イタリアについて話そう4

このエントリーをはてなブックマークに追加
679小説(イタリアOFF会の風景) 11
ギタ−の弾き語りの男は続けた。
「おれがイタリアに来たのはもうだいぶ前のことだ。
 そのときおれは語学留学してたんだけど、勉強は
 そっちのけで悪い友達と遊んでばかりいた。」

男は自分が差し出した帽子に客から金を集め終わると
また静かに話を続けた。
「あるときバスに乗っていたら、急に制服の男が乗り
 込んで来て切符をチェックし始めたんだ。おれは、
 そのとき何が起きたのか、分からなかった。だって
 友達からはバスは無料だから切符は要らないと言わ
 いたんだからね。・・・でも時すでに遅しさ。おれ
 は制服の男に捕まった。でも罰金を払えるだけの金
 なんか持っていない。絶体絶命。そこでたき-のに
 会ったんだ。」