★★★イタリアについて話そう15★★★

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723嘆きの滝夫人。続きA
アントニオは困惑した表情で後ろから滝の首筋にその生意気な
鼻をつけて呟いた。

アントニオ「泥棒・・君だって僕の心を・・・。」

:アトリエは薄紅色のベールに包まれた。しかしアントニオは
この時まで、滝の瞳が時折、赤色に変色することや、爪が鋭く
生え揃うこと、滝が教会に行くことを何故拒むのかを知らな
かった。

滝   「アントニオ・・逃げるのよ。」
アントニオ「えっ??」

:突然アントニオの携帯が、けたたましく鳴り響いた。

アントニオ「プロント?」

電話「もしもしFBIのモルダー捜査官ですが、テスティーノ
   さんですか?」

:滝のそばの小さなテーブルのバカラグラスが音を立てて割れる:

滝   「アントニオ・・遠くへ!」

♪Dufay:Par droi je puit bien complaindre et gemier
(私が嘆き、うめくのも無理からぬところ・)
    の曲と共に幕が下りる。