【タキーノ】イタリアについて話そう 24【マッテルヨ】
258 :
アナル作家 ◆ANALLovE :
たきーのを探して―はまち編― 1
俺はティレニア海にいる。
初秋の風邪が冷たい海の上の食事が俺には一番似合っている。
漁師仲間が作ってくれるブイヤベースはことのほかうまい。
くたくたに疲れていてもこの時間は俺にとって一日で最高のひとときだ。
本土に戻ると自分で作らなくちゃいけないし、
俺に料理の才能は全くない。陸に上がって3日もすれば海が恋しくなる。
俺に料理の才能がないことはみんな知っているから誰も料理を手伝わせようとしない。
そんな俺も時々醤油を持って漁に出ることがある。
新鮮な魚に醤油を一たらし。厚めに切った刺身は最高だ。
俺に出来る唯一の料理だ。
もちろんPCもいつも持って漁に出る。
イタスレチェックはかかせない。
日本語を忘れちゃいけないしな。
それにしてもここのところたきーのがいないのが気がかりだ。
長い。長すぎる。
ラ・スペツィアの港に着いたら1週間の休暇がある。
ミラノまで行ってみるか。
しかし、ミラノに行ったところでどうやって・・・。
まあ、何とかなるだろう。方位磁石は持っている。
259 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 02:21
たきーのを探して―はまち編― 2
今回も大漁だ。
もう、船底はいっぱいだ。
港に着くと市場へ魚を運ぶ。この瞬間も俺は好きだ。
みんなが大漁を喜ぶ。
そして現ナマ。俺の収入源。生きている喜び。
一通りの事が過ぎると後は皆それぞれの家へと帰っていく。
俺はあちこちに行くからちゃんとしたアパートは借りない。
今回も港近くの漁師専用アパートに部屋を取ってある。
しかし、いつものように連泊じゃなくて一泊のみにした。
明日、ミラノへ行く。
たきーのを探しに。
今日は港の周りをうろついてみた。
土産物屋らしいものはほとんどないが、実はすごいところを知っている。
世界で最高のツナを作ってるやつだ。
瓶詰めのツナはマグロのフィレのみを最高のジェノヴァ産オリーブオイルにつけてある。
初めてそれを口にしてから俺はその辺のRioMareなんて口にできなくなってしまった。
そうだ、たきーのにこれを買っていってやろう。
しかし、糖尿にはたしていいものだろうか。
たまにはいいだろう。こんなものも。
酒を飲むわけでもなし。
俺は俺にも大瓶を一つ買って、その辺のラベルもない白ワインとパンを買い込むと
アパートに行った。
今夜はこれでいい。
明日からの計画でも練ろう。
260 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 02:22
たきーのを探して―はまち編― 3
しまった!寝坊した!
計画をじっくり練ろうと思ったのだが酔いつぶれてしまった。
もう、8時だ!
俺はあわててしたくをしてアパートを出た。
したくと言ってもとりたててもって行くものはないが。
下着とランニングの替えと、とりあえずの一張羅、
歯ブラシと手ぬぐい、あとは・・・。
ロープと方位磁石だ。
土産も忘れちゃいけない。
電車に乗ると俺はミラノを目指した。
コンパートメントの中でイタリア人の女の人と一緒になった。
なかなかの美人。
俺も、いつになったら恋人、ってやつが出来るんだろう・・・・。
ふと、そんな思いがよぎった。
と、その女が俺を見てにこ、っと微笑んだ。
「?」俺もつられて微笑むと、女はバックの中から何か取り出した。
シューッ!!
女は俺に向かって香水をふりかけた。
261 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 02:22
たきーのを探して―はまち編― 4
かなりショックだ。
俺、臭かったのかな?
「あなたみたいな紳士はこの香水が似合うわ。」
女は再びにっこりと微笑んだ。
これを俺はどう解釈したらいいんだろう。
俺は紳士らしい格好なんかしていない。
洗いざらしのジーンズにポロシャツだ。髪はぼさぼさ。
・・・やっぱり臭かったのかな?
「私は香水のセールスをしてるの。
これ、出たばっかりなんだけど、一押しよ。
スッゴクナチュラルで・・・・・」
女は香水のセールスだった。その香水の説明を俺にずーっとしていた。
まあ、嫌いな香りじゃないが、香水、っていうのを俺は持ったことがない。
そのとき、俺はある男を思い出していた。
高校のとき文通をしていたことがきっかけで知り合ったイタリア人男。
日本で初めてあったとき、俺と一緒の年なのにあいつは香水をつけてたっけ。
ちょっぴりセンチメンタルな気分になった俺だった。
262 :
アナル作家 ◆ANALLovE :02/09/26 02:23
たきーのを探して―はまち編― 5
そいつは俺に初めてイタリアの空気を運んでくれたやつだった。
そいつがナポリの漁師の息子だと聞いてびっくりした。
イタリアは漁師もおしゃれなのか!
俺はオクテだったからその当時まだ童貞だった。
そいつはそんな俺にかまわず女の話ばっかりしてた。
当時俺が好きだった女友達を紹介するとさっそくアタック。
次の日にはできてた。
俺は失恋のショックを受けたわけだが、どうしたわけか
そいつを憎らしいとは思わなかった。
むしろ、そんなあいつに惚れてしまった。
そのときからイタリアの漁師になることにあこがれる日々が続いた。
念願かなってアルバイトで貯めた金を持ってイタリアへ。
現在に至る。
イタリアに来る前に彼女らしいのがいて結構うまくいっていたのだが
他に間男がいたことが発覚。
まあ、イタリアに来るきっかけにはなった。
窓の外を見るとパラッツォがだんだん増えてきた。
そろそろたきーのがいるミラノへと近づいてきた。