりしましたw
謝罪はするけど賠償はしないという気(ry
接待で泥酔してたので変なコメント残しました。スマン&お久しぶりです!!
責任云々は止めにしましょう…元はと言えばスレ立ち上げた人が佳境で『後は任せた』
とか言ってトンズラこいちゃうんだからw 宿命ですな、このスレの。
それより我々が引退した後、獅子奮迅の活躍、御苦労様でした。帰国後、過去ログ読みましたが
なんか大変な人(・∀・)まで背負わしちゃったみたいで…
また創作意欲が復活したら是非書いて下さい。私も再開時に『途中経過はムリ』というのを
条件にやらせてもらってますから。自分の興味のあるシーンだけでもOKじゃない?て言うか、助けてw
相変わらず塩分高目の文体ですが、温かく見守ってやって下さい。
『同志』と呼べる人が戻って来てくれた事に感謝します。心強いですよ、マジで。
てな訳で続編UPします。本日より『転』編に突入します。
42 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:13:43 ID:rTETlHBG
<PM11:35 残り時間:あと、25分>
「…とうとう、クライマックスか」 上空から疲れた口調で、ある自衛隊員が呟く。
「ようやくですね…ホント」 パイロットも辟易した様子で同調する。
犠牲者を出し、かつ作戦本部(道場)まで破壊されるという失態を重ねた彼等に
これ以上の失敗は許されない。万が一に備え、水も漏らさぬ警備体制を敷く。
もっとも地上で這う様に戦う西村と猪木に、最早そんな事を気にする余裕もないが。
「まぁ、とんでもない目にあったよな、実際」
「コリゴリですよ…二度と関わりたくないっすね、こんな仕事」
「ホントだ…でも正直な所、お偉いサン達も俺達も舐めてたよな…」
「大したもんすっよ。追い込まれてからがシブトイ。凄いっすね、プロレスラーって」
「…何を持って真剣勝負って言うのか、よくわからんが…」 気難しい顔をしながら、
上長である方の自衛隊員が感想を述べ続ける。
「プロレスラーってのは強いよ。強い。何もこんな事しなくったってなぁ…」
43 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:15:09 ID:rTETlHBG
「下らん事、考えつく奴ですよね…今、天罰が下ったみたいですけど」
霞ヶ関方面からの打電を横目で睨みながら、パイロットが報告する。
「ほう、随分と迅速な処置だな。お上にしては珍しく」
「長引かせるとマズイって判断したんすかね?ある意味、国家責任ですから」
「まったくだ。与党の一員が殺人供与してたなんて口が裂けても、な…処刑方法は?」
「…詳しくは書いてないっすけど…薬物投与みたいですね、どうやら」
「急逝麻痺かなんかに見立てるって事か…無難な選択だな」
「…もっと苦しめて殺してやりたかったですけどね!!奴の為に一体、どんだけの犠牲が…」
「…俺には理解できんな。与党の、しかも最大派閥の中堅にいる奴が、何でこんな真似を」
「自分だけ脳内爆弾セットしてなかったって話じゃないですか!?手の込んだ真似しやがって」
国家側に莫大な損害を与え、その面子を丸潰しにした首謀者:馳浩は処刑された。
猪木を隠れ蓑とし日本プロレス界乗っ取りを図った彼の策略は、その不純な動機が仇となり
無様にも仇花と散った。数多くの尊い生命を奪いながら…
44 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:16:18 ID:rTETlHBG
「奴の下らん名誉欲のせいで…罪も無い同僚やレスラー達が…やりきれんな…」
「まぁ、それでも…あのアゴ野郎だけは同罪ですけどね。ザマァみろ!!死ね!!死にさらせ!!」
西村に蹴り飛ばされたアゴ野郎の姿を見下ろしながら、パイロットは忌々しげに吐き捨てる。
「…どんな結果になろうと、死者達が報われる事はないだろうが…」 上長らしき男は祈る様に呟く。
「せめて…勝たしてやりたいな。あの西村って男の方に…」
「ホントっすね。勝って欲しいですよ、西村に…でも」 多少不安気にパイロットが疑問を切り出す。
「…12時までに終らなかったら、どうすんですか、コレ…?」
「終んなかったらって…流石に終るだろ、もう。アゴも西村って奴もボロボロだ」
「いや…あの二人はそうなんですけど…」「じゃぁ終りだろ?他に何があるんだよ」
「まぁ…取り越し苦労なんでしょうけど…」 パイロットは疑念を投げ続ける。
「…もうひとり、残ってるじゃないっすか?一応……」
45 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:18:29 ID:rTETlHBG
「もうひとり、って…お前なぁ」 呆れた様に上司が部下の取越苦労を嘲う。
「可哀想だが…もう『人』じゃねぇぞ、あれは。放っておけば12時までに事切れるさ」
「いや、念の為に聞いてみただけですよ。深い意味はないです」
「レーダーもないし、今何処にいるかもわからんが…昨日の夜以降、全く姿を見せんしな」
「出てきた所で戦える訳はないですが…特に異様な生命力じゃないっすか、アレは?」
「…生きてた所でなぁ……下方注視せよ!! 西村が再び向い出した!!」「了解。高度50mほど…」
西村が決着を求め猪木へ再び歩み出した。自衛隊員達も呑気な論評を中断し職務に戻る。
野毛の道場が破壊された瞬間、参加者達の位置を確認する特殊レーダーも破壊された。
参加者の生息は今や肉眼と死亡確認の有無でしか判断できない。
しかし、猪木を倒す事だけを強く思う西村にとっては興味のない話である。
例え別の生命が遥か後方より、母を捜すはぐれた赤子の様に後を追って来ているとしても。
その瞬間、顔に手を当て上空を見上げていた猪木の顔が少しだけ横に動いた。
西村も自衛隊員達も気付かない。猪木の反応にも、『彼』の存在にも。
月が闇夜を照らす。PM11時38分 ― 参加者:3名。もうひとり、いる。
46 :
昔はカンコ君:04/10/06 01:29:49 ID:rTETlHBG
馳の存在について簡単に説明させて下さい。
まだ一読者だった頃、最も心に引っ掛ったのが彼の参加でした。
いや、どー考えても出場拒否できる地位にいるのに、なんで…?と思った時、自分の脳内に
閃いたのが
>>43のストーリーでした。
猪木と違い、自分が前面に出る事よりも『陰のフィクサー』になりたがる性格を鑑みると、
こういう設定が最も無難なのかなぁ…と。
レスラーに退治させるべきだ!!という御意見は正論だと思うのですが、むしろ馳の様な
権力&上昇志向の非常に強い人間は、自分が最も大事にしている評価基準―つまり国家権力―
から見捨てられるのが一番堪えるのかな…と思い、こんな後付設定にしてみました。
『もうひとり』については…バレバレですな、多分w
唯一、描写を避けていた主要キャラにようやく挑戦してみます。次回UPは週末を目標に頑張ります。
気長に頑張れや!
48 :
:04/10/06 11:22:37 ID:c1/n8IB5
おぉ・・・神がふたりも・・・新作も読めたし満腹満腹。
俺も
>>34さんの書き下ろしがみたい。保永-カシンは最高だった。気が向いたら是非。
>>46 流れ的に馳はカシンに殺られると思ってたが・・・こういう見方もあるんだなあ。
職人って呼ばれる人たちは考えが深い。で、素人の俺には「もうひとり」が誰だかサパーリわからん・・・otz
うおおおおおお・・・・・・
「昔はカンコ君」様
「○○マニア」様
おつかれさまです
またこうして続きが読めるなんて、「今の新日なら」の質問にご回答いただきありがとうございます!
偶然小橋スレからリンクを削って辿り着き、続きが読めないことにやきもきして、
よりによって中西スレで話題を振ったことがこんな形に繋がるなんて思いもよりませんでした
喰い付いて来て他スレにまで振ってくれて、HPまで作ってくれた不良債権スレのみんなの反応も望外の喜びでした
>48
馳の最後は以外でしたねぇ
当初馳せは脳に埋め込まれた爆弾の影響で狂ったような描写でしたが、実は三味線だったとは・・・
(・∀・)氏の永田町突入は突飛だったけど、国家プロジェクトということを考えると、
その辺の清算は必要だろうし、そういうアレはいいですよね
もう一人はしぶといヤツなので、元Tガーマスクでは?
大穴でサムライw
佳境突入!期待してまつ
カシンスレの住人です。カシン不足が続いております。
こちらにお恵みを頂きにきましたw
期待してります。ガンガレ!
52 :
昔はカンコ君:04/10/09 04:40:05 ID:Qmeou2Yt
>>47-50 御声援、ありがとうございます。少しでも喜んで頂ける様、精進します。
>>51 ……(苦笑…もう少しだけ、待って下さい。考えている場面はあるので、一応。
で、恒例のお詫びですm(_ _)m
いや、書いたんですよ。書いたんですが…ビミョーな出来でしてw
明日から3日間、海外研修なので頭冷やしてきます。もう少しだけ猶予を下さい。
いつも約束反故にしてゴメンナサイ…台風直撃してくれれば、ゆっくり出来るんですが…
53 :
お前名無しだろ:04/10/09 14:25:51 ID:ZLkHHPde
楽しみにして読んでます。
職人さまありがとうございます。あげときます。
54 :
お前名無しだろ:04/10/11 17:55:01 ID:bhBtwELC
もし今現在が舞台なら
柴田や中邑なんぞ活躍させずに今だからこそ第三世代を暗躍させてほしいね。
永田さんがスーパーヒールなら文句ないだろう。中西は・・・すぐ死ぬくらいしか思いつかんな。
55 :
お前名無しだろ:04/10/11 18:00:24 ID:bhBtwELC
ああ!
中西はぶち切れてサムライみたいになって大暴れしたら誰にも手がつけられないぞ!
潜在能力大爆発超人不死身ゾンビこれいいじゃん。
柴田は井上の死体の前で泣いてた頃がよかったよ。あのDQNめ。
永田さんスーパーヒールもいいね
毒薬でかつての仲間の自由を奪い、不敵に笑う
「いいんだね、殺っちゃって?」
そうそう、柴田もバトロワ風の熱血キャラがいいな
今の若手ってみんな斜に構えてるっていうかドライなキャラが多いから、
とにかく熱血で不器用なキャラなら、あの蹴りにこだわるスタイルにも感情移入できるんだけどな
58 :
お前名無しだろ:04/10/11 20:54:07 ID:bhBtwELC
>56「いいんだね殺っちゃって?」最高!
>57カシンを慕って騙され半殺し
井上の死体に語りかけてるうちに健三に殺される柴田・・・
これこそ理想の柴田像だ。名シーンだった。
今はフリーになっちゃったけど、健介や中嶋君の参加はありかな?
もちろんアリじゃないかな
今度はキラー側だろうね、タッグで騙まし討ち
もちろん裏では北斗が・・・
61 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:21:21 ID:4+jKFT93
あぁ…本編がツマランから話題が「現在やり直し」バーションへ移行している…orz
というのは冗談でw、本編に進行がない時はそういう話題で盛り上がって頂ければ
進行の遅い塩職人としては非常に幸いです。
でも正直な所
>>55さんの意見と全く同設定だったのが驚きました>中西現在編。
次やるなら、主義主張は全く関係ナシで暴走しまくる中西…にしたかったので。
私なら最初に成○あたりを惨殺させますね。で、何故かそれを望遠鏡で覗きながら
大はしゃぎする部外者でフリーのマスクマン(青森出身)みたいなシーンを想像してましたw
閉話休題。肝心の本編(旧?)をUP致します。
相変わらず長〜いので、ちょっと数日に分けさせて頂きます。
62 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:22:38 ID:4+jKFT93
「…何か、言い残す事はありますか?」
夜空を見上げる猪木の頭上にそびえ立つ西村が事務的に尋ねる。
猪木は口を押えたまま、無反応を貫き通す。
二人の頭上にはヘリからのサーチライトが無数に照らされている。
メインイベンター達を祝福するスポットライトの如く。
「………」 ようやく猪木が言葉を発する。が、前歯の折れた中での発音は
聞き取りにくい事、この上ない。
(…ブラフか?) 西村に疑念が起る。言葉を聞き取ろうと顔を近づける相手の隙を…
等の手段は、この偉大なペテン師にとって朝飯以前の芸当だろう。
怪訝な顔を浮べる弟子を見て、埃と血に塗れた師匠は微笑を返す。
「…殺して……みろよ…」
「…また、その手段ですか…進歩のない…」
「御託ならべてんじゃねーぞ…やれるもんなら…やってみろ…」
「何度も見ました…貴方と藤波さんの試合…東京体育館でしたね、確か」
西村の脳裏に蘇る、あの哀しき名勝負。新日本の挽歌と詠われた師弟対決。
「…あの時、藤波さんは折れなかった。だから…私にも、折れないとでも?」
63 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:24:26 ID:4+jKFT93
「…敵を目の前にして…ダラダラおしゃべりする奴に、俺は負けねーよ…」
立場が逆転された気すら感じさせる、このハッタリと自信。
数多くの同胞や弟子達が魅入られ、自滅へと導かれた魔性の瞳・魔性の言葉。
西村は様々な感情を抱きながら、敢えて師匠の次の台詞を待つ。
「俺を…殺れたら…認めてやらぁ、テメーのことを…」
「……認める…?」 西村の眉が吊り上がる。冷めていた感情が燃え上がる。
「面白い…事を言うもんだ…」 瞬時に猪木の体を跨ぎ、両足で胴を固定する。
「貴方が…『認める』という言葉を知っていたとは…」 襟首を掴んで持ち上げる。
「…それが、どういう事なのか…」 唇が怒りに震える。噛み締めた奥歯が摩擦で蕩ける程の怒りに。
「私が…身を持って教えて差し上げますよ」 西村の傷ついた両腕に力がこもる。
弟子の発案を拒否するが如く、猪木は血の混じった唾を吐き付ける。
それがゴングの合図であるかの様に、西村は前頭部を思い切り師匠の顔の中心に叩きつける。
猪木は再び声も出さず後方へ仰け反る。そこへ、西村の左拳が追い討ちを掛けた。
64 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:26:01 ID:4+jKFT93
西村はひたすら左拳を撃ち付ける。皮膚が剥れ、骨が露出する程の勢いで。
彼の拳に乗り移った、この3日間…いや、数十年の弟子達の思い。藤波辰巳の無念。長州力の焦燥。
「貴方が…あなたが誰かを認めていれば!! こんなことにっ!!」
『神』が壊されて行く。鼻は曲がり、目は腫れ、生気が失せ、鮮血が吹き飛ぶ。
それでも西村の暴行と悲嘆は止まない。この悲劇の全ての原因を理解してしまった今では。
「自分さえ…自分さえよければ、それでいいのかっ貴方は!!?」
猪木は、猪木の事にしか興味が無い。愛着も無い。アントニオ猪木こそが全ての世界。
その世界が少しでもハレーションを起すや否や、彼は赤子の如く拗ね、塞ぎ、暴れ出す。
尻拭いの連続だった坂口、追放された前田、潰された橋本…数え上げれば暇もない。
そして巨大な赤子は、リングだけだは飽き足らず、国家から与えられた権力と言う玩具で
人間の生命まで奪い始めた。何の自覚もないまま、責任を負わぬまま。
その我侭のツケが回って来た現在でも、彼は主人公を気取る。その破廉恥さが、西村の心を乱す。
「周りを見れず、他人の痛みを感じられない男が…今更なにを!?」
その批判を最後に、ようやく西村は拳を止める。解放された猪木は上半身ごと倒れ込み、苦しそうに
咳き込む。肩で息をしながら、弟子は再度師匠の襟首を掴み詰問する。
「…これでも…こうなっても、未だ私達のことを認めませんか、貴方は!!?!」
65 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:28:43 ID:4+jKFT93
その言葉に、今まで水死体の様に無反応だった猪木の体が反応した。
生気の感じられない瞳で、気だるげに顎を上げ、批判の発信元を力なく覗き込む。
が、その生気のない瞳を見た瞬間、西村の背中に例え様の無い悪寒が走る。
(…なんだ?…この…深海魚のような…奥へ奥へと誘う感じは…?)
次の瞬間、西村の体に異変が発生する。味わった事のない程の激痛 ― 悪寒は的中した。
馳の銃弾によって貫かれた左太腿。その空間に、猪木の右親指がすっぽり納まっていた。
「……!!!!」 声にならない声を上げ、あまりの激痛に西村は倒れ込む。のた打ち回る。
そのギリギリの空間の中で、背後に殺気を感じた。必死で身を捩る西村。
「…ヒャァッー!!!!」という奇声と共に、瓦礫を持った猪木が倒れ込む様に殺到するのが見えた。
西村は突き出した右足を相手の下腹部に添え、反動を利用し後方へ投げ飛ばす。モンキーフリップ!
66 :
昔はカンコ君:04/10/13 01:29:46 ID:4+jKFT93
猪木の体が大きく弧を描いた。西村は激痛に耐えながら体勢を立て直す。
ところが鈍い衝突音と共に地面に落下した猪木も、反動を利用し即座に立ち上がる。
二人の距離に、何とも言えない『間』が発生する。睨み合い、間合いを取る師匠と弟子。
沈黙を破る様に、猪木が鼻の中で固まった血を噛み出す。
「…俺が認めねーんじゃねぇ…お前らが認めさせねーんだ!! わかんねーかコノヤローッ!!!」
「…効いてなかった訳ですか…私の攻撃は…」
「前に教えたろっ!? 力任せの攻撃をしてくる奴には…」「……?」「…風車の理論だろうが、ンムフフフ」
西村は呆れた様に首を振る。
「…この場で…この、殺し合いの場で…よく考えつきますね、そんなことを…」
信じられない話だ。でも、この男はやってのけた。ハッタリと度胸と野生の勘で。
「よくわかったろ、俺とテメーの差が!! テメー如きが俺に勝とうなんざ、百年早ぇんだコノヤローッ!!」
「…百年、経っても…認めないくせに…」 弟子は思わず苦笑いをこぼした。
67 :
:04/10/13 18:01:08 ID:eLHOjcS5
>>62-66 力作、乙です
そうだよなー、猪木って絶対弟子とか認めないよなー
でも弟子を認める猪木は猪木じゃねーと思うし・・・難しいな
風車の理論のところは読んでて(猪木、カッケー)と思ってしまった
続編を楽しみにしてまつ
お疲れ様です。
カンコ君ならきっと、この長い長い話を終わらせることができるでしょう。
ひそかに楽しみにしています。
69 :
昔はカンコ君:04/10/14 02:47:16 ID:8LMZ3pGB
>>67 御賛同、ありがとうございます。
風車の理論…はやり過ぎたかな?と思ってたので、喜んで頂けて嬉しいです。
>>68 長い長い話…にしてしまったのは、私に大半の責任があり…
今ですら当初の予定より大幅に長引かせてちゃってますからねぇ…
でも、絶対に最後まで頑張ります。応援、ありがとうございます。
続編3部UPします。こっからが自分にとってのヤマなので、じっくり練り込みます。
70 :
昔はカンコ君:04/10/14 02:48:49 ID:8LMZ3pGB
「でも…本当に、覚悟が決りました…」 自分でも違和感を感じる、この高揚感と満喫感。
圧倒的優位でありながら、何時しか立場は五分と五分。精神的には最早、敵が優勢だろう。
しかし…一生の憧れであり目標であった男とメインを締めれる快感がそれらを忘れさせる。
「認めさせますよ…どんなことをしても…」 西村が再び素手で猪木の元へ歩み出す。
弟子の覚悟を感じ取ったのか、はたまた得意の土俵で勝負できる余裕か。猪木は両手を上げ迎え撃つ。
先刻の西村の膝攻撃で、少なくとも右手にヒビは入っている筈。が、そんな事は全くお構い無しだ。
ファイティング・ハイ ― 興奮によるテンションの高まりが痛みすら超越する。燃える闘魂の真骨頂。
前傾姿勢を取りながら、両手を叩く。西村を挑発し、国家という『観客』を煽り、自分自身を興奮させる為に。
その距離、既そ1メートル弱。手四つ寸前の体勢でお互いを探り合う。殺し合いという名の『プロレス』。
傷だらけでありながら武器を使わず、全知全能を掛け相手を上回ろうとする命懸けのプロレス。
総合格闘技等では有得ない世界 ― ハンデを色気に変え、ハンデを逆利用する虚実混在の魔空間。
「……凄ぇ…」 上空から見守る自衛隊員のひとりが思わず呟く。
西村の右手と猪木の左手が触れ合う瞬間、猪木の体が西村の視界から消えた。
71 :
昔はカンコ君:04/10/14 02:50:07 ID:8LMZ3pGB
猪木が身を屈めながら渾身の一発を放つ。スライディング・ローキック ― 通称『アリ・キック』
が、幼少の頃から猪木を見ていた西村には予想の範疇でしかない。
(…このひとが、間合いを崩す時は張り手かローのどっちかだ)
ステップバックする西村。反動で猪木が背を向ける。西村がバックを取る。
「…クッ!!」 苦し紛れに猪木が思い切り後頭部を振る。
西村は間一髪避けると、相手の反動を利用しテイクダウンに成功した。
再び猪木の胴に乗った西村は、左手首を猪木の喉に押し付ける。
動かない右手を左手に添え、そこに額の圧力を加える。体中の力を全て猪木の喉元へ!!!!
「……!!!??」 不意を付かれた猪木も反撃する。
両の腕で西村の両耳を千切ろうとするが、相手の顔が自分の胸に密着している為、固定できない。
駄々を捏ねる子供の様に猪木は両腕を回す。しかし効果は生れない。最大のピンチだ…
(…勝てる…これで、ようやく勝てる…このひとに…!!)
西村は確信する。師匠の長い顎が圧迫を妨げてはいるが、絶好のポジションだ。
猪木の反撃が弱まる。彼の呼吸が口ではなく鼻から聞える様になってきた。間違いなく効いている。
これがブラフであっても最早構わない。自分の信じた攻撃を愚直に続けよう。長期戦なら、お手の物だ。
72 :
昔はカンコ君:04/10/14 02:51:56 ID:8LMZ3pGB
(…勝てる…勝てるぞ、みんな…どうか、僕に力を……!!)
背負うまい…と決心した筈が、どうしても脳裏に浮んで来る同志の顔・顔・顔…
「…もうすぐ、もうすぐですからっ…!!」 猪木の胸に顔を埋めながら、西村は叫び続ける。
(西やん、頑張れ!!俺たちの仇を討ってくれ!!) 同期で大の親友であった天山広吉からの激励
(プロレスの教科書1ページ!!絶対、正義は勝つ!!) 若干くどいけど、パワーをくれる大谷晋二郎の絶叫
(まだ勝ったわけじゃないって!!気を緩めるなって!!) ずっと、ずっと自分を支えてくれた越中詩郎からの一喝
(…アナタに託して良かった、と思わせて下さいよ) 機会を与えてくれた後輩―藤田和之の穏やかな笑顔
(…ほう…やるじゃないか…) 身を呈して自分を守ってくれた先輩―木戸修は静かに微笑む
(だから疲れた、って言ってるでしょ…いちいち俺の事なんか、思い出してくれなくていいですから…)
本来ならば、間違いなくこのステージに立っていたプログラム最高の実績と実力を見せたケンドー・カシンは
例の調子でぶっきらぼうに語り掛ける。とっとと、この下劣な営みを終らせろ…とばかりに。
走馬灯の様に西村の頭に去来する同僚達からの厳しくも暖かい激励の数々。
その声援を力に変え、西村は猪木の喉元を圧迫し続ける。自分を、自分達を師に認めさせようと。
しかし…その走馬灯の奥に― 皆の顔がはっきり見える奥に ―正体不明の男が、ひとりいる。
皆が自分を向いている、あのカシンでさえ自分の方を見ていると言うのに、その男は西村に視線を向けない。
絶対、見覚えのある坊主頭の後姿…しかし、何故か西村は彼の事だけは思い出せない。否、思い出そうとしない。
『それ』を思い出した瞬間、何かが崩れそうな予感を抱いた。『それ』を振り切る為、西村は一心不乱に締め続ける。
ヘリの爆音と猪木の呻き声の合間から、何か泣き声の様な音が聞えた気がする。幻聴だ。きっと、幻聴だ…
PM11時49分 ― 残り時間:11分。もうすぐ終る。もうすぐ、全てにケリがつく。
73 :
お前名無しだろ:04/10/14 23:51:49 ID:JG6KGPUA
西村がんばれ!
西村なら猪木を越えられる、絶対!
謎かけ深過ぎ‥一体どんな結末になるんだ?
76 :
:04/10/15 23:20:03 ID:5ylccYWe
>>72 天山惨殺の時の衝撃、木戸さんのかっこ良さ、藤田戦の驚きのラスト・・・
リアルタイムで見てた時の感動が蘇った。ありがとう。
じっくりやって下さい。応援してます、頑張れカンコ君!
ところで、もうひとり=西村の脳裏に浮かんだ男なの?
相変らずサパーリわからん・・・otz
77 :
お前名無しだろ:04/10/17 03:09:22 ID:RXjgIA4F
中西スレに貼られてたのを読んで衝撃をうけたんだけど
ここに中西vs蝶野の職人の人っています?
いたら教えて
中西蝶野の名シーンだけどなんでこの二人を絡ませたんですか?
この二人現実に特別な因縁あったっけ?
78 :
昔はカンコ君:04/10/18 01:16:09 ID:MFKL4GaP
>>77 私です(エヘン。喜んで頂けて幸いです。
で、御質問に関してですが正直しょっぱい回答になります…
【理由@】蝶野を12時までに人殺しさせなければならなかった為。
自分で創った新ルールとやらで、自分の首を締めてましたw
でも適当な相手がいなかったんですよ>当時。生存してる連中、大物ばかりで。
そこでZNLさんが敢えて結末を描かなかった『サムライVS中西』編から
頼み込んで強引にお借りした次第です。
【理由A】このスレの創始者、偉大なる1さんこと猪木◆CG28uNUcさんの残した
ストーリーをどうにか活かしたかった為。
私も道場での蝶野と中西の会話にグッ…と来たので、職人に転じてから
どうにか、あの素晴らしいストーリーを繋ぎたかった、というのが本音です。
蝶野と中西の関係については、本当は全く知りませんm(_ _)m
期待外れの答えで申し訳ないのですが、こちらでよろしいでしょうか…?
79 :
昔はカンコ君:04/10/18 01:23:21 ID:MFKL4GaP
続いて業務連絡(?)です。
肝心の本編についてですが、ようやくストーリーがまとまりました。
ですが今週は非常に多忙につき、ディテールの整理や入力作業をしてる時間が全く無く…
恐縮ですが、あと一週間ほど時間を下さい。
予定としては日曜日に全てを入力→相変わらず長いので数日に掛けてUP、を考えて
るので、足掛け2週間になるかな…と。
『すぐ、やる!!』と言っておきながら、この体たらくで恐縮ですが、何卒御理解頂きたく
当投稿にてお願い申し上げます。
80 :
お前名無しだろ:04/10/18 02:06:56 ID:+Fkvv8X1
>>78ありがとうございます。
なるほど。出発シーンの中西蝶野もぐっと来たもんね。
一説によると中西は蝶野の元付き人で実は蝶野は今でも出来の悪い元付き人が
心配でしょうがないなどと書かれてることもあったけど確実な情報じゃないんですね。
考えてみりゃ中西に蝶野の付き人が勤まるわけないか・・・
けどなんとなく蝶野って中西好きそうだけどね。
怒濤のラストを期待してまつ!
いよいよ大詰めって感じですね!
どのようなラストになるのかとても楽しみです。
保管サイトですが本編のまとめがなんとか終了しました。
一応アドレス置いておきますね。
つ
ttp://logstorage.fc2web.com/ あと私信です。
元○○マニアさん、保管庫BBSの方に質問が書き込まれて
いるようですのでよろしかったら返答をお願いします。
83 :
:04/10/19 22:54:20 ID:iKcxCIbs
>>82まとめ激乙です。じっくり土日で読み返してみますわ。
カンコ君の描くラストもすごく楽しみにしてます。
バトロワ日和の週末になりそうですな
84 :
お前名無しだろ:04/10/20 22:57:35 ID:P3R0wpoZ
応援あげ
西村が移籍?する前に終ってほしい‥職人サン頑張って!
ところで、バトロワ読んでるときにその場面をイメージしながら読んでると思うんですけど、
選手達の格好はどんな感じでイメージしてますか?私服ですかそれともリングコスチュームですか?
俺はリングコスチュームで闘っているイメージですw
87 :
お前名無しだろ:04/10/23 22:35:06 ID:YZNfVSxL
>>86 街中でパンツ一枚?
文中に記述があるものはできるだけそっちでイメージしてるけどなあ
88 :
お前名無しだろ:04/10/23 23:15:18 ID:GYslQvo0
バトロワは私の青春です
職人さんありがとうございます
服は…なんかみんなジャージやTシャツのイメージが
蝶野は革パン
島田はポロシャツ
バトロワは私の青春です
職人さんありがとうございます
服は…なんかみんなジャージやTシャツのイメージが
蝶野は革パン
島田はポロシャツ
90 :
昔はカンコ君:04/10/25 01:53:16 ID:DvFkRrzX
8月×日 PM11:50分 残り時間:10分
「…あと10分か…あのー、さっきも聞きましたけど……」
「決着がつかない場合だろ?正直、俺も詳しい事は知らんが…」
地上で揉み合う西村と猪木を遥か上空から見下ろしながら、自衛隊員達は語る。
「まさか…両者射殺とか、っすか?」
「それはないだろ、多分。ここまで被害と犠牲を蒙ったんだ。意地でも優勝者は決めるさ」
「このまま…西村が縊り殺してくれればいいんすけどね、アゴのことを」
「そう願いたいが…あのままの態勢のままでは、難しいだろうな」
上官の方は恐らく柔道か何かの有資格者なのだろう。感情を排し、冷静な解説を加える。
「締め落すには体重の乗せ方が不安定だ。顎が長いって事も満更、悪い訳じゃないな…」
「やっぱ…効いてないんすか?」 パイロットは完全に西村贔屓だ。若干、悲痛な声を出す。
「いや、効いてはいるよ。この時間帯でああいう地味な攻撃されると、精神的にもキツイだろうな」
「じゃぁ…何処で西村が勝負を掛けるか、が…」
「勝負のポイントだろうな。だが、アゴも悔しいが百戦錬磨だ。当然、その隙を狙ってるさ」
上官の推測は当っている。上空からは判別不可能だろうが、西村の両腕による圧迫を必死で
凌いでいる猪木の眼光は衰えていない。
「勝負は、一瞬か…」「あぁ、恐らくな…」「……頑張れよ、西村ぁ…」
91 :
昔はカンコ君:04/10/25 01:55:40 ID:DvFkRrzX
「でも、な」 上官の方が悪戯気味に語る。やはり、所詮は他人事なのだろう。
「プロレスラー同士の戦いなんだから…案外、乱入とかあって無効試合、とかな」
「…!!…この場面で、ですか?」「だって、あとひとり残ってるだろ?お前がお気に入りの奴が(笑)」
「勘弁して下さいよ。別にお気に入りでも何でもないっすよ、あんなの…第一…」
「…もう、動けないって言いたいんだろ?」 上官はパイロットの思考を読み取った上で、疑問を呈す。
「……じゃぁ、アレは一体…なんだ?」
「…??…」 パイロットが必死に目を凝らす。夜間飛行の上、旋回中の身に肉眼での状況把握は困難を極める。
そして夜目に慣れた瞬間、パイロットは声を呑んだ。サーチライトの切れ目の辺りを放浪する存在に対し。
「……います!!確かにいます!!奴です!!間違いなく、奴です!!」
「…驚いたな。生きてたのは知ってたが、まさか…この時間になって…」
「しかし…向かいませんよ、アゴと西村の所に…」
「平衡感覚を失ってるんじゃないか…?直進すら困難な様に見えるが…」
「…うろついてるだけですかね…?」「辻褄が、合わん」 上官がパイロットの甘い願望を打ち砕く。
「今まで姿を現さなかった男が、何故残り10分になって…。何か、仕掛けがあるはずだ…」
「…アングル、ってやつですか?」「お前も妙に詳しいな…地上のモニターから奴の画像を送信させろ」
92 :
昔はカンコ君:04/10/25 01:57:29 ID:DvFkRrzX
「……キショー…チキシ……ショー…」
いざ最後の大勝負を迎えようとしている西村の耳に確かに届く、恨めしい呪声。
が、西村は必死で思い込もうとする。これは、幻想だと。自分の心の弱さが生んだ幻想である、と。
心の中に潜む『彼』は、先刻と異なり自分を射る様な視線で見つめている。西村は、その視線から身を背ける。
(…もうすぐ終る…終ったら、真っ先にお前に報告するから…頼む、邪魔しないでくれ…)
その悲痛な祈りが通じたのか、呪声は一旦遠去かる。今がチャンスと、西村は態勢移行の準備に入る。
数分に渡り喉元を圧迫され続けて来た猪木にも、その事は認識できた。しかし、体が痺れて動けない…
「…取越苦労じゃないですか…?また、何処かへ行きそうですよ…」「なら、いいんだがな…」
上空で見守る自衛官達は得体の知れない不安感に包囲されながら会話を続けている。
「まぁ…あの様子じゃ何も出来ない…って、到着しました」「写真か?どうなっている、奴は?」
「…写り、悪ぃなー……ん?…伍長…これ、一体、なんですか……?」
伍長、と呼ばれた上官が身を乗り出し目を細め、画像を確認する。その刹那、彼は仰天した。
「………ッッンッ………!!!!」
彼は驚愕と恐怖で声を失う。しかし、流石は緊急事態のプロフェッショナルだ。一瞬で平常心を取り戻し、
他機に対しトランシーバーより命令を伝える。
「高度200m上昇!!現場より速やかに離脱せよ!!地上部隊も急ぎ撤収せよ!!」
…もう御免だ。もう沢山だ。これ以上の被害を受けてたまるか。たかが、プロレスラーの喧嘩の為に。
彼の脳裏には既に猪木も西村も、当然『彼』の事もない。自衛隊は一目散に離散した。
戦場を取り乱すかの如く逃げ出す戦闘機も、地上で揉み合う自分の師匠と同僚の姿も目に入らない。
「……キショー…チキショー…ゆるさねぇぞ……馳ぇ…」
『彼』は虚ろな目で呪文を繰り返す。左手にプッシュナイフ、胸元にペースメーカー、そして頭部にダイナマイトという珍妙な格好で。
8月×日 PM11:53分 残り時間:7分 狂気のマスクマン 乱入
93 :
昔はカンコ君:04/10/25 02:03:29 ID:DvFkRrzX
…という事で、ようやく『ケツ』…じゃなかった『結』編に突入しました。
とりあえず本日はここまで。これからも頑張ります。
『もうひとり』は…スイマセン、ベタなヲチでw
しかし、当スレ最高傑作キャラですから…最後までいて欲しいな、と。
何故、馳が出て来たか…は明日以降で追々描いて行きます。
94 :
:04/10/25 21:56:01 ID:GOgHOyre
>>90-92 狂気のマスクマンキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
最高傑作キタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!
ここで出てくるとは思いもヨランカッタ。でもTガーマスクの方じゃないよね・・?
まさか、まさか、大穴が来てしまうのか?
こっ…ここでサムライ登場かよっ!!!
すげー、もうこの後どーなるかサパーリわかんね〜
正座して続きを待ってます!!
こっ…ここでサムライ登場かよっ!!!
すげー、もうこの後どーなるかサパーリわかんね〜
正座して続きを待ってます!!
98 :
96:04/10/25 23:48:42 ID:W0phI8Vy
興奮して二重カキコしてもうた…スマソm(__)m
99 :
お前名無しだろ:04/10/26 18:37:52 ID:xt6pn5WL
ageときます
100ゲットさせて頂きますw
それにしても、流石は最高傑作。人気あるなぁ〜、今更ながら。
この反響の大きさに負けない様、精進致します。
てな訳で続編です。尻切れトンボですが、続きは近々に、必ず。
その瞬間、西村の聴覚から騒音が遠去かった。
耳鳴りする程の飛行音を捻出していたヘリの集団が上昇して行く。
予想外の出来事に、西村は戸惑い、上空に気をやる。
その一瞬 − ほんの一瞬 − 西村の肉体から集中力が削げた一瞬を『神』が見逃すはずもない。
「…ウッ…!!」 下腹部に鈍痛が走る。西村の態勢に隙が発生すると同時に、猪木の膝が西村の急所に
突き刺さった。
猪木は痛みで顔を上げた西村の右頬を思い切り拳で殴る。
そして、衝撃で揺らぐ西村の肉体の支配下から慌てて逃げ出そうとする。一気に勝敗を決しよう、と。
「……??…?…」 しかし、今度は猪木に一瞬の空白が生じる。
自分の左斜めを徘徊する得体の知れない物体を認識した時、流石の猪木も判断に窮したのだ。
(…なんだ、ありゃ…敵か味方か…ワケわかんねーぞコノヤローッ!!)
その一瞬の戸惑いが命取りに繋がった。唖然と佇む猪木の後頭部を西村はむんずと掴む。
我に返った時、猪木の顔面はフェイスクラッシャーの要領で、瓦礫物が氾濫する地面に叩き付けられていた。
西村は攻撃を止めない。師匠の顔面を狂った様に叩き付ける。何度でも、何度でも、何度でも。
「…ハァッ!ハァッ!ハァッ!ハァッ!……」 目は吊り上り、呼吸は狂おしい程に荒く、理性は欠片すら残っていない。
泣きそうな表情で、且つ歓喜に満ち溢れた表情で、西村は自分の師に迫害を加え続ける…
どれ位の時間が経過したのか?怪我を忘れフル回転し続けた自分の両腕が鉛の如く重い。
暴行を中断した西村は、ふと下を見る。そこには粗大ゴミと同化したプロレス界の神の姿が見える。
そう、完全に気力を失い、水死体の如く生気の無い、このプログラムの首謀者の姿が!!!!
「……フゥーッ……」 大きく深呼吸をひとつ。両腕に最期の力を注入し、悪魔の半死体を持ち上げる。
この3日間の、すべての思いを、今、ここに。
今、すべてをぶつける。ここまで来たら『風車の理論』もへったくれもない。
最高の一撃をお見舞いしよう。自分の為、仲間の為、そして弟子達から超えられたがっていた我が師の為に。
「…貴方を……超えますっ!!!」 西村修はアントニオ・猪木の前頭葉を掴み、思いっきり振りかぶった。
誰かが誰かを虐めている。誰かの顔面を、誰かが狂った様に地面に叩き付けている。
何度も、何度も、何度も、何度も。
「……ヤメロ……ヤメテ…クレ……」
その光景を横目で捉え、彼は懇願する様に呟く。痛いんだよ、アレ。何すんだよ、痛ぇよ。
ほんの数時間…数日?…時間?…時間って、何だ?何か意味あんのか、それ。
「…チキショー…イテェ…チキショー…ハセェ…」
痛い?何が?何処が?痛いって、何だ?どういう意味だ?
意味?意味って、何だよ?馳?誰だ、それ。ワカンネェ、ワカンネェ、モウナニモカモワカンネェ
ただ、頭の中に何かこびり付いてんだよ。アレと同じこと、俺、やられたんだよ。
何だか知んねーけど、甲高い声で罵られながらよぉ……
(…このプログラムは失敗したんだよ!!意味のない事に必死になりやがって!!)
ウルセェナァ。ホットケヨ。オオキナオセワダ、バカ
(…お前みたいな中途半端な奴ばっかり残って!!どうしてくれんだよ!!)
シラネーヨ。ナニサマダヨ、テメー。イテーヨ。ヤメロヨ。ヤメテクレヨ
(…貴様みたいなクズがいるからこうなったんだ!!生きてて恥ずかしくないのか!!)
ダッタラ、コロセヨ。コロシテクレヨ。ナンダヨ。ナニスンダヨ。イテーヨ。ヤメテクレヨ
確かに、あった。思い出せない、思い出したくもない、地獄の時間が。
耳を塞ぎ、地面に崩れ落ちながら頭を振る。その右側全体は血に爛れ、眼球は潰れている。
俺をこうしたのは、誰だ?…小川?…思い出せねぇ…あぁ、縮れ毛のハゲチビだったよなぁ…
プログラム開始2日目 PM8:49分 多摩川河川敷
馳浩がエル・サムライを捕獲した瞬間、この悲劇は既に産声を上げていた。
>>101-102 もう一歩だ、頑張れ西村!!でも、このまま終わらないんだろうなあ(´・ω・`)
>>103 こわれっぷりに磨きかかってるよ・・(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
く…狂ってる、狂ってるよ〜
サムライ、なんか死にきれなくて辛いだろうな
107 :
お前名無しだろ:04/10/29 23:05:42 ID:/WYSy8U7
カシン対佐山ってどこかに載っていますか
「………松田…松田だよな?…何やってんだよ、こんな所で?」
生息を断念し、永遠の安眠を選択したエル・サムライを叩き起す無粋な声。
うっとうしげに、その嫌らしいまでに甲高い声の発信元を見やる。
ぼんやり映る視線の先にはスーツを着込んだ国会議員・馳浩の姿があった。
「…………」 サムライは一瞬の後悔の後、横を向き無視を気取る。
ただでなくとも疲れてるのに、お前かよ。嫌いなんだよ。俺はもう死ぬんだ。あっち行けよ。
「オイオイ、冷たいなぁ!お前の身を案じて忠告してやってるのに、無視はないだろう?」
快活そのものに馳が語り掛ける。とても他人の身を案じている様子の欠片もなく。
「こんな所で寝てたら風邪ひくぞ。御家族が心配する…って、その顔じゃ誰だかわからんか(笑)」
「…でもなぁ、国民の代表として病人見過ごす訳にもいかんしなぁ…あっ、そうだ。アレがいい」
何かを思い付いた馳がスポーツバックの中から得体の知れない器具を取り出す。
「ちょっとキツイけど我慢しろよ」 アイロン形状の器具を二つ程、サムライの心臓部に突き当てる。
「……!?!?」 驚いたサムライが逃げ出そうとする寸前、馳は薄ら笑いを浮べスイッチを押す。
強烈な電気ショックを受けたサムライの体は宙に浮き、激しくバウンドした。
「…アッハッハッハッ!!!海老だよ、海老!!!海老の活き作りだ!!!」 両手を叩き大笑いする国会議員。
「そんな怖い目で睨まないでくれよ。小心者なんだから、俺。むしろ感謝してもらってもいいはずだけどなー」
自称『命の恩人』は薄ら笑いを止める事なく、サムライを茶化しまくる。
(…何しに、来やがった…) 「…って目をしてるな。暇なんだよ。石澤も多忙で全然構ってくれないしさ」
「あまりの暇さ加減に童心に返っちゃってな。昔やったろ?夏休みの自由工作。その一環だよ」
「暫く相手してくれよ、気晴らしに…しかし、こんなになっちゃってなぁ。面影ないじゃないか、可哀想に。
そんな真面目に戦う必要なかったんだよ。人生、有意義且つ効率的に過さなきゃウソだ。
だって…どう考えたって、お前が優勝できる訳ないだろう!馬鹿だなぁ、ホント」
(…何が言いてぇんだ、コイツ…) 「…って目をしてるな。どうしようかなぁ…言おうかなぁ…止めようかなぁ…」
品性下劣な笑みを撒き散らし、馳は語り続ける。誰かに、何かを言いたくてしょうがない様子だ。
「…まぁ、お前みたいな死損ないに話しても害は無いだろう。君の健闘を称える意味で、教えてあげよう…」
「実はなぁ…この殺し合いも、八百長なんだよ」
(……なんだと?…) サムライは余りの非道な発言に、残された気力を振り絞り、馳を睨みつける。
「…だから睨むなって!(笑) その気迫を試合中に出せよ、まったく。少しはファンも増えるぞ、きっと」
「まぁ八百長っていうのは失礼だな。亡くなった方々もいるわけだし。結果が決ってる、に訂正します。
勿論、俺が優勝するんだけどな。当然だろ?国会議員が、のこのこ殺されに出てくるか?」
馳は驚愕の事実を語る。余りにも…な内容にサムライは声を上げる事すらできない。
「重要人物の護衛にはSPが付物だろ?優秀なんだ、これがまた。俺が気付く前に、棚橋殺しちゃうんだから。
カメラに取られてないかって?そこが凡人との差だよ。事前に確認しとけば、どの位置にいれば安心か把握できる。
有給取って3日間、足を棒にしてチェックした甲斐があるってもんさ…」
馳の自画自賛は留まる事を知らない。完全にハイテンションへ突入した理論家は、機関銃の如く種明しを続ける。
「…おかしいだろ、今日の俺?元から話し好きだけど、ここまでは普通話さないからな。
あの小型爆弾の装置?アレが微妙に引っ掛ったらしいんだ。まぁ、いい感じでトリップできてるから外さないけど。
あっ、言っとくけど勿論、起爆装置は外してあるから(笑) あの移民野郎を誤魔化す手段のひとつさ…」
「……何で…そんな、シチ面倒臭せぇことを…」
「おっ!!しゃべれる迄に回復したじゃないか!!直り立てが肝心だ、コレでも喰えよ」
言うが早いが馳は河川敷沿いに生息する雑草を引き抜き、サムライの口に詰め込んだ。
「!!!!…ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!…」 非道な攻撃にサムライは苦しそうにむせ返り、馳はその光景を冷やかに凝視する。
「…話の腰、折るなよ。人が折角、気持ちよく語ってる時に。お前はただ黙って聞いてればいいんだよ、松田」
「…で、どこまで話したっけ?」 馳がわざとらしく確認する。悔しいがサムライの反撃能力は殆ど残っていない。
「そうそう、このプログラムの趣旨というか目的だよな?一言で表すと、今後のプロレス界は全て馳浩が仕切るという事だ」
「…………」
「まぁお前に難しい話しても理解できないだろうから、簡潔に言うぞ。プロレスって、全国巡業するだろ?
当然、各地各地で重要な方々がいらっしゃる訳だ…わかるだろ?その方々と仲良くなりたいんだよ、今後の為に。
将来、政権の中軸を担う人間としては、そういう世界に人脈広げる事も必要なんだよ。清濁合せ呑まなきゃな。
…プロレス界も猪木さんも、それ位は俺に恩返ししてくれても罰当らんだろ?」
…もう少しだけ続きます>馳の独白編。暫しお付合い下さい m(_ _)m
おぉ・・馳が黒い。こいつが真の悪役だったのか!
「あれだけ尽力したのに…感謝の言葉のひとつもない。お前等は欠陥人間の集まりなんだよ」
馳の業界に対する罵倒と復讐の念が、激流の如く溢れ出る。
「特に、あの移民野郎…アイツが何をトチ狂ったか、国会議員になってた時期があったろ?
糖尿の上に練習不足で、最早まともな試合が出来なくなった奴に花持たせてやったんだよ、ドームで。
恐らく、奴がセミリタイアしてからは最高の内容だった。俺が、この俺が導いてやったんだよ、あの出来損ないを。
ところがだ!ありがとうの一言もねぇ!言うに事欠いて『馳の試合には殺気がねぇ、でも俺が育てた訳じゃねぇすから』だと!!
……あの時、決めたんだ。絶対、認めさせてやると。俺が悪かった、って言わせてやると。
二度とナメた口は叩かせない。俺は馳浩だ、国会議員なんだ!俺が正義であるべきなんだよ!!」
「…だったら」 我慢の限界に達したサムライが再び口を開く。「…最初に、殺しゃいいじゃねぇかよ、猪木を」
「お前は…本当に物分りが鈍いな」 わざとらしく嘆息しながら馳が解説を続ける。
「最初に殺ったらツマンナイだろ、どう考えても。秒殺なんて今時流行らんぞ。プロレスの醍醐味は長期戦にあるんだよ。
奴を持ち上げて、図に乗らせて、最高に調子付いた所で地獄に叩き落す。その時、俺の復讐は完結する」
馳の独白は続く。しかしサムライは恐ろしい程に冷静な目で馳を凝視し続ける。
「…んっ?ひょっとしてお前等を巻き込んだ事を非難してるのか?その事なら、正直スマンカッタ。
だけどなぁ…お前等も頭悪い癖して頑固で僻みっぽいだろ、基本的に。知ってんだぞ。当選した後、俺の悪口言ってた事。
素直に計画を話した所で、誰も賛同してくれないだろ、どうせ。だからといって自発的に動く奴等でもないしな。
面倒臭せぇから一挙にまとめて葬り去る事にしたんだよ。この後、俺がまた一からレスラー達を育てるさ。
ほら、お前も知っての通り、俺は人育てるのウマイからな。だから……」
「……やめとけよ」「…んっ?」「…悪い事言わねぇから、やめとけよ」「ほぅ…どうして、そう思うんだ松田?」
サムライは覚悟を決めた表情で言葉を放つ。どうせ、長く持たない命だ。言いたい事すべて吐き出して死んでやるよ。
「…テメーが自画自賛する程…巧くねぇぞ…テメーの育て方も、テメーの試合も……」
「………」 完全に意表を付かれた馳は不快な表情を隠せない。今度はサムライが薄ら笑いを浮べる番だ。
「…テメーが育てた連中なんて…どいつもこいつも中途半端な連中ばっかじゃねーかよ…違うかい、先生?
ガチにも弱ぇし…かと言って、華もねぇ…ピンを張れねぇ奴等ばっか無駄に育てやがって…役立たずが…
それにな…テメーの試合見てて、面白ぇって思った事なんざ…一回もねぇよ。説教臭ぇんだ、テメーの存在がよぉ…
あのドームの試合が最高傑作?…笑わせるなよ…朝鮮で見たフレアー戦の方が、何倍も面白かったさ…
…押し付けがましいんだ、テメーの試合は。巧い、と思ってる所が鼻につく…だから、緊張感がねぇとか言われんだよ…」
「…フーン…」 小馬鹿にした口調で馳が批判を受け返す。しかし、そのこめかみは憤怒で吊り上がったままだ。
「意外と…理論派だったんだな、お前……ありがとう、参考になったよ…」
「せっかく…命懸けでアドバイスしてくれたんだ…何かしらのお礼をしないとな…」 馳が冷酷な表情で語り掛ける。
「……………」「遠慮するなよ、松田。ほんの気持ちだ。その身をもって受け止めてくれ」
国会議員はスーツの裏地から小瓶を取り出し、サムライの体に降り掛ける。石油の匂いが河川敷一帯を包む。
「…保永の…二の舞を演じさせてやるよ…」 自分が焼き殺した先輩の名を口にすると、馳はライターを着火する。
一瞬にしてサムライの肉体が燃え上がった。
「………!!!!!!!」 サムライは声もなく、炎と豪煙に包まれひたすら叢を転がり続ける。
その数秒後、御丁寧にも馳は所持していた消火器で消火活動を行った。どうやら、即死させる考えは毛頭ないらしい。
「これで正真正銘の謎のマスクマンだ。よかったな、松田。因みに今のは焼身を掛詞にしたんだ、巧いだろ?」
「…どうだ、今のは殺気が出てたろ?緊張感、満開だろ?これで良いんですか、松田センセェ?」
甚くプライドを傷つけられたエリートが雑草レスラーの薄くなった髪を掴み詰問する。
雑草は、その全身全霊を持って再び薄ら笑いを作る。エリートの綻びた自尊心に、塩水を捻じ込もうと。
「……そこまで怒るとこを見ると…案外、図星だったかい…えっ、センセェ…?」
「……クッ!!…」 その高貴なプライドを完全に崩されたエリートは、雑草の頭を掴み地面へ叩き付ける。
何度も、何度も、何度も、何度も。
「一丁前の口を叩きやがって!!何様のつもりだ、この野郎!!!」
完全にテンぱった眼で馳は暴行を加え続ける。サムライの意識が遠くなり出して行く…
「華もなければガチにも弱い?それは自分の事、言ってんのか!松田!!」
(…言葉の綾だろ?そんなに怒るなよ…いくら図星と言っテモヨォ……)
「大体、キサマ如きが何で生き残ってるんだよ!貴様が生き残って、この後何が出来るんだ!」
(…シラネーヨ、ソンナコト…ワカッタヨ。ワルカッタヨ。ハヤク、コロセヨ。イイカラヨォ…)
「クズが!このクズが!!何も考えずに生きてきた貴様の様なクズがいるからこうなったんだ!」
(…責任転嫁シテンジャネーヨ…俺ダッテ人間ナンダヨ…イテーヨ、ナニスンダヨ、縛ンナヨ、オイ…)
「…貴様みたいな役立たずを、最後の一瞬だけ、人様の役に立たせてやるよ」
息を切らしながら馳は、半死体となったサムライの腕をロープで縛り上げると、無線で誰かを呼び出した。
「…例のヤツ持って来い…何?モニターに映る?…いいから来い!俺の命令が聞けねーのか!」
プログラム開始2日目 PM9:22分 多摩川河川敷
数十分の暴行を浴び失神したエル・サムライの耳に微かに届く声がある。
『…爆弾って…もう殆ど死んでいるじゃないですか、彼…?』
『何か維持装置を使って、命だけは繋いどけ。このままコイツを殺すんじゃ飽き足りねぇ』
『…まぁ、それらしき器具はありますが…一体、それでどうされるんですか…?』
『道場の近くに捨てておけ。爆弾はきっかり12時にセット。それから維持装置には強烈なタイマー付けろ。
終了30分前を目安にな。コイツの意識がある所で爆発させる。このまま安眠させてたまるかよ』
「…と、いう事だ。聞えてたか、松田?…聞えないよなぁ、両方とも耳なくなっちゃったもんなぁ…」
冷静な口調に戻った馳はサムライの体を抱きかかえる。棒状の何かが2本刺ったヘアバンド状の器具を持ちながら。
「…ちょっと痛いけど、我慢しろよ…大丈夫だよな…お前、耐久力だけはあるから(笑)」
その数秒後、断末魔の叫び声が夏の多摩川沿いに響き渡った。
「じゃぁ、また明日会おうな!ちゃんと来てくれよ。俺の優勝を祝いに。人間花火だ、ダチョウ倶楽部も真っ青だな」
バンド固定の為、頭部から出血し激痛に咽び泣くサムライの耳に、その言葉は届く訳もない。
その姿を愉快そうに見下ろしながら、馳は唾を吐く。踵を返しながら、彼は最後の罵倒を届けた。
「このプログラムは失敗だった。もう二度と行わない。神に誓うよ、松田。
だって…お前みたいな奴が生き残るんじゃ、何の意味もないからな」
8月×日 PM11:55分 残り時間:5分 野毛道場跡地近く。
強力な電磁波によって強引に叩き起された彼は、何かに引かれるかの様に歩み出す。
そこで彼が偶然、目にした風景。誰かの顔面を、誰かが狂った様に地面に叩き付けている。
耳を塞ぎ、地面に崩れ落ちながら頭を振りながら、殆ど消失した思考能力で、彼は考えた。
確かに存在した地獄の時間。脳裏に浮ぶ悪夢の瞬間。
何で、俺があんな目にあわなきゃいけねーんだよ、畜生。
何で、俺があんな酷い事言われなきゃいけねぇんだ、畜生。
俺が生き残っちゃいけねーのかよ。俺だって人間だよ。死にたくねぇよ。生きてぇよ、畜生。
畜生。畜生。畜生。畜生。ワカンネェ、ワカンネェ、モウナニモカモワカンネェ。
全員、ブッ殺してやる
左手に握られていた最後の武器―プッシュナイフを握り締め、サムライは戦場に殺到する。
この3日間の悪夢を追い払おう、とばかりに奇声を上げながら。
サムライの願いを込めたナイフの切先は数秒後に確かに届けられた。西村修の左脇腹へ、と。
恐らく賛否両論あるであろう(否しかない?)馳再登場の件でコメントさせて下さい。
今の新日の根幹を築いたのは、間違いなく彼だと思っています。
別に馳に全ての原因があるとは思ってませんが、でも現状の殺気と緊張感が薄れきった新日の
リングを見るにつけ、やはり彼の功罪は抜かす事が出来ないと思い、こういう役割を与えました。
本当の意味で、新日を牛耳ろうとしたのは猪木と馳だけだったんじゃないかなぁ…と。
>>113さんの言われる様に悪役ですが、私としては『黒幕』という位置付けにしたかったのです。
とうとう佳境に入りました。残り3分の攻防に、ヘタレ職人の全てを注ぎ込みます。
>>120 無理しないで続けてください。
本当に楽しく読ませてもらってます!
>カンコ君さん
そうそう、無理は禁物。時間は気にせず思いきりやっちゃって下さい。
つか、それよりサムライぃぃぃぃぃぃーー!!!!!刺す相手が違うぅぅぅぅぅぅーー!!!
うぅ、(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルのバットエンドの悪寒が・・
に、に、に、にしむらぁ〜…
124 :
お前名無しだろ:04/11/02 13:08:18 ID:dSrscmPk
支援あげ
125 :
107:04/11/03 09:13:49 ID:pY4QhMV5
誰か質問に答えてください
>>125 ご存知の通り、カシンvs佐山はバトロワの過去スレの交戦直前の場面だけです
内容がどうなったのか、ものすごく気になりますが、職人様の負担にならないよう
その辺はお任せしましょうよ
127 :
107:04/11/03 16:06:16 ID:pY4QhMV5
>>126 そうですか、答えてくださってどうもありがとうございました
>>125-127 スイマセン。そこの部分は仕事の関係でリアルタイムで見ていなかったのと、
自分の担当外だったので、敢えて触れませんでした。
作者(J○マニア)さんが、どんな結末を描いていたか…は物凄く知りたいですが、
何時しか御自分の口から語って頂ければ良いかな…と。
今日を含めて後2回のUPで完了しそうです。
応援して頂いた方々に心からの感謝を込め、頑張ります。押忍。
8月×日 PM11:56分 残り時間:4分
左脇腹に激痛が走る。息が止る。血が逆流する。口から噴血が飛び出る。
その衝撃により、西村の両手から猪木の体が放たれる。
目の前にあった、確かに手の届く所にあった『勝利』がこぼれ落ちて行く。
今まで受けてきた傷とは比較対象にならない痛みに、西村がのたうち回る。
暴行から開放された猪木が、そのままボロ雑巾の如く地面に倒れ込む。
そして乱入者―エル・サムライが西村を刺した反動で、瓦礫の山に飛び込む。
終了3分前に至り、殺戮のリングは3WAYマッチの様相を呈し始めた。
致命傷となった左脇を押えながら、西村は謎の加害者の方向を見やる。
喀血が止らず、視界がぼやける。体中の力が抜けて行く。
その状況の中で微かに浮んだシルエット―血塗れで、千鳥足で、ふらつく、弱々しい姿。
耳元に届く何かのタイマー音…頭についてるのは何だ?…爆弾…?
ようやく、西村は理解した。先刻、自分の脳裏で無視を決め込んだ男の存在を。
遠い3日前の記憶が蘇る。あの瞬間から、彼にとっての地獄が始まった。
西村は『彼』の名を呟く。デジャヴ ― 西村にとって、目の前の存在はサムライではなかった。
「……たっ………高……岩……」
高岩竜一。西村が最初に見捨てた男。西村が最初に殺めた男。
あの状況では、どうしようもなかった。手の施し様がなかった。手榴弾のピンを抜かずとも死亡は避けられなかった。
しかし、その後に訪れた数々の別れと異なり、『彼』に対してだけは最善を尽せなかった。
その事実が、生真面目な西村の心を侵食していた。自分でも気がつかないままに。
傷口に手をやりながら、加害者の方角へ歩を進める。西村は激痛と疲労で倒錯している。
「……高岩…なんで…なんでだよ…」「…イテェ、イテーヨ……」
「…なんで…ここに来て…邪魔、するんだ……?」「…イテェ、イテーヨ、チキショー……」
「…お前には…悪かったと…思ってるよ……」「……チキショー、チキショー……」
「……でもさぁ…俺、頑張ったんだよ…あの後…」「…イテェ、イテェ、イテーヨ……」
「…お前達の…分まで、頑張ろうって…それなのに…何で…?」「…ヤメロヨ、ナニスンダヨ、チキショー……」
倒錯者2名の距離が縮まって行く。会話にすらなってはいない。双方、自分の思いの丈のみを語る。脈絡なく。
「…そうか…痛いのか…高岩……?」「…イテェ、イテーヨ、チキショー……」
「……大丈夫だよ…もう、怒って…ないから…」「…チキショー、チキショー…ハセェ…」
「…ゴメンな…助けて…やれなくて…ゴメンな……」「…ナニスンダヨ、イテーヨ……」
ふたりの間の距離が消失した。左手で傷口を押えながら、残る右手で西村はサムライの体を抱き寄せた。
「…ゴメン、本当にゴメンな……高岩…」 瀕死の状況で西村は、見殺しにした後輩へ謝罪し続ける。
そして、ようやく『敵』ではない存在に抱きとめられたサムライは、呪縛を止め、再び安眠に陥ろうとする。
西村が、ぼやけた視線で抱き止めた相手の顔を凝視する。
顔半分が焼け爛れている。体つきは細く、餅肌と呼んでも良い程の白さと柔らかさがある。
……高岩って、もっと、ごつい体、してなかったか…?
再度、相手の顔を見つめる。見覚えの無い、記憶に無い顔だ。少なくとも、彼は高岩ではない。
…………?……?………?…………?……………
誰 だ 、 貴 様 は ?
認識した刹那、西村の右手がサムライの左即頭部を押さえつけた。
そして、力任せに地面に叩きつける。サムライの体が衝撃でバウンドする程の勢いで。
「…ふざけるなぁーーーーーーっっ!!!!!!」
この3日間の全ての不条理への怒りを吐き出す様に、西村は絶叫した。
見ず知らずの邪魔者を視界から消し去った直後、西村の直前に姿を現した男が、いた。
表情は闇と泥で読み取れない。でも、独特の輪郭により、その男が誰であるかは一発で理解できた。
(……あぁ…猪木だ…アントニオ・猪木だ………)
次の瞬間、自分の憧れが地を蹴り、跳び上がる。
何度も見た、あの風景。放送終了間際の大逆転。金曜夜8時49分のカタルシス。
西村は避けない。避ける体力すら残っていない。いや、元から避ける気持ちがあったのかどうか。
ただ、黙って首を少し前屈みに落す。猪木の右足が、鎌の様に自分の首筋に食い込む。
延髄斬り ― 猪木史上最高の一撃を受けた西村は、穏やかな表情で前のめりに倒れていった。
体が動かない。後頭部への衝撃か。師匠の最高を引き出した満足感からか。
西村は、眠っているかの様に動かない。
「…ヒャァーーッ!!!!」 薄目を開け、奇声の響く方向を見る。
よだれを垂らしながら、何かを手にして襲い掛かる猪木の姿が見えた。
(……?…どっかで見たな、このシーン…あぁ、マサさんとの手錠マッチか……)
次の瞬間、後頭部に考えられぬ程の鈍痛が走る。
何かが弾け、何かがドロっと流れ出したのがわかった。
続いて一撃、更にもう一撃。悲鳴と暴行は止まない。
遠のいて行く意識の中で、西村はふと考えた。(…一体、何やってんだろ、俺……)
何かを、やっていた記憶がある。
誰かと、一緒にいた覚えがある。
誰かを、この手で殺めた気がする。
誰かに、暖かく励まされた気がする。
誰かの為に、泣いた記憶がある。
そして、憧れの誰かと、最高の、プロ…プロ?…あれ?…なんだっけ……
もういいや。もう、いい。もう、どうでもいい。
暑いし、寒いし、痛いし、疲れたし、何故か哀しいし。
西村は、思考する行為と生存への執念を放棄した。
西村、どうしちゃったんだよ・・・
がんばれ西村!
あぁ、恐れていた事態が…orz
西村に逆転の目はないのだろうか…?
食い入るように四でしまったよ。やっぱスゴイわ>カンコ君。
衝撃のラストを期待してます
早く続きが読みたいです
ようやく、脱稿しました。
皆様の御期待に添えられたかどうかはともかく、自分なりに精一杯出来ました。
ひとつのケジメはつけたかな…という感じです。本当に数多くの御声援、ありがとうございました。
雑感は後日、改めて。最終章、UPします。忌憚の無い御意見をお聞かせ下さい。
誰かが誰かを虐めている。誰かが、誰かを何かで狂った様に殴り続けている。
やめろよ、もう。見てるだけで痛ぇよ。もう沢山だ、こんなの。みんな、死にやがれ。
8月×日 PM11:58分 残り時間:2分
「…グワァーッ!!!!!」 この世の物とは思えない絶叫と共に、再びサムライが走り出した。
その声に素早く反応した猪木は、虚ろな目で奇声の方角を睨む。
殺到するサムライ。その視線から猪木の姿が消える。
スライディング・レッグシザース―通称:カニ挟み。猛牛の様に突進したサムライは左足をとられ
西村の死体の上へと、うつ伏せに折り重なった。
相手を倒すや否や、神速の反応で猪木は先刻手放したジャックナイフを地面から抜き去り、
正体不明の第三者の背中の中心部へと突き刺す。
「……!!!!………」
柔軟性に富んだ彼の体が、キャメルクラッチを掛けられたかの様に海老反る。
次の瞬間、何かを呪うかの様な表情のまま、彼は前のめりに崩れ去り、そして息絶えた。
エル・サムライは死んだ。同僚にも、師匠にも、自分である事を認識してもらえぬまま。
茫然自失な状態で、猪木は二つの死体を見つめる。
そして、興味無さげな表情で背後を向き、赤子の様に四つんばいで別方向へと歩き出した。
自分を凝視する、ひとつの熱い視線に気付かぬまま。
サムライの体が折り重なった衝撃で、停止した西村修の心臓が再度動き出していた。
(…………あっ………あぁ……)
再び意識を取り戻した瞬間、彼はうっすらと瞼を開ける。
四つんばいになり、逃げ出す様に歩む初老の男の姿を認識した瞬間、
西村修は自分の指先を見つめ、そして、念じた。
(…動け……動けよ…動いて……くれぇ……)
指先は、動かない。固まったが如く、動かない。
西村は、観念したかの様に苦笑いを浮べ、冷静に判断した。
何かの反動で停止した心臓が動いただけで、もう自分に戦う力は残っていないのだ、と。
薄れて行く意識の中、再度視線を指先から猪木の方へ向ける。
創始者は、死体と化した自分達の事にまるで興味を示さず、ひたすら逃亡を図っている。
その清々しいまでに自分勝手な後姿を見た時、西村は心の奥底で呟いた。
可哀想なひとだ、と。
運命の女神に愛された男 ― アントニオ・猪木
男は女神に愛されている事を、十二分に認識していた。
男は女神に甘える。甘えられた女神は、存分に男を甘やかす。
その永遠のループが今日に至った。そして、今日も同じ事が繰り返された。
爆弾を縫い付けられ、自分を刺した倒錯者は大方、女神から男へのプレゼントなのだろう。
(……可哀想な…ひと…だ…) 西村は再度、心中で呟く。
男は甘えて来た。現実を避け、向き合わず、帳尻を他人に合させて、生きてきた。
そのマスターベーションが産んだ回答が、現在だ。
確かに、男は勝った。このプログラムの唯一の勝者だ。
しかし、その勝利の果てに、一体何が残ったというのか?答えは『ゼロ』だ。無だけが、残った。
男の手許には、今や何ひとつ残されていない。
今回の混乱と不手際により、地位や名誉は全て剥奪されるであろう。
精魂込めて自らが創り上げた財産 ― 男に憧れ、慕った弟子達 ― すら自らの手で葬ってしまった。
男は、これからも虚勢を張り続けるだろう。今まで通り、厚顔無恥に、名誉と祝福だけを求めて。
だが、こうなった、こういう事態を招いてしまった彼に、歓声と祝福を送るギャラリーは、もう誰もいない。
それに気付かず、これから孤独に生きていかねばならない師匠の存在が、西村には哀しかった。
8月×日 PM11:59分 残り時間:1分
西村の頭上で細かく時を刻む音がする。恐らく、終幕は近いのだろう。
落ちそうになる意識を必死で繋ぎ止めながら、西村はこの3日間を反芻した。
色々な人々な顔が、浮んでは消えて行く。
天山、高岩、藤田、木戸、越中、大谷…そして、カシン。
道場を巣立った後、出会う事すら適わなかった数々の同僚達。
彼等の存在を思い浮かべながら、西村は今、自分の敗因を悟った。
(……結局…何かを…背負っちゃったんだなぁ…)と。
何も背負うまい、と意気込み迎えた最終決戦。
しかし、戦いの途中からは最早誤魔化せなかった。自分の気持ちと、彼等の存在を。
彼等がいてくれたから、ここまで戦えた。彼等との思い出に、悩み、苦しみ、そして激励された。
そして、今この瞬間も、得体の知れない死体を背中に背負って動けずにいる。
そんな不器用な生き方しか出来なかった自分を、今は誇りに思える。仲間がいてこその、自分なんだ、と。
もう一度、遠去かって行く師匠の姿を見つめる。
多分、あのひとは最後の最後まで誰も思い出さなかっただろう。何も背負わなかったのだろう。
自分の事だけを考えて戦った。だから、勝てた。だから、何だ?見習いたい、なんて思わない。尊敬も、ない。
孤独で小さい後姿を見ながら、西村は猪木に向い、力強く断言した。
「私は、貴方の様になれなくて、幸せです」
最後の言葉を残すと、西村の意識が落ちた。頭上の秒針は冷酷に刻を刻む。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0
サムライの頭部に縫い付けられた二本のダイナマイトが轟音を伴い爆発し、彼と西村の遺体を消し去る。
そして、その爆発による爆風で、猪木の年老いた体も大きく吹き飛ばされた。
8月△日 AM0:02分 戦いは終り、爆風が消え去る。
モニターを見つめる全ての関係者が、固唾を呑みながら祈る。
頼むから、起き上がって来ないでくれ、と。頼むから、お前も死んでいてくれ、と。
その期待を裏切るかの様に、横殴りに吹き飛ばされた老体が、か弱く起き上がった。
「…こんな…こんな馬鹿な事が…あっていいんですか!!」
「……………」
「自分の弟子達を殺しておいて!参加者でもないのに、弟子達を殺して!なんなんすか、一体!」
「…………指令を、待て…」 怒りと戸惑いの中で、自衛隊員達は霞ヶ関方面からの指令を待ち続ける。
『…さぁて、どうしますか(笑)』『…どうしますか、と言われましても(笑)』『笑うしかありませんな、もう(笑)』
冷笑を浮かべて官僚達が善後策を検討し始める。
『まぁ、自分で責任を取ってもらうのが一番良いでしょうな』
『責任と言われると…処刑ですか、やはり』
『いやいや、その逆です。彼には、罪を背負って生きていってもらいましょう』
『そうですな。元々、馳が勝手に絵を描いて、それに彼が乗っかっただけの事。我々は預かり知らぬ、という事で』
『大変でしょうな、この後。あの年齢で、何の財産も手段もないんですから』
『自業自得、ですよ。我々には何の関係もない事です。それより……』
『…あぁ、後掃除をしなきゃ、ですな。避難さしてた住民達も明日には戻さないといけませんし…』
8月△日 AM0:07分 指令を受け取った自衛隊は消火活動と復旧作業に移る。
上空に再びヘリが舞い、スポットライトを当てる。
しかし、それはプログラムの優勝者に対してではなく、消し去られた野毛道場跡地に向って。
猪木は、無視された。その行為と、結末と、存在そのものを国家から無視された。
猪木が、虚ろな視線で道場跡を見つめる。
誰も、祝福に来ない。誰も、喜んでくれない。誰も、自分に気付いてくれない。何もない。誰もいない。
その事実を目前にした時、彼は力なく崩れ落ちた。
再び四つんばいになりながら、猪木は呟く。泣きながら。怒りながら。
「……俺じゃねぇ…俺が悪いんじゃねぇ………」
お前等に強くなって欲しかっただけだ。その俺の親心が、何でお前等には理解できねぇんだ?
「…お前等が…認めさせねーんだ……俺に…」
悪いのは、俺じゃない。俺は、絶対に悪くない。俺を殺せねぇ、お前等の弱さが悪いんだ。
「…ふざけんな…俺ひとりにして…どうしようってんだ、お前等……」
いくら俺でも、ひとりじゃ何もできねぇだろうがよ?わかるだろ?悪い冗談だったんだよ、こんなもん。
わかったら、出てこいよ。怒らねぇから、出てこいよ。俺をひとりぼっちにしてんじゃねーぞ、テメーラ!!!
「…………止めろぉ……」
頭下げっから、止めてくれ。このとおりだ。悪かった。俺が悪かったよ。謝るからよぉ。俺を止めてくれ。
「…………止めて、くれぇ……」
知ってんだろ、俺の性格?興味持っちゃうと、突っ走っちゃうんだよ。今度のことも、まぁ、そんなとこだ。
悪気はなかったんだ。面白ぇ、と思っただけなんだよ。現に、強くなったじゃねーか、お前等も。
「…誰か……俺を…止めてくれぇ……」
俺を止めるためにいるんだろうが、テメーラは!!この、役立たず共が!フザケンナコノヤローッ!!
坂口!マサ!藤波!長州!佐山!前田!武藤!橋本!蝶野!小川!藤田!
止めろよ!俺を止めろ!止めろ、よ……頼むから…止めてくれよ、なぁ…………
現実に悪態をついても、何も変らない。何も、戻りはしない。
その事に気付いた時、猪木寛治は大声で泣き始めた。親を求める赤子の如く。
でも、誰もが彼に気付かない。ヘリの騒音に彼の鳴き声は掻き消される。スポットライトは、もう、当らなかった。
消火作業が終り、復旧作業が本格的に開始される。
夜は益々更けて行く。しかし、明けない夜はない。明日には変らない日常が訪れる。何度でも、何度でも。
「……………」 西村贔屓だったパイロットが、ふと猪木のいる方向を見やる。
しかし、その場所には彼の姿は見当らない。闇に紛れ、優勝者は密やかに姿を消していた。
新日本プロレスリング共催 バトル・ロワイヤル決勝 勝者 ― アントニオ・猪木 敗者 ― 猪木寛治
おぉぉぉぉ・・・西村・・・orz・・・。残念だよ。でもお疲れ様。
しかしリアリティあふれる結末だなあ。そして誰もいなくなった、か。
なにか近い将来の新日を想像させる終わり方だよね。
>スポットライトは、もう、当らなかった。
こうなる前に猪木には気づいて欲しいもんだが・・・無理だろうなあ(´・ω・`)
最後に作者さん、本当にお疲れ様でした。読み応え満点だったっすよ!
だけど、明日からひとつ楽しみが減ってしまったw
とてもよかったです
面白い作品を書いていただき
とても楽しませてもらいました
>「私は、貴方の様になれなくて、幸せです」
よくぞ言った、西村!残念な結果だったけど、お前が勝者だよ!
カンコ君サン、本当にお疲れさまでしたm(__)m
サムライ登場からは息もつかさず見てました。最高の作品をありがとう!
敢えて、言わせてもらいます。
職人さん達、お疲れさまでした。
心残りはカシンの最期が読めないことですか。
ようやく完結!?
よくこれだけの大作をやり遂げたものだ…
職人さんおつかれ様
152 :
お前名無しだろ:04/11/10 00:40:46 ID:f0++fD6N
中西スレに貼られてた過去スレに感動してスレ立てさせてもらった者です。
職人様お疲れ様でした。
足掛け4年にもわたるストーリーの完結が読めて感動しています。
現実も迷走してるね。予言の書のようなスレだったなぁ‥
保全
155 :
お前名無しだろ:04/11/14 02:31:32 ID:IK7ETk5z
中西と蝶野の合体は予言?
ところでカシンはどうなって死んだんだろう
愛読者やった。
乙
出張で一週間ほど留守にしておりました。挨拶が遅れ申し訳ございません。
数々の激励とお褒めの言葉、本当にありがとうございます。
皆様の応援があればこそ、ここまで辿り付く事ができました。
心より感謝の意を申し述べさせて頂きます。ありがとうございました。
ラストが『猪木優勝』というベタヲチになった事についてですが、良きにつれ悪しきにつれ
新日本という舞台は所詮、猪木のものなのかな…と。
ただ彼にも言い分はあると思うんですよ。文中で何回か描写しましたが『結局、誰も俺を超えられねぇ』
という優越感と不満が混合した感覚が(猪木の場合、比率が9:1くらいかもしれませんが)。
勿論、超えられそうな人材を全て自らが葬り去ったという側面は否定できませんけどw
誰かに超えて欲しくて、それでも超えられそうになると拒否して、暴れて…の繰り返し。
気が付けば、そこに誰もいなくなった…という感じです。正に
>>147さんの言われる通りですね。
ラストは松本大洋の『花』のエンディングを意識して(つかパ○って)描いてみました。
…正式に言うと、完結ではないんですけどね。数多くの方から御指摘頂いてる通り、カシンの最後など
肝心要な部分をすっ飛ばしてのゴールですから。でも正直、ここらが限界。
これ以上ストーリーの詳細を考えると、辻褄合わなくなって、前に進めなくなって…になるのが明らかでしたので
申し訳ないと思いつつ、別スレで予め宣言した通り、最終章のみの投稿とさせて頂きました。
(多分、他の職人さん達も同じだと思います。とにかく『途中』が難しいんですよ、こういうのは)
まぁ一応のエンドは示せたという事で、自分なりには満足しています。
それと三銃士wの残り2名の方々にも、恩返しというか罪滅ぼしが出来たのかな、と。
皆様に気に入って頂けたかどうかは別として、とりあえず一区切りはつけられました。これで心置きなく引退できますw
ただ引退前にひとつだけ。一番リクエストの多かった『カシンの最後』について語らせて下さい。
ネタばらしをすると、二つ考えていたラストのうち、残りのもう一方が『カシン優勝』でした。
プロレスラーって結局、最後は何が必要かというと『個の強さ』だと思うんですね>特に新日の場合は。
どんな状況に追い込まれようが、決してブレない我の強さというか…
そこで残ったメンバーで見渡すと、猪木に負けない個の強さを持ってるとしたらカシンしかいないだろう、と。
ですがカシンは私の担当(?)でもなかったですし、おまけに海外出張中に移籍してるし…てな具合で、
今更優勝させるのも変だなぁ…本人も嬉しくないだろうなぁ…という事で、お蔵入りにしてしまいました。
で、ダラダラ投稿して来た『猪木優勝編』の方では、彼は過労死という設定にしてました>当初は。
誰よりも最初からフル回転でしたし、その分受けた傷も多いだろうなぁ、と。
これはVS小川編で◆ZNLiv1KU さんが暗示する様な表現を使われてたので、パクりましたw
途中から動けなくなって、でも周囲に余計な親切なぞ掛けて貰いたくもなくて…てな臍曲りな性格全開で、
西村が食料or薬を探しに行く間隙を狙って、とっとと自殺しちゃう…というイメージでした。
ただ、それを描けなかったのはストーリーに巧く繋げなかった事&途中からどうしても彼が死ぬシーンが
自分の中で想像できなくなった、という2つの理由がありました。
本当は『逃亡』というストーリーにしたかったんですけどね。何かしらの弾みで脳内爆弾が停止した隙をつき、
とっととひとりで逃げ出すカシン、というw 猪木や西村を筆頭に皆、唖然としちゃうみたいなw
ヘタレ職人の想像ではこの辺りが限界でした。とても手に負えるキャラじゃなかった、という事で御容赦下さいw
お蔵入り作品うpキボンヌ
age
162 :
お前名無しだろ:04/11/17 23:37:42 ID:guTMYoz1
超懐かし〜、こういうラストになったんだ。感無量!
ごめんなさいスレ違いになりますが、伺わせてください。
プロレス板ネタスレ補完サイトを作ろうとしている者です。
レスラーの日記スレ 5冊目以降が見つかりません。
6冊目は ひとつは何かの糞スレに職人さんが突然はじめた橋本ネタ多めの
日記シリーズで、もうひとつは6冊目として別の職人さんがスレを立てて
ノアネタで作ってたものだったと思います。
7冊目以降はあるのかないのかもわかりません。
とりあえず6冊目のスレをご存知の方いらっしゃいましたら
おしえてください!
それではスレ違い失礼いたしました。
164 :
お前名無しだろ:04/11/21 21:05:08 ID:slqP6xFg
>163
それ1〜5までなら持ってますが6以降もあったのか
お役に立てませんが頑張ってください
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切ないラストだな・・・
でも、よかったよ。
ほんとうにお疲れさん。そして、ありがとう。
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結局カシンは誰も殺せなかったと。
カシンを殺せるのは石澤しかいないんだな。
169 :
お前名無しだろ:04/11/28 08:35:55 ID:lM605TWW
保守
職人さん、有り難う!
>>168 その言葉なかなか含みが有って良い!
このスレの存在…今まで気付かなかった…。
ありがとう、職人さん。
172 :
お前名無しだろ:04/11/30 13:36:50 ID:0R/KQJ5n
カシンスレで知り、飛んで来て爆読しました!オモレェ〜!最初から読みたかったです…
173 :
お前名無しだろ:04/11/30 20:37:40 ID:IYHWhd/A
保全age
で>173の続きは〜?
176 :
お前名無しだろ:04/12/11 02:12:49 ID:hMRrDOr5
皆落ちる前に読みたまえ
カシンが神・猪木に大晦日の中西戦を直訴して、実際猪木が動いた
神を動かす男・カシン
バトルロワイヤルは実はカシンは生き残ってて
狂った猪木をどこかで冷笑しながら見てるんじゃないかと思えてきた
職人さん、書いてくれないかな〜
178 :
お前名無しだろ:04/12/15 23:51:28 ID:1l9B6zd6
続編期待age
誰かカシン編を書いて栗〜
180 :
お前名無しだろ:04/12/21 19:17:38 ID:JqpRsuI+
番外編きぼーう
妄想だけでも誰か書いてくれないかな
181 :
お前名無しだろ:04/12/25 01:57:46 ID:vQv/EU4b
保守age
年末に時間があればUPします>カシン番外編。元職人より
183 :
お前名無しだろ:04/12/28 02:44:05 ID:7U50c8Vc
おおー!!!!!!!!!!
ぜ、是非、お願いします!!!
本物か偽者かわからないが、気長に保守しまひょ
185 :
お前名無しだろ:05/01/02 19:54:11 ID:YUcii1bt
あけおめage
番外編待ってますよ〜
186 :
お前名無しだろ:05/01/07 02:14:09 ID:P4eozZta
期待あげ
電車男に続き、2005年はここか!?
すっかりカキコが遅れました。明けましておめでとうございます。
>>182で偉そうな事ぬかしたまま失踪してた元職人(カンコ)です。
年末に掛けてちょいと家庭内でドタバタがあったのと、先日のドームの体たらくぶりに
心底orz…状態になってまして……もう少しだけ猶予を下さい>番外編UP
1月中にはどうにか投稿する所存ですので!しかし、あの観客の熱の無さは一体……
焦らず気長にやってくだされ
テレビ組ですが、
3WAYで蝶野が勝ち残るだけの説得力が、「死んだフリ」にさえ見られなくなってしまった
猪木の企画では誰もやる気が出ない
棚橋・中邑はよくなっているが、ドームのメインは微妙
といったところでしょうか
棚橋・中邑がライバルストーリーをヤングライオン時代から着実に築き上げていたら反応は違うのでしょうが、
いかんせん上井に祭り上げられたっていうイメージが払拭できないのは否めないですね
190 :
お前名無しだろ:05/01/10 04:01:04 ID:gn0mR4zV
今この新日バトロワやったら誰が生き残るか予想してみようか
新三銃士は全員生き残るか?
>190 よしえもん
192 :
お前名無しだろ:05/01/14 23:24:45 ID:fqesTde0
永田はタートルポジションを披露して亀のままあぼーん