■■□□イタリアについて話そう22□□■■

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425アナル作家 ◆ANALLovE
復讐 @

あの日、俺はあいつの透き通った瞳に恋をした。
ミラノの憂鬱な空の下、あいつの瞳は南国の海の色をしていた。
今はもう、いない。
思いを告げることもなく、あいつの瞳を見ることはなくなってしまった。

俺はいつもだめ男だった。
運動もそれほど得意じゃないし、
クラスの中でも女の子からは毛嫌いされ、
いじめられることもしばしば。
そんな俺が唯一ヒーローになれるのは日本のロボットアニメを見て
その中のヒーローに自分の姿を重ね合わせる想像の中だけだった。
いつしか俺は日本語を習得し、そこそこに読み書きが出来るようになっていた。

アニメの中の日本の女の子はかわいい。
ミラノを闊歩する日本人の女の子を見るとつい、声をかけてしまう。
たどたどしい俺の日本語に、彼女たちは喜んでくれる。
しかもみんな金持ちだから俺にご馳走してくれたりする。
この前も旅行で行ったフィレンツェで声をかけた。
案の定、俺の相手をしてくれて、いい暇つぶしになった。
おごってくれたし。

でも、そんな暇つぶしもあいつを忘れるための
俺のつまらない抵抗の一つでしかない。