【タキーノ】イタリアについて話そう 24【マッテルヨ】
269 :
アナル作家 ◆ANALLovE :
たきーのを探して―はまち編― 6
駅のツーリストインフォメーションで宿のリストをもらう。
適当なところを見つけると方位磁石を使ってその場所まで行った。
かなり歩いたな。
コンパートメントで一緒だった女は俺にその香水を一瓶くれた。
一緒に名刺までくれた。裏返すと手書きで携帯の番号が書いてあった。
それとキスマーク。
「・・・・・・。」
しかし、今はそれどころじゃない。
たきーのを探さなくては。
ホテルは安宿だがこざっぱりしていて気持ちがいい。
ストライプのカーテンとベットカバーが同じだ。
石鹸もある。よし!
タオルも清潔だ。よし!
お湯も出る。よし!
俺は机にPCを置き、イタスレをあけた。
たきーのはいない。
とりあえずミラノのことはあまり知らないから誰かに聞こう。
名前: はまち
ミラノにいます。
バーガーキングはどこにありますか?
いま、*****辺りにいますが、ここからみてどの方向にあるんですか?
教えてください。
270 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 04:37
たきーのを探して―はまち編― 7
そんな投稿をしてみた。
まもなくして名無しさんがだいたいの方向を教えてくれた。
地図を見て場所を確認。
方位磁石を持つと俺は宿を出た。
かなり歩った。
歩くのはかまわないが、この人ごみには辟易する。
そして・・・・、バーガーキングが現れた。
中もかなりの人ごみだ。
最近は鶏肉ばやりなのか?
俺はチキン・ラップなるものを食べることにした。
チキン・ポップコーンも食べてみたくなった。
無理矢理ソースを全種類頼んで、つまんでいると
傍らに日本人らしき男が立っていた。
「あの・・・、はまち・・・さん?」
見るとそいつはおどおどした表情でこちらを見ていた。
ひょろっとしたその男は泣きそうな目だ。
「そうですよ。」
するとそいつの表情がパ、ッと明るくなった。
「やっぱり!ふぃーみんです!」
271 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 04:38
たきーのを探して―はまち編― 8
「ふぃーみんさん!」
俺はこぼれ落ちるチキン・ポップコーンもそのままに
ガッ、と抱きついた。
「は、はまちさん、く、くるし・・・・。」
「・・・あ?あ、あぁ、ごめんなさい。まさかここで会えるとは思わなかったから。」
「えぇ。ちょうど仕事でミラノに来ていたんですよ。
イタスレ見たらはまちさんのカキコがあって、もしや、と思ってきたところです。」
「そうなんだ。いやー、想像通りですよ。ふぃーみんさん。」
「は、はまちさんも想像通りです。」
はにかんだ様子だがふぃーみんは想像通り、深遠な瞳を持つ男だった。
「はまちさん、たきーのさんを探しに来たんでしょう?」
「えぇ。実は。心配ですからね。イタスレ内とはいえ、なんか昔っからの友達が
具合悪くて苦しんでるような気がして・・・・。」
「わかります。たきーのさんは普通のコテハンとして見られないですよね。」
と、そのとき、向こうのほうから「キャーッ」という歓声を上げて女の集団が
こちらへ突進して来た。
「すみませぇ〜〜〜〜〜ん!!はまちさんですか〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
俺は正直怖かった。ふぃーみんはなおさらだろう。
既にテーブルの下にもぐっている。
「は、はい・・・。?」
「キャーーーーーーーーーッッ!!!」
なんなんだ、この集団は!
と、その集団の後ろからぬすっと一人のイタ男が現れた。
272 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 04:38
たきーのを探して―はまち編― 9
「はいはい、みんな下がって下がって。
ここは野郎専用テーブルですから。」
流暢な日本語を使うこの男、いったい誰だ?
「はまちさんですね。はじめまして。私はフランチェスコといいます。」
フランチェスコ?どこかで聞いたことがあるような・・・・。
「あの、どこかでお会いしましたか?」
俺の質問をよそにフランチェスコはキャーッの集団を追いやっている。
集団はとりあえず奥のテーブルに収まり、こちらをうかがっている。
「すみません。ちょっと想像していたんですが、ここまでとは・・・。
私はたきーのの友人です。はまちさんがここに来るとわかって
待っていました。」
「え?たきーのさんの友人ですか?」
ふぃーみんもテーブルの端から顔をのぞかせる。
「えぇ。たきーののことでちょっと。」
「たきーのさん、どうしているんですか?」
俺は矢も立てず聞き急いだ。
そんな俺を制するように、フランチェスコはいすに座ると
ゆっくりと話し始めた。
273 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 04:39
たきーのを探して―はまち編― 10
「実は、私も連絡が途絶えていまして・・・・。」
「病気で入院したらしいとうかがったのですが。」
「えぇ、そこまでは私も連絡を受けました。とりあえず退院したんですが、
具合が相当悪いようで、彼は日本へ帰ったんですよ。」
「ええ?日本へ帰った?」
ふぃーみんの深遠な瞳もすっとんきょうな瞳になっている。
「でも、イタリアへ戻ってくる、って言ってましたよ。
予定ではきのう帰ってきているはずです。」
「あの、たきーのさん、交際者さんがいましたよね。
彼女は?」
「彼女も一緒に日本へ行きました。私のところへ日本からも
連絡がありましたよ。」
ううむ。日本へ帰ったとなれば相当ひどいな。
心配だ。会えるんだろうか。
「これからたきーのの家へ行こうと思っているんですが
一緒に行きませんか?」
「もちろんです!」
ふぃーみんも俺の声に同調していた。
かくして、俺とふぃーみんはフランチェスコの車でたきーのの家へと
向かうことになった。