542 :
名無しさん:
レモンの表皮、あの黄色い部分である。これが
イタリアでは立派な調味料になってしまう。内部の薄皮はフェッタと言っ
て、これをエスプレッソに入れると、乙な味がする。
ミラノ風ビフテキ。あの薄さと香ばしさに食欲をそそられる。普通はレモ
ン果汁を絞る。個人的には温度感の違いが好きになれない。レモン果汁の
酸味とあの冷たさは、狐色に焼き上がった衣と合っていない。
そこで、レモン表皮の黄色い部分の微塵切りを散らすのである。控えめ目
な酸味がカリット焼き上がった衣との相性は良い。色の組み合わせも申し
分ない。ルゥコラの緑、トマトの赤。これが添えられている。黄色のレモ
ンと狐色の衣。イタリア料理も彩(いろ)で楽しませてくれる。
もう一つの使い方は、これを乾燥させて、胡椒と一緒にミルで挽く。野菜
サラダが塩なしで食べられる。野菜が本来備わっている、塩味をこの乾燥
レモンが引き出してくれる。
野菜が育つ土があって、その上で人も生活をしている。土、野菜そして人間
が三位一体となる。やはりイタリアは旨い。イタリア料理は人間存在の原点
を教えてくれる。