「こんどはこっちから行くぜ」(にやり)
三沢の動きが激しくなった。
ぽんぽーんとジャブを出したかと思ったら
ふっと三沢の体が目前から消えた。
次の瞬間、ミルコの体はひざから抱え上げられ軽々と宙を舞っていた
背中からたたき落とされるミルコ
三沢は見事にサイドポジションをとると、ニーインザベリーでミルコを押さえ込んだ
とっさに体をひねり、押さえ込みから逃れるミルコ
しかし三沢のねちっこいグラウンドテクニックはミルコをスタンドに戻させてはくれない
まるでレスリングや柔道で先輩が後輩に行ういわゆる「かわいがり」を見ているようだ
逃げ回り、なんとかロープ際までもつれてブレイクに成功したミルコは
すでにかなり息を上げていた。
「こいつは本当にプロレスラーなのか? プロレスっていうのは
フェイクファイトをしている奴らだろ? こんなにタフでテクニカルな奴がいたなんて!」