【タキーノ】イタリアについて話そう 24【マッテルヨ】
284 :
アナル作家 ◆ANALLovE :
たきーのを探して―はまち編― 16
「ウェェェェェン〜〜〜〜〜〜。」
とたんにその男は俺の胸に顔をつけて大声で泣き出した。
あっけに取られる俺たち。
「おい、どうしたんだよ。お前、誰だ?」
「ぼ、僕、・・・・・此処未です。」
「!!!!!!」
俺たちは腰が抜けた。此処未だ?!!
何でここに!
俺たちは泣きじゃくる此処未をなだめながら
たきーのさんの家へと戻った。
とりあえずロープはまだはずさない。
いつ逃げ出すかわからないし、何をやらかすのかわからない。
部屋に入ってたきーのさんの姿を見ると
また泣きはじめた。
「た、たきーのさん、ごめんなさい・・・・・!!!」
「ぼ、僕、・・・たきーのさんが心配で・・・・。
どうすることもできなくて、フランスでもいいことなくて、
なんか・・・・精神的におかしくなってきて・・・・・。」
此処未の話は支離滅裂になっていく。
ずっと体が小刻みに震えている。
やっぱり、噂どおり、此処未は精神を病んでいたのか。
理由はたきーのさんか?
285 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 06:08
たきーのを探して―はまち編― 17
ふぃーみんがそんな此処未を後ろから抱きかかえた。
「大丈夫。大丈夫だよ。ほら、ここにたきーのさんがいるよ。」
此処未がたきーのさんを見上げる。
もう、流す涙も枯れ果てたのか、此処未の目はたきーのさんを見ながら
うつろなままだ。
「此処未さん、たきーのは今、PCを見ると具合が悪くなってしまうのです。
長い間レスをつけられないでいますが、すみません・・・・。
もう少し、もう少し時間をください。
調子が戻ったら・・・・戻るといいんですが・・・、イタスレに戻りますよ。」
「そんな、そんな!たきーのさん、謝るのは僕のほうです!
でも、たきーのさん、イタスレの中だけでしか・・・・、
たきーのさん、会えないから・・・・。ごめん、ごめんね・・・・。」
そういうと、此処未はその場にグッタリと気を失ってしまった。
きっと今まで緊張していた彼の精神がたきーのさんの言葉で解けた瞬間、
何もかもが抜けていってしまったのだろう。
「たきーのさん、無理しないでくださいね。
一番大切なのはたきーのさんの健康ですから。」
俺はたきーのに念を押すように言った。
そうだ。すべてはたきーのの健康が一番だ。
たきーのが健康を取り戻せば此処未も落ち着く。
いや、本当の理由はわからないが落ち着くかもしれない。
俺は神が与えてくれた自分の健康に改めて感謝した。
286 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 06:08
たきーのを探して―はまち編― 18
「ああ、月がちょっとだけ欠けていますね。」
雲の間から月が顔を出していた。
俺たちはたきーのの家に長居もしていられないと
それぞれ帰ることにした。
チェントロまでフランチェスコが送って行ってくれる。
此処未は・・・・とりあえず、うなだれているが正気を戻したようだ。
「此処未さん、ホテルはどこですか?」
「・・・・・・。」
「・・・・まさか・・・、今までいったいどこに泊まっていたんです?」
「公園・・・。」
「公園!?」
此処未は公園で野宿しながらたきーのへのストーカー行為を続けていたらしい。
まったく、よく襲われなかったよ。
「俺のホテルに泊まれよ。」
ふぃーみんが言った。
「・・・・・ありがとう。」
「ああ、腹が減ったな。ホットケーキが食いたいな。」
俺は急に腹が減った。
「あ、俺、甘いもの、ダメ。」
「そうか、ふぃーみんは甘いものダメだったな。
とりあえず、ピザでも食べに行こうか?」
俺たちはフランチェスコと別れた後、ピザを食べに行くことにした。
287 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 06:09
たきーのを探して―はまち編― 19
その辺のピザ屋に入ると俺たちは
何も話すことが見つからず、しばらく黙っていた。
オーダーを取りに来たボーイに俺はとりあえず、
「赤ワイン、何でもいいから一本ください。」
と、オーダーした。
はじめににワインが来た。
「まあ、飲め。」
と、此処未のグラスに注いだ。
此処未はグラスを震える手で持つと一気に飲み干した。
「もう一杯ください。」
「よし!」
酒が入ると俺たちの緊張した雰囲気も一変した。
やっぱり酒がないとな!
此処未は酒が強かった。俺もイケる口だがこいつもすごい。
ピザが来る前、アンティパストで既に3本は空けてしまった。
「ヒーーーーーック!!!はまちさ〜〜〜〜ん!大好きだよぉ〜〜〜〜〜〜!!」
此処未は飲みすぎたのか酔い始めた。
「ウィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!シルヴプレッ!!ヴィーノーーーーーーー!!」
こいつ、手に負えねぇなー。
「ふぃーみ〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
なんだか様子がやばくなって来た。
此処未の様子が様子なので俺たちはピザを食うと
そそくさと店を後にすることにした。
財布を取ろうとバックに手を入れたとき、冷たいものを感じた。
「やばっ!たきーのに土産渡すの忘れてたよー!」
288 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 06:09
たきーのを探して―はまち編― 20
此処未に気を取られていてすっかり土産を渡すのを忘れていた。
しょうがない、明日、もう一度たきーのの家に行こう。
俺は勘定をすべて払うと、此処未とふぃーみんをホテルまで送り、
(此処未は既に足元おぼつかなかったからな)
方位磁石を持って自分のホテルへと向かった。
歩いていると、見たような景色が広がっていた。
なんだ?ここ、たきーのの家の近くだ。
時計を見るとまだ宵の口だ。
俺はついでにたきーのの家まで足を伸ばすことにした。
たきーのの家の前まで来ると、どうしてだろう、ちょっと立ち止まった。
しばらく家の前で空を眺めているといきなり後ろから
羽交い絞めにされた!
「な、な・・・!」
二人のごつい警官に捕まって俺は身動きができなくなった。
「身分証明書を見せろっ!」
どうしてこんなことに?
わいわいやっていると近所の人も顔を出した。
たきーのさんの彼女も飛び出してきた。
どうやら、最近この辺にストーカーが出るらしい、と
誰かが警察を呼んでいたらしい。
マッタク、此処未のせいだ。
289 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 06:10
たきーのを探して―はまち編― 最終回
彼女が事情を説明してくれて警察から解放されると
俺はたきーのさんのところへおじゃました。
「たきーのさん、すみません。実はお土産があったのを忘れていて・・・。」
「はまちさん、大変でしたね。わざわざすみません・・・・。
あ、これ、高級なトンノじゃないですか!すごいな。はまちさんらしいですね。
ありがとうございます。」
「たきーのさん、好きですか?」
「いただきますよっ!」
よかった。
トンノが嫌いだったらどうしよう、と思っていたところだ。
「はまちさん、本当にありがとうございました。
・・・ちょっと気恥ずかしいですね。」
「たきーのさん、なに言うんですか!俺、今回たきーのさんに会えて
正直ほっとしましたよ。たきーのさんのため、っていうより、
俺のためでしたよ。」
俺たちはしばし無言の会話を楽しんだ。
やっぱりたきーのさんだ。たきーのさんだよ!
「ジンはないですが、ジントニックどうですか?」
「いただきます!」
イタスレが生んだ友情ってのもいいもんだな。
よし!
―――― 完 ――――