◆女性の割礼◆

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66FGMについて
女性割礼は、最近ではFGM(Female Genital Mutilation:女性の外性器切除)と呼ばれているl。

FGMは大きく分けて3種類ある。最も軽いものがスンナ割礼と呼ばれるもので陰核の表皮をカミソリで切る方法で
ある。2番目は陰核切除である。陰核を切除するということは女性の性的機能を持つ部分を切除するということで、
場合によっては小陰唇も切除されることがある。最も過酷だとされているのがスーダン式割礼、もしくはファラオ式
割礼と呼ばれるものである。(スーダンの女子割礼はその過酷さで有名であり、そのためスーダン式割礼とも呼ば
れている。)ファラオ式割礼は今と昔とで方法が異なる。昔風のファラオ式は陰核、小陰唇さらに大陰唇を切除し、
その傷口を砂糖や卵のような粘着質もので押さえつけ数日放置して癒着させて、また糸などで縫合する。今風のも
のは陰核と小陰唇の全体および大陰唇の前面部を切除する。傷口は腸弦や絹糸で縫合される。どちらにせよ、排
尿と月経血を流すためだけの穴は残しておく。これが陰部封鎖である。このように大きく分けて3種類のFGMがある
がそれぞれ地域、国によってその方法は様々である。
 女子割礼を習慣としている国はエジプト、エチオピア、ガンビア、ギニア、マリ、ソマリアなどである。これらの国々の
共通点は約90%以上というかなり高い比率で少女たちがFGMを経験しているということである。ここにあげたのは
アフリカ諸国ばかりであるがアジアでも行われている国、地域は存在する。またここにあげた国以外でもFGMを習
慣としている国、地域はアフリカ諸国に存在する。
 FGMを行っている代表的な国としてエジプトがあげられる。フォトジャーナリストの内海夏子さんの1998年10月23日
の記事によるとUSAID(United States Agency of International Development)による大規模なFGMに関する調査
の結果、エジプト女性の97%が割礼されていることが判明した。また第19号女性学年報(1998,11,1)にある河井知
子さんによるとエジプトでは613人の患者に対して1人の医師しかいないという。これは絶望的なことである。なぜなら
医師が少ないためにFGMを施すのはアラビヤ語でダーヤ(daayah)と呼ばれる助産婦、もしくは床屋なのだ。もち
ろん医師が行う場合もあるがその医師たちは専門の学校で医学を勉強したわけでも正しい知識があるわけでもな
い。医師という社会的地位を利用してお金のためだけに働いているような最低の医師である。また女子割礼を専門
職とする女性達もいる。ムカッティアトゥル・ブズ−ル(muqaTTi'atu-l-buZuur)と呼ばれる人たちである。ムカッティア
は「切る女」、ブズ−ルは「陰核」を指す。彼らに共通するのは免許も資格も医学的な専門知識もなく、迷信や切り過
ぎ、動物の排泄物を塗るなどの無知による民間療法によりFGMを施術していることである。また施術の際には麻
酔がない場合もあり、充分消毒さえもされていないナイフ、カミソリの刃、はさみなど非常に不衛生で危険な状態な
のである。
 そして施術の際の身体的影響ははかり知れないほど危険なものである。手術後の敗血症、傷口の化膿、感染症、
伝染病、破傷風、尿毒症、膀胱炎、ガン、流産、不感症、尿道炎、尿道石、また月経血の流れが妨げられることに
よって起きる膣炎、慢性の骨盤炎、腰痛、生理痛、不妊症、不毛、組織の過剰な傷跡など数えればきりがない。腎
臓にもダメージを与える。最悪な場合は施術時のショックによるショック死、出血多量による死というように死に至る
可能性もある。またFGMは身体的影響だけではなく精神的ダメージもはかりしれない。長い間、または生涯を通し
て少女や女性たちは精神的トラウマとショックに耐え続けるのだ。