ショーペンハウエル 「女について」 

このエントリーをはてなブックマークに追加
11Ms.名無しさん
ヨーロッパにおける真の「淑女」は、全く存在すべからざるものであるが、主婦および主婦に
なることを望む少女は存在せねばならぬ。従って、少女は横柄にならぬよう、そして、家事と服
従とに向くように教育されなければならない。ヨーロッパに、いわゆる「淑女」がいるからこそ、
身分の低い女たちーすなわち助成の大多数を占めるものーが、東洋におけるよりも、はるかに不
幸な目にあっているのだ、バイロン卿ですら言っているではないか(トーマス・ムーア編『書簡
および日記』第二巻第三九九ページ)。「古代ギリシア人の間における婦人たちの状態を考えてみ
るとー全く的を得たものであった。騎士および封建時代の野蛮な遺風たる現今の状態はー人
工的であり不自然でもある。女たちは家事に心を配らなければならないーそして、よい食物を
とり、よい衣服をまとう必要はある。しかし、社交のうちにまじらなくともよかろう。なお、
宗教については、充分に教育されなければならない。−けれども詩や政治の書を読む必要はな
くーただ、信心のことや料理に関する本を読んでおれば、よいのだ。音楽をしたり、絵を描い
、ダンスをしたりー時には、少しばかり庭いじりや畑仕事などをやるのも、よかろう。わ
たしは、エピルス〔ギリシアの西部、アルバニアとの国境にまたがる地方〕において、女たちが
道路の修繕をやり立派な成功を収めているのを見たことがある。それゆえ、枯れ草を作ったり乳
を絞ったりするのと同様に、このような仕事を、女たちにやらせてはならぬという理由が、果た
してあるのであろうか?」と。