イタリアの水の都ベニスが海面の上昇などのため、水没の危機に
瀕しています。この度、イタリア政府がベニスを
救うための国家的な大プロジェクトをスタートさせました。
ベニスは環礁に囲まれた小さな島です。島内を縦横無尽に水路が走り、
水の都として親しまれていますが、今、ベニスが水没の危機に
瀕しています。ベニスの中心部では、足下まで水が来てるところもあります。
これは温暖化で海面が上昇する一方で、ベニスが地盤沈下している
ためです。水位はこの200年で、相対的に約80センチ上がった
と言われ、去年1年だけで90回以上も町の一部が水没しました。
今世紀中に水位はさらに50センチ上がるという
観測も出て、ベニスの水没が確実視されるようになりました。
ベニスの水没を防ぐため、水門が作られることになりました。巨大な
水門を作って、水をせき止めてしまおうというものです。
水門はベニスを取り巻く遠浅の海とアドリア海をつなぐ
3つの出入り口に4000億円あまりをかけて、建設されます。
可動式で高波などをブロックします。
しかし、ただでさえ水がよどんで夏には悪臭を放つベニスの環境が、
水をせき止めることでさらに悪化するのではないかという
新たな懸念が発生しました。このため、イギリスから
専門家チームが招聘されました。ベニスを取り巻く遠浅の海に
点在する干潟の微生物や堆積物の状況を調べ、
干潟が持つ水を浄化する能力などを利用した環境改善策を
編み出すためです。セント・アンドリュース大学の
パターソン教授らは干潟に悪影響を与えない水門の使い方を
アドバイスしたり、近年減り続けてきた
干潟の人工的な再生も視野に入れて、調査を進めています。
ベニスが水の都として生き残れるかどうかは、
水門と干潟を両立させられるかどうかにかかっています。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye65597.html