BoAたん萌え

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1Ms.名無しさん
BoAたん萌え
2Ms.名無しさん:03/04/20 23:17
チョンキモイ
3Ms.名無しさん:03/04/21 00:32
ワシはエエと思う。
4Ms.名無しさん:03/04/21 11:04
マルチうざい
5Ms.名無しさん:03/04/21 12:04
ユソンナ萌え
6Ms.名無しさん:03/04/21 12:40
武田信玄は二十一歳
上杉謙信は十二歳
織田信長は八歳
後の平民太閤
豊臣秀吉はしなびた
垢面の六歳の小童だった

―岡崎城
―城主 松平次郎三郎広忠 十六歳
―側室 お久の方 十八歳

「まだご決心がつきませぬか」
「お屋方さまが素直にご承知くださいませぬと久がきびしく責められます」
「そなたなぜ嫉妬せぬ。いずれは正室との約束で予と契ったのを忘れたか。
 正妻の座を奪られて口惜しくないのか」
「お家のため、一族のためでございます」
「それい於大さまは海道一の美女とか、快くお迎えなされて老臣がたを安堵
させてくださいませ」
「言うな!於大は予の継母華陽院の産んだ娘ではないか。予にとっては今ま
で戦ってきた敵の娘で、しかも義妹。いかに生きるためとはいえわが義妹を
めとれとは我慢ならん!」
「負け戦のあとで押しつけられるみじめな縁談よ。それを、そなたまでが…
予には刈谷の城主水野忠政の姿が目にうかぶ。松平の小倅に於大をつかわ
しておくと、また何かと便利だろうとうそぶいてる姿がな」
「お久、そなたは予の生母がみまかったのち父のもとへ継母華陽院が輿入れ
してきたときの噂を存じているか」
「はい…
いいえ…」
7Ms.名無しさん:03/04/21 12:40
「知っているとも口にはできぬというのであろう。予にはおれが口惜しいのだ」
「でも遠い昔のことでございます」
「継母はな、刈谷の城で水野の和子五人を産んだ―忠守、忠分、忠重それに
於大じゃ、男はみな屈強な者ばかり、その一門の正腹をなぜ忠政が離別した
のか…。そしてなぜ、わが父のもとに輿入れさせたのか」
「それを申されてはなりませぬ。久は困ります」

―「なぁ、お久どのからもさとしてくだされ」
―「殿はまだ若い、これがどんなにお家にとって大事なことなのかまだわかって
  いない」
―「もともと松平家も水野家も今川家に志を通じている。それを、今、日の出の
  勢いの織田信秀がほうっておくわけがない」
―「この松平家の大叔父にあたる松平信定でさえ織田信秀に内応し、この岡崎
  城をわが手におさめようとしてるということじゃ」
―「こんな時に小国が相争うは絶対さけねばならぬ。近隣親しく相結んで、いかな
  る手を打とうと生き残らねばならぬ」
―「なにしろ今は一にも忍従、二にも忍従なのだ、わかってくだされ」

お久の方は重臣達に悲しい因果をふくめられていた。だが、広忠は決してウンとは
いわなかった
亡き父までが水野忠政の陰謀におどらされて、彼の子を五人も産んだ年上の妻を
押しつけられたと信じているからだった
8Ms.名無しさん:03/04/21 12:45
パンストオナニー最高!!
9Ms.名無しさん:03/04/21 12:51
「お久、いいことがある。このままではそなたも困るであろう。その縁談承知してやろう」
「ご決心おつきになされましたか」
「ああ、ついた。だが、その於大とやらはこの岡崎で病死するのじゃ」
「えっ?」
「毒を盛るのよ」
「ひーっ」
「そのようなむごいことを」
「なにがむごい!これが相手の狡智への返礼じゃ」
「だと申して、於大さまにはなんのとがめもございませぬ」
「とがめのないのは予も同じだ」
「予の祖父も父も刃にとられた。予もいずれおなじ運命であろう。このような世の中では
殺さないものは殺されるのじゃ。生きぬくためには五人の母さえ間者に入りこませる
水野なのだぞ」

「申しあげます、北の丸から華陽院さまのお渡りでございます」

「これは母上」
「バババ」
「おお、勘六どのもご一緒か。しばらく見ぬまに大きゅうなられた」
「ここにきながら酒谷、風呂谷をのぞいてきましたが、どちらももう鶯がきています」
「早いものでございます、このあいだまできびしい木枯の中で水野と戦っていましたのに」
「広忠どの、於大から今朝ほど手紙が届きました。松平家と水野家の和議がうれしい。
広忠どのはどのようなご気性のお方かなどと、明るい夢をひろげています」
「きびしい世間をしらぬからでございましょう」
「広忠どのもまだそれを知りませぬ」
「のお、勘六どの、東に今川西に織田、甲斐に武田、小田原に北条、こんなご時世に松平
や水野が争っていたのではどちらも疲れ誰かの餌食になってしまいますのう」
「広忠どの、この縁談まさか不承知ではございますまいのう。この縁談は亡くなられた
お父上のお望みでもありました」
「父上が?」
10Ms.名無しさん:03/04/21 12:59
「信じられませぬが、継母の仰せとあらば迎えましょう。しかし、於大どのに子のない時は
離別する、それにご異存ありませぬか」
「それに、もし万一両家が再び争った時、於大どのを討ち果たしても苦しゅうございませぬか」
「あなたのよろしいように…」

「殿、刈谷からお使者でございます」
「水野忠政め、殊のほかこのご縁談にご執心と見えますなぁ」
「なにしろいまは一に忍従、二に忍従のご時勢じゃ。こんどの縁談は華陽院さまにしても血
をわけさせられたお方、四方八方円くゆく」
「いやいや、それは小さなこと。もっと大局をを見定めいったいこの次の天下を誰だとる、
この見通しがすべての動きの根本にならなければならぬ」
「武田の倅、晴信はしきりに今川家をうしろからつこうとしている」
「だが今川も強大だし、織田信秀も日の出の勢い」
「さよう、こうした時期に先方からの縁談、これまさに御家の万歳、渡りに舟といわねばならぬ」

「皆さま方、もうそのようなご心配は不要になりました」

「と、申されますと」

「私からすすめました。広忠どのは目をつぶって迎えてくれますそうです」

「それはそれは」
「おめでとうございまする」
「これで松平家も安泰でございまする」
11Ms.名無しさん:03/04/21 14:05
BoAを誘拐してイマラチオしたいね
12Ms.名無しさん:03/04/21 14:10
あるーひ、森の中、熊さんに、であーった。
13Ms.名無しさん:03/04/21 16:14
―刈谷城
―城主 水野右衛門太夫忠政

「そうか、縁談承知したか」
「はっ、華陽院さまはじめ松平家の重臣のご協力で」
「役目ご苦労であった、さがってよいぞ」
「はっ」

「これこれ、だれか」
「お呼びでございますか」
「於大を呼んでくれい」

「お呼びでございますか」
「おお、於大。縁談は決まったぞ」
「どうじゃ、うれしいか」
「なにより、母上にお目にかかれるのがうれしゅうございます」
「そうであろう、わしもうれしい」

於大、この時十四歳

「輿入れには一月九月はきらうというが、わしはそのような迷信は無視してよいと思う
できるだけ早く、来年早々にしたいと思っている」
「だいもそのようなことは気に致しませぬ」
「そうか、そうか。嫁いでしまうと、もうそなたにも会えなくなる。今日はひとつゆっくりと肩を
たたいてもらおうか」
「はい、喜んで」
「そなたは、この縁談をなぜわしがこのように喜ぶかそのわけをわかるかの」
「この縁談そなたの兄たちの間にも重臣の間にも不満を抱く者がないでもない」
「はい、それならばうすうすと…」
「まだ若年の松平広忠、今こそ討つべき時だと申す、だがこれは血気というものだ」
14Ms.名無しさん:03/04/21 16:15
「今、たしかにこの水野の方が力は上だが、長く真剣に戦ったら滅ぶのは松平でのうてこの
水野じゃ。わしはな、おまえに詫びねばならぬ。大きな誤算をしてのけた。そなたの母を
岡崎に送りこんで 勝ったと思ったことじゃ、思慮のたりぬ恥ずかしい誤算であった。広忠
の父清康どのはすぐれた武将でな、このわしも歯がたたず、さからえば刈谷が滅ぶ運命
あった」

(遠い昔のことだがいまでも思い出すわい)

その昔、今とは違って実は松平の方がじりじり水野の刈谷城を圧迫していたのである。
そして或る日、清康が忠政のもとを訪れた。この時、清康十八歳、忠政三十六歳であった。
手厚くもてなす酒宴の席で清康は忠政の妻、お富 二十三歳を見て
「これはまた臈たけたこの婦人を予にくれぬか」といったものだった
相手が五子の母であり、忠政の正妻と知っての上でのたわむれであった。
だが、このたわむれは弱者にとってたわむれでは済まなかった。
清康の武威をおそれる忠政はそっと妻と離別した。そして、それを清康が娶ったのであった。

「あの時、わしの腹は煮えかえらんばかりであった」

だが、わしは勝ったと思った。五子の子を残していく母なのだ、その母が向こうの城にいるかぎり
水野の家は安泰なのだ。

「そのことでは、わしの考えは違っていなかった。現に水野の家は安泰なのだから。だが、折を
見て松平家をふみつぶそうとの考えは甘かった。松平家に向う寄手の大将共はその母の子
なのだ、口先で勇ましいことを言っても母のいる城はふみつぶせぬ。ふみつぶすことは、産み
の母を殺すことになるからのう」

「ははは、泣くな昔のことじゃ。
よしよし、こんどは腰でももんでもらおうか」
15Ms.名無しさん:03/04/21 16:15
過ぎたることではあるが、これはやはり父の負けだった。人情を忘れたことは策ににて策には
ならう。
このような乱世ではこざかしい策謀など役に立たぬ、大きなまことで両家を結び神仏の思いに
かなう勝ちかたを考えた。

(この忠政、生涯忘れかねる貞節なそなたの母を相手に送って、苦しみぬいたのじゃ。この上は
いっそ怨みを祈りに変え、逆にもう一人いちばん愛しいものをささげて神仏の加護をえようとな)

「わしがここ近年岡崎と事を構えて戦ったのは、相手をつぶすためではなく、そなたを人質の
ような思いで嫁がせたくなかったからじゃ」

於大は父を尊敬できた。殺して、殺されて 謀って、謀られるはかない力を過信して果てしもなく
悲嘆と怨嗟を積重ねる、その狭い視野から父だけはぬけでていると思った。この父のためにも
両家のよい楔にならねばと於大は思った。

「だいは幸せでございます。まだ誰にも憎まれたことはございませぬ」

(この娘、わしの不安をよく見ぬいている)

「だいは父上にも母上にも、兄上たちにも、そして岡崎のみなさまにも愛されまする」
「そうじゃ、そなたなら誰も憎む者はあるまい。だが、於大。ただ愛されるばかりではのうて、
そなたの方から愛さねばならぬものがあるはず」
「はい、岡崎のお宝を身にかえまして」
「岡崎の宝とは」
「他家にすぐれた家臣達と母上の手紙にございます」
「それじゃ、於大それじゃ。さきほど長く戦えば水野の負けといったのは、その家臣のよさをいった
のじゃ。於大、そのことを心に刻んで忘れるでないぞ」
「はい」
「はっははは、わしの取越し苦労であったかな」
16Ms.名無しさん:03/04/21 16:15


―二男 信元
「父上」
「うん?父上お人払いを」

「於大、もうよいさがって休め」
「尾張からなにか諜報でもあったのか」
「於大の縁談思いとどまれませぬか」
「いまになってはのう」
「織田信秀、ことの他猜疑わが家のためにはなりませぬ」
「よいよい、尾張には広忠の寝首をかかせにやるのだと申せ」
「父上、思いとどまってくだされ。今は岡崎をふみつぶす時でござりまするぞ。わが名乗りの信元
の一字お忘れなされましたか。織田信秀をはばかったこの信の字を!」
「名乗りの文字など気にするではない。信元の元は今川義元の元を頂いているではないか」
「それゆえに、この縁組に反対いたすのでございます。名乗りの中まで、織田をはばかり、今川
に追従する、その水野家がはっきり今川方と旗幟鮮明にしている岡崎に縁を求めるのか、わざわ
ざ織田の好まぬ相手を選ぶのか」
「信元、おぬしなにか勘違いをいたしておるな」
「勘違い?
なにがでござります」
「信元の名は両家をはばかるものと言った。そのような了見の狭さを御身は恥じぬのか」
「恥じませぬ」
「そうか、わしなら恥じる。わしは追従や恐れで名はつけぬ。織田信秀の胆、今川義元の略二つを
身につけようと大らかに思うてつけたのじゃ。於大のことでは、父にも思うこともあるゆえ、任しておけ」
「しかいs、尾張の猜疑はことのほか……」
「信元くどいぞ!」
「尾張が猜疑するならさせぬように計らうのが分別であろう」
「やむを得ませぬ。父上のお言葉にしたがいましょう」

この二男 信元は岡崎にある華陽院の子ではなかった
17Ms.名無しさん:03/04/21 20:52
「どうどう」

「刈谷の信元じゃ、開門せられい」
ギギギ・・・
「いざお通りを」

「いらせられませ」
「おう、於国か。だが、今日はそなたを可愛がりにきたのではない。兄者に急用があってな」

「お波、お波はどこにおるぞ」
「ここでござりまする」
「おう、またここで宮仕えか精の出ることじゃのう。
お波、今日は御身に頼まねばならぬことができてのう」
「この波太郎に?」
「親父どのがなんとしても於大を岡崎にやると申す。大変な見当違い、断じてやれぬ。御身
於大を途中で奪ってくれ」
「わかりました」
「御身の家には絶えず織田方の出入りがある。したがって、天下の事情もよくわかろうが、
いやいや親父どのの頭の古さにはほとほと参る」

波太郎の本姓は竹之内という
だが、このあたりの農民たちは熊の若宮と呼んでいる

波太郎の語るところによれば、この熊の若宮一家こそ、南朝の正統が再び世に出る時のため
得難い古文書の数々と秘宝を預かる竹之内宿禰の末裔なのだという

応仁の大乱以来、世の紊に面をそむけ、祭壇を設けて、しきりになにか祀っているが、彼等が
各所の野武士、乱波、船頭、漁師の脈をおさえ、海と陸に隠然たる一勢力をなしている
18Ms.名無しさん:03/04/21 20:52
「それで、於大さまの婚礼の日は決まりましたか」
「まだじゃ、決まったらあらためて知らせる」
「して、お迎えした於大さまはどうなさいます」
「御身にまかそう。
織田方に質に送るもよし、御身の手許でしばらくかくまってくれてもよ
 そうじゃ、いっそそのまま於大の妻にせぬか」

「そうじゃ、それがよい。さすれば、御身とわしとは兄弟じゃ。そして思いっきりこの乱世に新しい
構想で翼をのべるのもおもしろかろう。
どうじゃ、お波。まさか不承知ではあるまい。この信元とて御身の胸の中に何があるか見抜い
てるぞ。池の中の竜が何をのぞんでひっそりと息をひそめているかを…
わしは御身のその冷静さが好きなのだ」
「それがしがお手伝い申すは、なんのとがもない女子を政略の具にやりとりする……その乱脈
哀れさへの抗議のためでござる」
「よいよい。さてと、城にかえるとするか」

「於国」
「あ…」
「明日の夜、亥の刻に忍んで参る。裏門のはね橋をおろしておけ」
「亥の刻」
「そうじゃ、堀の外にまたせるなよ」
「はい」
19Ms.名無しさん:03/04/21 20:52

於大の輿入れの日は一月二十六日と決まった
於大のつれてゆく召使いは二人、水野家家老土方縫殿助の妹 百合と杉山元右衛門の娘
小笹が選ばれた

百合 十八歳
小笹 十四歳

於大の身に万一のことある時は身代わりにならねばならぬ運命である

「百合どの、於大さまは何ごとも知らぬゆえ百合どのが身のまわりのことはみるのですぞ」
「はい」
「小笹どの」
「はい」
「小笹どのはくれぐれもお食事のご吟味を怠ってはなりませぬぞ。お毒味は小笹どの、わか
りましたか」
「はい」

嫁ぐということが何時の頃からか「人質」の意味を持ちだしている
20Ms.名無しさん:03/04/21 20:52
一月二十四日 於大は刈谷の城を発った
二十六日の婚儀では、二十四日に発たねばならなかった

「ではお父さま、だいは参ります」
「おう、くれぐれも健固でな」
「お労わしや」

大手門にも家臣の家族たちがこの城主の姫の姿を見ようと集まっていた

「おお、姫の輿が見えましたぞ」
「うん?」
「おなじ輿が三つ、どれに姫が」
「ははあ、そうか。これは途中のご用意じゃ、さすがにわが君用心ぶかいこと」

「うん?」
「あれっ」
「また、おなじ輿じゃ」
「いったい姫はどの輿に?」
「あっ」
「あああ」

この時はじめて群集はそれほどまでにと……
ドキリと胸をつかれる思いであった

21Ms.名無しさん:03/04/22 00:18
>>6
どなたか解りませんが書き込みお疲れさまです・・・。
2chに書き込みをするのはやめるつもりだったのですが
あまりに丁寧に書かれていらっしゃるのでつい・・・。
今日は何だかすぐには眠れないと思うので
これからしっかり拝読させていただきます。
もしよかったら続きを是非よろしくお願い致します。
勝手なお願いをしてすみません・・・。
22待ち伏せ:03/04/22 07:02
「信元さまのお知らせでございます」

「にせ行列は都合三つ、その二つめが本物の由でございまする」
「いけっ」


一つ目の行列は何事もなく通りすぎた
しばらくして、二つめの行列が橋にさしかかった

「うっ、無礼者」
「敵じゃ、近づけるな討ち取れ!」

その騒ぎをききつけた民衆が集まってくる
「なんだ、なんだ」
「どうしたんだ」

「うぐっ」
「あああ、うぬ等もか」
「輿を渡すな」
「渡すほどなら慙死せよ」

「まてっ、またんか」
輿を追い水の中に入るが、敵は舟の上、槍の的となる
「うぐっ」

ポチャーン
「どうも今日は小鮒ばかりつれる」
「三つめの行列か、本物が奪われたと知ったらあわてるであろう
うん?
輿と輿とのあいだの連絡をとりあっているな」
23待ち伏せ:03/04/22 07:03
「うん?」
(第二の輿が奪われたと聞いて落着いているとは…してやられた!
さすが、水野忠政。わが子、信元まであざむきおおせたか)

(フフフ、見事裏をかかれた)


「一の輿は」
「岡崎の手前を流れる矢矧川に近づきました」
「ご苦労」
「縫殿助さま、野武士はもうおそってきますまいか」
「大丈夫じゃ、野武士を語らって略奪は一つ成功し人数を散らすと、その日のうちに再び
召集することは不可能。それに、於大さまの顔を知らぬのだから失敗とは思っていまい」
「それにしても、織田はやはりこの縁組をはばもうとしてきたな」
「織田とわかりますか」
「奇襲と放火、織田信秀の最も得意とするところよ」
「うん」
「あっ」

「ここにも待ち伏せていたか!
第二の備えがきっとある、前ばかりに気を取られるな」
「輿を奪われるな!」

カツカツ
「土方どのはいずれにある。縫殿助どのはいずれにおわす。薬王寺の近くで第一の輿が
おそわれました」
「なにっ!
あの輿には於大さまが……」
「土方さまはいずれに!大事でござる。こちらの輿よりも薬王寺に全員ご加勢を!」
「こちらの輿はそのままにして?」
「すると、こちらの輿はニセ物……?」
24待ち伏せ:03/04/22 07:04
「かたがた狼狽めされるな。こやつは敵のまわし者、われ等をここから薬王寺に追い払う
計略でござるぞ」
「そうか、敵の計略か」
「その手にのるものか」
半刻ほど争いは続いたが、輿は敵に奪われてしまった

「薬王寺に加勢に参る、わしにつづけ」
「あの輿だけは奪われてはならぬ、あの輿だけは!」

「おおっ!間にあわなかったか…

輿はっ!輿はどちらに!」
「姉崎村のほうへ……」

「殿、申しわけござらぬ」


―岡崎の重臣
―酒井雅楽助正家邸

「まだ、見えぬか」
「もう、ほどなく」
「華陽院さまもおまちかねじゃ、門前に見えたら大声でしらせよ」
25待ち伏せ:03/04/22 07:04
「もう程なくまいりましょう。それにしても物騒な世の中。われらの睨んだとおり、織田は
矢矧川原にまで伏勢を置いていました。ほうっておくと、三度めの襲撃は矢矧の渡し…」
「ようございました、先手をうてて……」
「しかしこの荒っぽい方法、刈谷の城から苦情が出るかも知れませぬな」
「苦情どころか、事情がわかれば岡崎にも知恵者がいると喜びましょう。それにしても
於大もおどろいたことでしょう」
「ところがそうではござりませぬ」
「?」
「大久保新八郎が輿の戸を開くと、岡崎のご家来衆であろう。ご苦労であった、と先に
申されましたそうな」
「まあ、そのような利口なことを」
「それを聞いてこの雅楽助、思わず涙がこぼれましたわい。この縁組には神のご加護
がござります」

お着き〜

「華陽院さま、お着きになられましたぞ」

「つつがないご到着、正家祝着に存じまする」
「ご苦労さまでした、無事につけまいした。だいは嬉しく思います」

於大はそれが自分の母であるのを全員で感じていた
夢で見た母、ひと頃はだいを捨てたと憎んでいた母
今は大きな悲劇の中に立たせられ、立派に自分を支えとおした悲しい女性とわかった母
26待ち伏せ:03/04/22 07:05
「於大か、そなたの輿をさらおうとたくさん待伏せしてたそうな。無事についたは家中の
おかげ、おろそかに甘えてはすみませぬ」
「おろそかには思いませぬ」

「ふむう」
「ここでお二方があまり親しすぎては閨門にお家をとられたと淋しく思う者達ばかりじゃ
だが、これなら普通の嫁と姑、利口な姫じゃ」
「では、設けの席へ」
「はい」

27Ms.名無しさん:03/04/24 23:09
>>26
書き込みお疲れ様です。
いつも楽しく拝読させて頂いております。
お時間が空いている時で構いませんので
出来れば続きをお願いしたいのですが・・・。
いつも無理を言って申し訳ありません。
28Ms.名無しさん:03/04/24 23:18
「面白くもない。親父どのはこのわしまでたばかりおった」

(それにしても、於国のやつ遅いのう」

ガラッ

「?」
「これ、そちにあの小鳥は捕らえられぬか」
「そちとはわしのことか」
「他に誰がいるか。早う出てきて小鳥を見よ」
「わしは和子の家来ではないぞ」
「わかっているわ、誰が自分の家来を見まごうものか」

「あっ」
パタパタ

「誰の家来かは知らぬが、急のやくには立たぬ奴め」
「なにっ。ぬぅ、待てい!」
「なにか用か」
「和子はここの客人か」
「それを聞いてなんとする」
「ええい、口のへらぬ小倅め。いきなり他人の部屋の窓をあけて無礼とは思わぬか」
「思わぬ」
「むむ」
「思わぬといったらもう返す言葉はないのか、あわれな奴め」
「ぬぅっ、わびていけ!」
「小鳥は捕れぬでも人は切れるというか」
「黙れっ、無礼な奴め。名乗って詫びよと申すのじゃ」
「いやじゃ…と申したら斬ってくれるか」
「う……うぬぬ」
「怒った、怒った。和子は知らぬ。はははは」
29Ms.名無しさん:03/04/24 23:19

「あ、吉法師さま」
「!」
「さ、ご参拝の用意ができました。おいでなされまし」
(吉法師!織田信秀の嗣子!あれが吉法師か)

(それにしても織田信秀なんのために吉法師を波太郎の家に寄こしたのか)

(吉法師か…)
「信元さま」
「おう、一人で退屈していたぞ」
「申しわけございませぬ。信元さま、兄がなぜ前髪をとらずにいるかご存知か」
「さあな」
「兄がいつまでも元服せぬは、それもこれもみなあなたの故」
「なにっ」
「神々に仕えるは女性でなければならぬ償い。それも男を知らぬ女性」
「それと波太郎が元服せぬこととどうかかわりがある」
「於国はあなたさまを知りました。兄は、それでも叱りませぬ。そなたが幸せならば、
神々にはわしが代わって仕えようと前髪立ちのままでいられるのです。於国はそれ
がつろうございます」
「わかった、わかった。そのうち妻に迎えよう。それよりも、吉法師どのは以前からこの
家に見えられていたのか」
「はい、三度めでございます」
「なにをしに参られる」
「兄がこの家に伝わる秘蔵の倫理、家伝の宇宙観をお教えいたしてございます」
「ふむう。於国そなたはこの信元が愛しいであろう」
「はい」
「わしがあの吉法師をさらえと申しつけたらなんとする」
「えっ」
「あの小倅を人質にとる。いやいや松平家のものどもがさらったと見せかけてもよい。
心配いたすな、殺そうとは言わぬ。まずさらわせて、それからこっちで奪いかえした形
にする」
30Ms.名無しさん:03/04/24 23:20
「でも、それを気づかれたら」
「その時は松平と組んで一戦する手もある。ようするにこちらが優位に立てばよいのだ
そなた、吉法師を美しい小鳥がいるといって誘い出せ」
「でも雨がふっておりますもの」
「今日ではない、今日はもう暮れる。吉法師は今夜ここで泊まるであろう。明日の朝じゃ
明日の朝、庭から裏門へそっと小倅を誘い出せ。それまでにわしも手筈をつけておく」
「………」
「どうした、いやだというのか」
「いいえ…
いいえ…」
「その代わりそなたはこのまま城にひきとる」
「信元さま」
「よしよし、わしにとっては得難い小鳥。そなたをもしも鷹めに傷つけられては相成らぬ」

「於国、信元さまはおられるか」
「は、はい」
「おお、お波か。客人を見かけたゆえ遠慮していた。ご一行は今宵ここにお泊りか」
「信元さまは吉法師さまのお目にふれたそうな」
「うむ、いきなり窓をあけおって小鳥を捕えよと申された」
「ご濶達なご気性ゆえ、時々お守りの方が手を焼かれる」
「ところで御身はいつから吉法師どのの師傅を仰せつかった」
「師傅ではございませぬ。ご参拝でございます。それについていささか困ったことが出来
ました。ご一行は今宵ここにお泊りゆえ、一切人は近づけるなとのお達し。それで、お目
にふれた信元さまのことをただされました」
「刈谷の信元だと申したのか」
「申しあげずには納まりませぬ」
「それで」
「すぐにこの屋敷より退散せよと申しまする」
「誰が?供の者どもか」
「吉法師さまでございます。好かぬと仰せられて」
(ぬぅっ、あの小童め)
31Ms.名無しさん:03/04/24 23:20
「はっははは、これはまたひどく嫌われたものじゃ。よろしい、すぐ退散しよう」
「ところが、それもかないませぬ」
「なぜじゃ?」
「信元さまはご存知ないが、この熊の若宮屋敷すでに蟻一ぴきも通さぬほどに取り巻か
れておりまする」
「なにっ」
「ご用心堅固な信秀さまのお指図。吉法師さまご滞在中は子猫も通すな、無理に通ろう
とする者があったら、容赦なく斬って捨てよと信秀さまの手くばり。つねに意表をつきま
する」
(ま、まるでわしの考えを見すかしているような織田の手くばり。考えてみれば、わしが
うかつであった。この乱世に大切な嫡子をそう手軽に外出させる筈はない)
「ははは、こりゃおかしなことになってきた。刈谷の信元が吉法師どのの前に出てお詫び
を言上せねばならぬ破目になったか。のう、お波。わしがまかり出て詫びたらそれで
済むであろう」
「於国、そなたは吉法師さまのお給仕に参るがよい」
「はい」
32Ms.名無しさん:03/04/24 23:20

「信元さま、吉法師さまのカンの虫、あなたさまでは納まりませぬ」
「このわしが参って手をつかえてもか」
「子供のこころは鋭いもの。好悪はそのまま真をつきます」
「なにっ」
(こ、こやつもおれの考えを見抜いている)
「この上は波太郎の申すままになされたほうが上分別と心得まする」
「言うてみい」
「あなたさまはわが家の婿。於国と並べてこの波太郎が案内し、婿なればと取りなしまする。
それ以外には、ちとむつかしかろうと……」
「なにい。お波!御身は考えたな」
「考えたとは?」
「吉法師どのの前にわしを引きすえ、わしの妻は於国じゃと、はっきり織田家へ通すつもりか」
「吉法師さまはまだ八歳の童でございます」
「言うな、守役は織田家の重臣であろうが」
「では、なにかよい思案でもござりましょうか」
「むむむ」
「信元さま、あなたは於国をこの波太郎の前で妻にできぬと仰せられまするか。於国はただの
なぐさみものでござりまするか。城を抜け出て、外の女にうつつをぬかす…
武将としてそのような類のない風評が織田方にもれてもよいとおっしゃりますか」
「はははは。わかった、わかった。わしの負けじゃ。今日から於国の婿じゃ」
(よかったな、於国)
33Ms.名無しさん:03/04/27 00:07
>>32
いつも書き込みお疲れ様です。
楽しく読ませて頂いております。
今夜もなんだかすぐには眠れないような気が・・・。
また最初から読ませて頂きます。
よろしかったら続きをお願いします。
ただ腱鞘炎などにはくれぐれもお気を付け下さいね。
ではおやすみなさい。
34Ms.名無しさん:03/04/27 00:26
―岡崎城

「百合。昨夜、お殿さまは?」
「お久の方さまのお部屋で」
「お殿さまは、なぜお方さまのもとへはお越しくだされぬのでございましょう」
「さあ、小笹はどう思うぞ?」
「小笹は口惜しゅうございます。殿はお久の方のお部屋ばかりでござりますもの」
「ホホホ、私は口惜しくありませぬ」
「でも、このままだまっていれば刈谷が軽く見られますよ」
「ほほほ、小笹は面白いことをお言いやる。そのように申したあとで、お殿さまから
予はそなたが嫌いじゃからと仰せられたらなんとします」
「そのようなことはありませぬ。お方さまのほうが、ずっとずっと美しくわたらせられ
まする」
「わかりました、わかりました。
そのようなことをお言いやるな。私はいま嬉しさでいっぱいなのじゃ。華陽院さまは
じめ、城のお方はみな優しい。刈谷ほど海を渡る風がのうて、やすらかに夜は眠れ、
毎朝ふしどで鶯の歌にめざめる。お殿さまのお越しがあればそうはいくまい」

ホー ホケキョ

「おお、また鶯が」
「持仏堂曲輪の外でございましょう」
「あの鶯、なんであの曲輪のあたりにくるのであろう」
「梅がいっぱい咲いているからでございましょう」
「百合。そなたは梅が鶯を呼んでいるのを聞きやったか」
「えっ?」
「そうであろう。梅はただひっそりと咲いてるだけ。べつに鶯は呼びませぬ。於大も…」
35Ms.名無しさん:03/04/27 00:27

「ア……」
「梅は鶯を呼ばぬだと、小ざかしい!」

於大は華陽院にいわれていた
「殿はまだお若い。そなたが、あたたかく春の光でつつんでやらねばなりませぬ」と…

「人の心にはみな御仏と悪鬼が棲んでいる。悪鬼ばかりの人もいなければ、御仏ばか
りの人もない。相手の悪鬼と交わってはなりませんぞ。それではそなたも鬼にならねば
すまぬ、道理じゃ」
その母の言葉をもう一歩深い所で於大はとりたかった。
だが、広忠がお久のもとにいると思うと、切ない孤独に胸がうずくのだった。

「あっ、お殿さま」
「今宵は御身のもとで過ごそう、よいか!」

「誰が茶を所望した。申付けぬものは出さぬがよい」
「そなた、梅の花の無心を学ぶと申したのう」
「はい、羞しゅう存じます」
「思いあがった言葉じゃ。まことそなたが梅の花であるかどうか……
予は鶯でも、異なった唄をさえずるぞ」

「おつぎいたします」
「於大にもついでとらせ」
「まず、お毒味を小笹に申付けくださりませ」
「なにっ、岡崎の酒には毒があると申すのか」
「刈谷の習わしでございます。お方さまお毒味を」
「これ小笹、そなたすこし順序が違いますぞ」
「?」
「殿に差上ぐるその酒、まずだいからお毒味いたしましょう」
36Ms.名無しさん:03/04/27 00:27

「変わりございませぬ」
「う、うむ」
「では小笹、こんどはそなた」
「お毒味いたします」

「変わりございませぬ」
「ホホホホ。須賀どの、そなたよく覚えていてたもれ。殿にさしあげる酒はいつも
だいが先にお毒味します。これを奥のしきたりに改めますぞえ」
「はいっ」

(こやつ予を罠にかけおった。大奥のことは主人といえども一切口に出さぬ習慣。
それを承知で於大のためにするこの召使いの行為まで家風に決めようとしている。
このような思案がこの娘たちにできるはずがない。なにもかも、あの華陽院の指図
に違いない。それならばそれで負けんぞ。二の句をつげぬことで戸惑いさせ、笑っ
てやらなければおさまらん)

「於大、よい召使いを持って予もうらやましい。小笹と申したな。そちの忠心にめ
んじ盃をとらそう。のう於大、よいであろう」
「はい」
「さあ、もっと近うまいれ」
「あっ」
「ほほう、ふるえておるな。そなたは器量よしじゃ。於大も、お久もおまえにくら
べれば牡丹の前の野菊ほどにも見えぬ」
「お戯れを…
お戯れを…」
「戯れであるものか、予はしんけんじゃ。のう於大、この小笹は予が貰うぞ」
「…」
「なぜ黙っているのじゃ。くれぬと申すか」
37Ms.名無しさん:03/04/27 00:28
この時於大は三方に盃と肴の昆布をのせた。

「須賀」
「はい」
「これを殿に…」
「お方さまからでございます」
「はっははは、そうか予にくれるのか」

(ふん、こやつもまた自分の意思を持てない人形か。父の野心や母の命のままにうごく
人形にすぎなかったか)

「殿にあらためてお願いがございます」
「なに、願いと…。申してみよ」
「月に二度とは申しませぬ。一度ずつは、このようなおくつろぎの姿奥の恒例にいたし
とうございます」
「このような酒宴を恒例に?」
「のう須賀、のう小笹。みなもそうであろう、お殿さまのこのようにお戯れなさるお姿
を見ていると心が大きくひらけてくる…。そうであろう」
「すると、そなたさっきのことは広忠の戯れにしようとか!」
「まあ、お上手な。ホホホホ、もっと戯れてみせていただきとうございます」
(これは尋常の女ではない)
「よいよい、わかった。ハハハハ。予は休むぞ」
「やっと本当の夫婦になられる」


「のう於大。そちはこの広忠の寝首をかきに参ったのか」
「そのようなお戯れを」
「予はこのような針の臥床はたまらぬ」
「この臥床を針と仰せられまするか」
「そうであろが。耳をすませてみるがよい。次の間には百合や小笹が監視している。今宵
の予はそなたの人質だ」
38Ms.名無しさん:03/04/27 00:28
「いや、今宵だけではない。これからの予は奥の人質じゃ」
「そのような」
「このような薄気味悪い臥床では安眠できぬ。予は久の部屋に参る」


ガラッ
「殿。今宵は御台さまのもとでお過ごしでは…」
「余計なことを申すな。予は誰の指図もうけぬ。予はこの城主じゃ」
「於大さまは殿のお越しを明るうはずんで迎えられましたとか。殿の気持ちはうれしゅうご
ざいますが、たまにはお顔を出されたほうが……」

「どうなされました」
(予は好んで敵をつくるところであった)

「だい」
「許せ、予が悪かった。泣くな、もう泣くな」
「ははい」

春陽はついに花を抱くらしい
39Ms.名無しさん:03/04/27 01:33
岡崎の西方二里、刈谷との間に安祥城がある
この城はもともと松平家のものであったが、先鋒を刈谷の於大の父 水野忠政がつとめる
織田軍に征服され、いま岡崎の大叔父にあたる松平信定にあずけられている

昨日からこの城に織田信秀がやってきていた

「なに、波太郎がやって参ったと」
「於大の代りに捕えました女子三人を召しつれ、処置のお指図を仰ぎたいと」
「よし、ここにつれて参れ」
「はっ」
「まてっ、おぬしのつかまされた替玉もここにいたのう」
「はっ」
「そもそも、そのような替玉をつかまされるほどおぬしはどこか抜けておるぞ」
「恐れ入ります」
「もっともほんものを捕えてくるようなら、おぬしはとうに岡崎城に入って松平一族を押さ
えているわのう」
「汗顔のいたりでございます」
「刈谷と岡崎ではこの信秀をうまうま出しぬいたつもりでいようが、この信秀おぬしのよう
に抜けてはおらぬ。刈谷の忠政にこの城を攻め落とす時、先鋒を命じた意味がおぬしにわか
るか。岡崎の広忠はその怨みでカンカンじゃ。忠政や岡崎の重臣がいかに両家をまとめよう
としても、忠政の息子の信元はこちらでおさえてある。そのもつれが巧くとけたら首をやる
わ。
おう、そうそう。熊の若宮の替玉とおぬしのつかまされた替玉、つれて参れ」
「はっ」

「不老門にて日月の光を天子の叡覧にて」
40Ms.名無しさん:03/04/27 01:34
「女子どもを召しつれましてございます」
「うむ」

「フフ、すでに死は覚悟していると見えるな。ところで波太郎、せんだっては吉法師が世話
をかけたな」
「いきとどきませず恐縮に存じまする」
「いやいや、なかなかいきとどいていたそうな。ところで、今日の女子たちおぬしの目には
あわれに映っているであろう」
「御意のとおり」
「だが命乞いは無駄じゃぞ。総じて世の中というものは、目に見えぬあいだに歩いている。
樹上の蝸牛のごとくな。愚かな者の目には動かぬように映っていて、その実、しばらく目を
そらしていると行方は知れなくなっている。やれ藤原の源氏の平氏のと申しているうちに、
世の中はあらぬ方へ歩いている。斎藤道三はもとの知れぬ香具師、松永弾正は近江のかつぎ
商人貴族であったとか申していると、なにもかも行方知れずになっていくわ。
弱いものは滅ぶがいいのじゃ」

「そこの姫、父の名はなんと申す」
「存じませぬ」
「ならばそちの年齢は」
「十五歳でございます」
「十五か、咲きかけの見ごとな蕾。水野忠政もむごいことをいたす。そちたち、この信秀に
忠政の肚が読めぬと思っているのか。そちたちが出る時忠政がなんと申したか、この信秀、
あててみようか。
あやまって捕えられても織田信秀はけっしてそちたちを斬りはせぬと申したであろう。世の
中には伊賀衆、甲賀衆などを手飼いにして敵国へ間者を放つ者が多くなった。だが水野忠政
は、それより一歩先んじよう。そちたちはいずれの土地でいかなる者のもとに住もうと刈谷
へのたよりはゆめゆめ忘れまいぞと命じられたはずじゃ」

「はっははは、図星であったろう」
41Ms.名無しさん:03/04/27 01:34
「見よ、松平信定まで目を丸くしてござる。このうかつさがござるゆえ、いつまでたっても
岡崎城が手に入れられぬ.
となりの娘、名はなんと申す」
「父の名でございましょうか。父は水野右衛門太夫忠政」
「なに忠政の娘とか。して、名はなんと申す」
「はい、於大と申しまする」
「ははは、小気味いいやつ。確かに名は於大と申すな」
「ここに居ります六人、みな於大と申しまする」
「信定」
「はっ」
「この娘たち、大切な水野忠政の娘じゃそうな。しばらく御身にあずける」
「はっ」
「波太郎、おぬしには別の話がある。残れ」

「有難き幸せ。六人の女子に代り波太郎お礼申しあげまる」
「その礼まだはやい。わしはあの娘らをまだ助けようとは思っておらぬ。御身の頭は歩きす
ぎる」
「殿にくらべましたら蝸牛ほどに」
「ほう、御身にわしの肚が見えるか。見えるとしたら思案が浅すぎる」

(そうだった。この人の頭はめまぐるしく働く。明日より先を走りつづける放れ駒だった。
うかつなことは言えぬ)
42Ms.名無しさん:03/04/27 01:35
「御身に読めるはわしがあの娘らを斬りはせぬ…と、それだけか」
「そのうえもう一つ。あの娘をこの波太郎におあずけになると…」
「なるほど、そこまで読んだら読んだままをしゃべれ」
「はい。巫女にせよ、熊の若宮に祀祭する神々のつかえさせよと…」
「はっははは、その通りじゃ。さすが波太郎。で…その先はなんと読む」
「……」
「わしは常識がきらいじゃ。世のつねの考えでは巫女は社の内陣ふかくひそんで神々に奉仕
するものときめている。その内陣の巫女を通じて民衆の前に公開していくのじゃ」
「御内陣の秘事を!」
「ふっふふふ、神々に恐れありとでもいいたげなその目つき!それでこそ、わしの考えが生
きるというもの」

(恐れを知らぬ発想。二千年来の神事を民衆に公開し、人々の度胆を抜けと言っている。
しかし、そのようなことをして織田の殿になんの利益がある?)

「まずのう、あの娘たちに神楽から能狂言まで教えるのじゃ。それも今までのものではなく、
まったく新しく、若い娘のあでやかさを思いっきり生かしてな。そしてこれを見た者には、
福徳があると噂させい。神には夢中になるのが弱者のならい。天女たちに素通りさせたら困
るというので、あちこちでひっぱり凧となるであろう」
「ひきうけらぬと申しあげたら、娘はくださりませぬか」
「むろんのことじゃ。育てあげたら、御身は諸国をめぐり勤王を説くがよかろう。だが、わ
しの考えは違う。男に代る女の間諜を育てることにある」
「巫女を間諜に!」
「伊勢、熱田を結ぶのもよし。いっそ遠く、出雲を発祥の地に選ぶむよかろう。できるか」
「はっ」
「忠政が娘の婚儀、無駄に見のがしてはもったいない。はははは」
「今年もまた戦になりまするな」
「おう、この城で合戦よ。松平広忠は於大御前をむかえてはりきっている。今川がこれを見
逃すわけがない。これを先鋒に押したてて、まずまっさきに安祥城を取戻せと命じてくるに
違いない。だがこんどは水野忠政、おまえが信元をおさえていようともわしの先鋒には立つ
まいのう」
43Ms.名無しさん:03/04/27 07:47
たくさんの書き込みありがとうございます!!
ビックリしました・・・。
嬉しいです・・・涙。
>>34-38の書き込みは昨夜読ませて頂いたのですが
お礼のレスをしなくてごめんなさい・・・。
しかも今読んだら続きがたくさん・・・。
本当にいつもありがとうございます・・・深謝しております・・・涙。
これからも勉強させて頂きますね。
気が向いた時で構いませんのでくれぐれも無理をなさいませんように・・・。
44Ms.名無しさん:03/04/27 14:17
近頃、岡崎では於大の評判はすこぶるよかった
於大は遠い将来を考え綿の種子と織機をもってきていた
綿は世人の野良着から鎧の下にもまことに強いからである
それを人々にわけあたえ植えさせた

さらに、広忠の食生活も変えた
牛の乳一斗を七合に煮つめ、なめらかな固形の薬とした
これを蘇といい、昔は三河から朝廷への献上ものであった
広忠はこれを食べるようになってから、青白く弱かった体も血色がよくなったのである

「どうじゃ、広忠どのはそなたに優しゅうなられたか」
「はい」
「近頃また合戦の噂でもちきりじゃ」
「はい、悲しいことです」
「安祥城まで織田方に奪られているのが今川氏にはたまらなく気になるようじゃ。いず
れ、織田氏と一戦するとのこと。そうなれば、広忠どのが先鋒を命じられるは明らか。
でも、その戦どちらが勝とうと松平家は安泰とはいえぬ。今の今川家をもみつぶせると
も思えず。また、今川家が今の織田を刈り取るとも思えず。そうなると両強国にはさま
れた岡崎城の運命はひどくあわれなもの。もし広忠どのが討死にされたらなんとなさる」
「お殿さまが討死されたら、だいも死にとうございます」
「女にとってせつない乱世…。しかし、男にとっても明日の生死さえわからぬ世の中じゃ
もののう。於大もはよう世継ぎをあげてくれねばのう。
そうそう、船方からめずらしい献上ものがありました。土佐の国できびからとった飴じゃ。
これを勘六どのにあげなされ」
「お久の方の勘六どのに」
「そうです」
「それではいただいて参ります」
45Ms.名無しさん:03/04/27 14:18
「申しあげます。お屋敷さまとつぜんのお越しでございます」
「えっ?」

「お屋敷さま。ようこそお渡りあそばしました」
「華陽院さまから勘六どのにお土産をくだされました。甘酒よりも吊柿よりもずっと甘い、
きびからとりました飴じゃそうな」

(もしや毒殺を…)

「さあさあ、勘六どの、だいがとらせましょう」
「ウマウマ」
「あれ、勘六さま。お、お屋敷さまのおひざに尿などをか、かけたらなんとします」

於大はその狼狽はよきしていたことだった
華陽院にしても、お久のあせりはわかっていよう。それなのに、こうした使いをなぜ於大に……

「勘六どの。さあ、おいでなされ」
「ウマウマ」
「これ、勘六どの」

(なにもかも忘れて子をかばおうとしている。子供とは、このように愛おしいものであろう
か)
46Ms.名無しさん:03/04/27 14:18
「これ、お久の方にも差しあげてごらんなされ。さあ、私も賞味しましょうか。三河の国に
ないものぞ。
さあ、勘六どものおいでなされ」
「ウマウマ」
「おう、よい子じゃ」
「ウマウマ」
「はい」
「ウマウマ」
「おお、なんとかわいい」

勘六を抱いているうちに於大は肚の底から自分も子供がほしくなった
この時、於大は母の心がわかった。そのような気持ちを強くさせるために勘六のもとへ使い
をさせたのだと……


「お屋敷さま、なにを考えこんでおられます」
「殿も勘六どのがお可愛いであろうとな」
「お屋敷さまも早く若君をお産みなさいませ」
「そのようなことをいっても」
「お屋敷さまがお産みなされば、そのお方が世を継がれます。勘六君などは、ものの数では
ございませぬ。脇腹でございますもの」
「これ、はしたないぞ小笹」
47Ms.名無しさん:03/04/27 14:18
「うっ、うぐっ」
「お屋敷さま、どうなされました」
「お屋敷さま」
「百合」
「は、はい」
「そなた、勘六どのを見舞うてきやれ。さっきの飴の甘味はきつすぎます。よけいに食べさ
せてはなりまえぬ」

「う、うっ…。小笹……たらいを……」
「は、はい」
「ゲーッ、ゲーッ」
「申しわけありません。小笹が毒味をしなかったばかりに」
「お屋敷さま、どうなされました。お気をたしかに」

「これはめでたい。お屋敷さま、これはご懐妊のしるしでございます」

48Ms.名無しさん:03/04/27 15:17
>>44-47
早速続きを書いて頂きありがとうございます!!
感激しております・・・涙。
今からじっくり読ませて頂きますね。
お身体に負担のないように少しずつで構いませんので
これからもよろしくお願いします。
49Ms.名無しさん:03/04/27 18:38
「そうか、於大が懐妊したか」
「はっ」
「そうか、よかった。これでわしの孫が産まれる。この水野と松平のきずなも強うなろう。
信元を呼んでくれ」

「父上、お呼びでござりまするか」
「おう信元、於大が懐妊したそうじゃ」
「ほう、それはめでたい。生めない体ではなかったのですな」
「うむ。それでのう、わしもそろそろこの城をおまえにゆずろうと思う。だが一つ、心して
聞け。今、織田方と今川のあいだは風雲急を告げてきている。今川が動けばその先鋒はおそ
らく松平広忠!水野はその松平と争ってはならぬ」
「ということは、織田のさそいがあってもことわれと!」
「そうじゃ。わしが病気と申してことわれ。重臣たちにもそう申しわたしておく。それが城
をゆずる条件じゃ、わかったな」
「はっ」

それからまもなく信元は刈谷の城を継いだ
下野守に任官され、水野下野守信元

こんな時、織田家から一人の使者がおとずれた
信秀の幕下で思慮第一、わざわざ吉法師の守り役にも選ばれている平手中務太輔であった
50Ms.名無しさん:03/04/27 18:39
「父御、忠政殿はとかく物事を謀りすぎまするな。戦国の武将はいずれも遠くと親しみ、近
くを攻めてゆく中に、父御だけは時々逆をいかれる。去年の敵岡崎に今年は娘を……。今川
家の被官と決まった岡崎と親しみながら、織田家ともよしみを通じていく…。これでは事の
紛糾に導くおそれがござる。
だが、下野殿の世となればそのようなあいまいさは許されませぬな。攻めれば滅ぶ、これが
世の事実でござるからな」
「父が病気中なれば、しばらく考えさせてくだされ」
「うむうむ、そうでござろうな。ところで、熊の若宮の館で吉法師さまにあわれたそうな。
あの時の奥方、御城内で御健在かな」

(一城をあずかる者が城の外の女子に通う。しかも、吉法師の前でその女子を城へ迎え入れ
るなどといいくるめた……。それでは織田家をあなどりすぎておるぞ、と皮肉だ)

「では、よい返事をお待ちしますぞ」


「言わぬことではない。於大を広忠などに嫁がせるからよ」

「馬をひけっ」
「兄上」
「うっ。藤九郎信近、馬場のまん中に立つとは危ないではないか」
「兄上は父上をないがしろになされるか」
「なにっ」
「いま耳にしました。兄上は織田どのの使者に、今しばらく考えくだされと答えて、使者を
帰されたそうな。父上が病気ゆえ、このたびの出兵は御免候らえ……。そのことをすでに申
し合わせ済みでございますぞ」
51Ms.名無しさん:03/04/27 18:39
「その事か。まてまて、あれには少し考えがあっての事じゃ」
「では、そのお考えをお聞かせ願いとうござる」
「おぬしは骨肉のあいだに流す血は無意味な血という意見であったな」
「利のない戦で水野、松平両家が怨み重ね合うは愚の骨頂というのでござる」
「おまえは華陽院の腹から産まれ、於大とも同腹だからそういうのではないのか」
「そのようなことではござらぬ。お家のためだからでござる」
「家のため!ならばおぬし、将来尾だと今川のどちらに賭けるのじゃ」
「いずれへも賭けませぬ。われらは織田でも今川でもなく、水野じゃ」
「甘いのう。この信元の名乗りを見よ。信元の信は信秀の信、信元の元は今川義元の元では
ないか」
「そこまで考えられるなら、なおさらいずれへも味方せぬがよかろう」
「両雄並び立たず。今はそのような日和見はゆるされぬ時代じゃ。竜虎並び立たず。竜をえ
らぶか、虎に賭けるかそのどちらかをえらぶために、しばらく考えさせてくれと申したのじゃ」
「それが兄上の深慮か」
「なにっ」
「別のことわざもござるぞ、「竜虎争えば一方は傷つき、一方は斃る」と。兄上はそうわか
っていて、好んで争いにまきこまれようとなさるのか」
「だが信近、斃れる竜と傷ついても、勝つ虎とが前もってわかる時はなんとする」
「兄上にはそれがわかると仰せられるか」
「おう、勝つのは織田よ」
「ならば信近、なおさら織田に味方はいたさぬ。もしわれらが味方したため、さしたる傷も
負わずに勝ち残ったら、この虎rなにをなさると思われる。この刈谷は尾張と境を渡してござる。
このような大切な場所を織田の一族でもないわれわれをそのまま奥と思われるか!口実をも
うけて取りつぶそうとかかった時、どのようになされます。ここは日和見にかぎると父上は
じめ衆議で決めたは、虎の傷あ深ければ余力をのこしたわれらに、そう易々とツメはむけぬ
と考えたから。兄上もこのことはとくとおわかりの筈」
「むむっ」
52Ms.名無しさん:03/04/27 18:39
(こやつ斬らねばならぬ。わしが織田につくと決めたら、こやつはなにをしでかすかもわか
らぬ。後々のためにも、禍いの種は刈りとっておかねば。そうだ、熊屋敷の於国のもとで死
んでもらおう)

「信近、おぬしの考えも一理ある。わしの考えが浅かったかも知れぬ。だがこの話、わしの
考えもよく聞かそう。しかし城内ではまずい。他人の耳に入り、結束をみだすことがあって
は一大事だからのう」
「ではどこで」
「熊の若宮屋敷がよい。誰にも気づかれぬよう、熊屋敷の裏のはね橋をおろしておくゆえ、
しのんで参れ」
「時刻は」
「月の出で前、戌の刻。合図は橋を渡って小門の扉を二つずつ、三度たたけばよい」
「二つずつ、三度ですな」
「面はしかとつつしんで参れ。出迎えの女子にはわしと思われ口を利いてはならぬ。わしは
その前に参っている」
「わかった。ではのちほど熊屋敷で……」
「…………」

(わしが城外の女のもとに通う秘密は織田方に気づかれている。それに於国は可愛いが、こ
の城中に迎え入れては城の束ねができぬ。信近を於国のもとにおびきよせて、織田の蝶者に
斬らせれば藤九郎とこの風評二つとも封じることができる。ふびんだがやむをえまい)

「権六」
「あっ、これはお殿さま」
「どうであった」
「はっ。お殿さまのにらまれたとおりでございました。織田方では殿がお味方しないと見た
ら、それでよい返事は聞くにおよばぬ、すぐに那古野に帰るようにと使者の平手さまに密命
をだされたようで……」
「ふふふ、やっぱりそうか。その他には」
53Ms.名無しさん:03/04/27 18:40
「それ以上探らせません。織田方は熊屋敷さえおさえておけば、いつでも殿を打ちとれると
考えております。うかつに城を出てはなりませぬ」
「ところで権六、そちはわしの家来かそれとも、父の忍者か」
「これは妙なことを仰せられる。忍者に二心はございませぬ。大殿からいったんゆずられた
秘蔵の武器。さよう、武器と思召されとうございます。武器に心はございませぬ」
「ふふふ、そういって欺くのがそちたちの仕事であろう。まあ、よい。信じなければ忍者は
使えぬ。これは父上の耳には入れとうない」
「忍者に口はございませぬ」
「今宵、わしは熊屋敷にしのんで参る」
「それは危のうございます」
「ふふふ、それは承知だ。だが、いつものはね橋をおろさせ於国のもとにしのんで参る。わ
しも腕におぼえがある。そう簡単にはやられぬ。だが女の部屋に入る前に太刀を渡す作法。
この時じゃ、織田の刺客がわしを討ちとれるのは……。
わしは父の病気を理由に織田方の加担をこばむ、このような邪魔者織田方は生かしておけま
い。よいか、わしは戌の刻に熊屋敷に参る。あやまって、わしを護ろうなどと思うな」
「すると殿は於国さまの部屋で討ち死されるおつもりで……」
「さよう、死相が出てるであろう」
「すると権六郎、そこへはお供いたしませぬ」
「それでよいのじゃ、わかったか」
「どうせ死相の出たものなら、これから織田の忍者に知らせてやりましょう」
「やはり忍びこんでいたか」
「はい、ご使者よりも二日前から三名……」
「フフフ」
54Ms.名無しさん:03/04/27 18:40

トントン トントン トントン
「信さまか」
「うむ」
「お待ち申しておりました」
「うむ」
「お太刀を」
「うむ」

「うっ」
「於国どの太刀を」
「キャーッ、だれか」

「なんだ」
「どうした」

「ひけっ」

「信元さまっ、信元さま死んではいや」
「於国いかがいたした」
「曲者が信元さまを」
「信元どの傷は」
「わしは信元ではない。弟の信近じゃ」
「えっ」
「兄とここであう約束で参った。兄はすでにきているはずだが。兄はきてないのか。兄のい
いつけどおりにして参ったのだが……」
「お約束なされて待ってたのは曲者……。信近どの危のうござる」
「なにが危ない。まだ曲者が待ちうけていると申すのか」
「いいや、信近どのこのまま生きているのは危のうござる。さるご仁の情けを知らぬ仕打ち。
波太郎も、ちと腹にすえかねました」
「情けを知らぬ仕打ち……すると、これは罠だと申すのか」
55Ms.名無しさん:03/04/27 18:40
「あっ」

「すると兄は私が邪魔にあったと……」
「そうお考えなされた方が……」

(さいわい死体が一つある。水野藤九郎信近、武士にあるまじき男にて、熊村の村娘のもと
に通い、命をおとす。そうふれさせてはいかがでござろう。でなくば、危のうござる)

「いかがでござろう、相手のおもいどうり藤九郎信近どのの屍をここから土に還らせては」
「といわれると、あの忍者の死体をこのわしと見せかけて……」
「これで下野さまはわが事なれりと思召すでございましょう。信近どのを殺し、於国には不
義の名をとらせ……。いや、ことによるとこの熊屋敷に通うていた者は信元ではなくて、は
じめから信近であったと噂させるつもりかも」
「そうか、もうこの地に私の居られる所はないのか……。わかり申した。信近、このままこ
こで死にましょう」
「ならば、於国もともに眠らせましょう」
「オオッ」

(あわれな。於国、嘆くでない。うつし世の人の心見たまでじゃ。哀れな……小さな……人
の心を見たまでじゃ。よいか、嘆くにあたらぬぞ…)

弱肉強食の時代であった
強者は栄え、弱者は滅んだ
それがため、弱者は生きる術に汗血をそそいだ時代であった

56Ms.名無しさん:03/04/28 07:30
>>49-55
昨夜から2chにつながらなくなってしまい
今ようやく見ることが出来ましたが
ビックリしました・・・。
こんなにたくさんの続きが・・・。
本当に嬉しいです・・・涙。
いつもありがとうございます・・・。
しっかり勉強させて頂きますね。
ただくれぐれも腱鞘炎などにはお気を付け下さいね。
僕も精進しなくては・・・。
よい一日を!
57Ms.名無しさん:03/04/30 07:24
おはようございます。
出来ればまた続きをお願いしたいのですが・・・。
いつもすみません。
いつでも構いませんので・・・。
今日もよい一日を。
58Ms.名無しさん:03/04/30 07:49
しまった!
ageてしまいました・・・。
ごめんなさい!
59Ms.名無しさん:03/04/30 08:15
ホイールマウスで高速スクロールしてみたら
ホーホケキョしか目に止まらなかった
60Ms.名無しさん:03/05/04 02:50
足利一族の血を受け、東海地方では吉良氏とならんで名門とうたわれている
今川治部太輔義元が新興勢力の織田信秀に鉄槌を加えんと、いま駿府城を出た
今川義元はすでに勢威のおちている足利将軍を助けながらわが手に政権をおさめたいと
野望を持っていた
その前にめざわりな存在として、新興勢力の織田信秀があらわれた

織田信秀はもともと織田一族の嫡流ではなく、清洲を治める織田大和守の一家老の家の
子であった
それが神出鬼没の戦いぶりで、たちまち勢力をのばし、いまや織田の宗家をしのぐ勢いと
なり近隣諸国にも恐れられる存在となっていた

その信秀が安祥城を足場に岡崎まで手をのばさんと動きはじめた
今川義元が京ににのぼり、いずれ政権をと考えている時に岡崎城まで織田の手に押さえ
られていてはうるさかった。それがため、織田をたたかんとの出陣であった
義元二十四歳の時である

カツカツカツ
「申しあげます」

「はっ、刈谷の水野下野守信元が織田に加勢するとの噂が流れてございます」
「なにい、そうか水野がのう。よし、ご苦労」
「はっ」

「雪斎禅師」
「はっ」
「今の話聞いたであろう、どう思う」
「水野下野守信元は織田びいき、ありそうなことでございますな」
61Ms.名無しさん:03/05/04 02:51
「ならば岡崎の広忠はなんのために水野の娘を娶った。まったくたよりにならぬ男よ。とも
かく、そんな噂が流れている以上岡崎城には入れぬ。岡崎城では敵陣深く入りこんだこと
になる」
「御意」
「東六」
「はっ」
「岡崎の年寄に即刻、曳馬野まで参るよう伝えい。阿部大蔵がよい」
「はっ」
「のう、雪斎。松平広忠の父、清康は十四歳で松平を継いでから、あっという間に三河を制
し、さらに西に進み尾張の岩崎、品野の二城を落とすというあっぱれな武将であった。それ
にくらべ広忠はものたりぬ男よのう」
「さよう、尾張の城をなくし、安祥城までとられるようでは」


―曳馬野城
「阿部大蔵、おぬしは刈谷の水野下野が織田につくとの噂を聞いておるか」
「いいえ」
「安祥と岡崎は目と鼻の先にあり、そのむこうに水野下野の刈谷城がある。それがため、噂
が本当となれば陣をたて変えねばならぬ。予は岡崎城に入城せず、田原の城に入り、しば
らく様子を見る。そのように広忠どのに伝えよ」
「はっ」
62Ms.名無しさん:03/05/04 02:51
―岡崎城
「すると義元さまはわが君が若年ゆえ信用ならぬという肚か」
「何分にも敵に近すぎる。わが君の大叔父松平信定さまさえ敵方ゆえ、万一の場合敵の中
に孤立すると…」
「案じられてもしかたのないふし、他にもある」

「石川安芸、そちは刈谷が敵につくとの噂のことをいっているのか」
「いかにも、父御の忠政さまは断じて織田方にはつかぬと仰せよこされたが、下野守どのの
態度は誰の目にも浮いて見えまする」
「ならばどうせよと申すのじゃ。いまさら愚痴をいってもはじまるまい」
「愚痴ではございませぬ。義元さまの不安をどうのぞくか、それが問題でございます。もし岡
崎へ来られぬと決定すると今川方は岡崎を捨てる肚と刈谷は見ましょう。そうなると、あらた
めて織田方に味方する気にならぬとも……」
「わかった、そちは於大は斬れというのか」
「これは思いもよらぬこと。お屋敷さまをお斬りなされて何の益がござりましょう。そのようなこ
とをすれば、それこそ下野守ばかりか父御忠政まで怒らせて、敵方に追いやるものと思召さ
ぬか」
「ぬぬぬ」

「まあまあ、軍評定では歯に衣をきせぬが松平党のならわし。義元さまは、わしに盃をくだされ
てこう申された。広忠が父の清康ほどに早う成長したらなぁと……・。この言葉が義元さまの肚
にあることをわれらは知ってかからねば相成らぬ」
「はっははは、わが君が青二才ゆえ信用できぬということではないか」
「これ、新八郎」
63Ms.名無しさん:03/05/04 02:52
「ぬぅっ」
「ともかく、義元さまは岡崎まで来られまい。そう決めてかかったほうがよい。つけ眉におはぐろ、
小鼓に女房まで混じった本陣、べつに迎えるにおよばぬ」
「大久保新八郎、言葉がすぎるぞっ!」
「いいや、過ぎませぬ。まだ足りぬ。戦は遊びではない、命のやりとりじゃ。わしはこんどの戦、
織田に勝味六分と計算している」
「何をめどにそう見られる」
「身軽なほうが強いのじゃ。そこで、われわれは両軍が相まみえる場所を身きわめておかねばな
らぬ。今川が敗走しても敵が追いかけてゆかぬ線をはっきりとかためておかねばんらぬ」

「というと、どこまで敵をさそうつもりじゃ」
「この新八郎、小豆坂と思う」
「小豆坂!」
「小豆坂は岡崎の東。すると城は敵の中に残すのか」
「城ははじめから籠城のかまえ、敵はわれら大久保党が住みなれた山中におびき込んで、必ず
あとで追い散らす。この決死の覚悟を、はじめからはっきりと刈谷に見せつけていたら刈谷も、う
かつに織田方にはつけまい」
「うむう、なるほど。われらが今川軍と組んで出て、織田方に蹴散らされたらその勢いで手薄な岡
崎城はたちまちとられてしまう。そうなれば松平勢は城を持たぬさすらいの軍となってしまう」

(となると、起つ意思のない水野父子も起たざるを得なくなる)
(それよりも、主力は岡崎城にとどめておき今川が織田勢を駆逐して、矢矧川の線まで進めばわ
れらも城を打って出る)
(今川方の敗走ときまったら、上和田近郷に根をはった大久保党が勝って引きあげる。織田勢の
うしろから追撃をかける)
(岡崎に無きずの新手がいる限り、織田はいつまでも大久保党とはかかわりあっておられぬ)
(となると、織田勢は岡崎城の近くにとどまることはできず、岡崎は安泰……)

「なるほど、よし籠城ときめよう」

「殿、軍評定決まりましてございます」
「むむっ」
64Ms.名無しさん:03/05/04 03:05
――――――――――――――――――――――
65Ms.名無しさん:03/05/04 04:22
「於大」
「あっ、殿」
「軍評定で籠城と決まった。だが、予は面白うない。予は誰の目にも父上にはおよばぬそうな。予
はのう、今川勢の手をかりてとられた安祥城を取りかえすつもりであった。予の祖父と大叔父の
松平信定は家督を争い、予の祖父が松平家を継いだ。それ以来、信定は織田と組み、折りあら
ばと、この岡崎を狙っている。その信定が、目と鼻の先の安祥嬢にぬけぬけと出入りするのを見
ているのがたまらぬのじゃ。それなのに、城を出て戦おうともせぬ。父の軍配なら、尾張までも攻
めいったものどもが、予の代になると籠城じゃ。予はそれほど頼りないのか」
「堪忍なされまし。それだけ年寄どもは殿をいたわってございましょう。岡崎の宝はその年寄ども
と刈谷の父がいつも羨んでございました」

「あっ」
「どうした」
「子供が動きました」
「そうか、動いたか。於大、強い子を産んでくれ!予のように父におとった弱い子を産むな。予は
なぜ、このように年寄どもにまでハラハラ気をつかうのであろう。父はいつも年寄どもにああせよ、
こうせよと命じ、誰も彼もが一言でハッと動いた。だが、予はにはなぜかできぬ。年寄どももわしが
大将では眼と鼻の安祥城まで撃って出ようとしない。予はそれが口惜しいのじゃ。このような口惜
しさ、予の子に味あわせとうない。強い子を産んでくれ。今川にたのまず、織田に屈せず悠々とひ
とりで天下を歩ける子を産んでくれ。頼むぞ、この戦で広忠に万一のことがあっても、そなたは必
ず生きよ。生まれてくる子のために、生きてくれよ」


「うぬっ、信定」
(またうなされて……。たしかに殿は気が弱すぎる。この細さで戦国に生れたのが不運かもしれぬ)

たしかに老臣たちは口ぐせに言うのだった「先君はかくかくでござった」と……
朝は人より早く、夜は家臣のあとで眠ったと……又、そのくらいの気のくばりがなければ、この乱
66Ms.名無しさん:03/05/04 04:22
世におぼただしい一族郎党や、その家族は養い得なかった
老臣たちが広忠をことごとにせめるは、自分たちの生活もまた、それにつながるゆえであった
それにしても、一族の統領に人を得ないということはなんという大きな悲劇であろう

(家臣たちも不安であろうが、上に据えられた人はもっと不幸……。この子もその位置に据えら
れて、見えない鞭でびしびしたたかれてゆくのであろうか。そういえば、お久の方もふたり目の子
をみごもっている。でも、お久の方の子のほうが気が楽であろうのう)


「あっ、華陽院さま」
「また騒がしゅうなりましたな。用意はよいかや。ところで、刈谷からわるい便りがとどきました」
「えっ」
「藤九郎信近が熊村の女のもとへ忍んでゆき、下野守どのとまちがわれて討たれたそうな」
「兄上が!」
「人にはそれぞれ運がある。何事も前世の約束であろう。お屋敷は。もし広忠どのが討死なされ
たら、そのあとの覚悟はすでにできていやるか」
「はい、あとを追い自害しとうございます」
「やはりのう。この母もそうであった…。
殿方は総じて戦が好きらしい。だが女子もまた、同じように争いを好んでいるであろうか。度々殿
御を失うような戦を好んでいるであろうか」
「さあ、それは……」
「呪うてこそおれ、好んではいますまい」
「はい」
「ならば女子には女子の闘いがある筈じゃ」
「女子の闘い?」
「母は、いとしい殿や和子たちを失うことのない安らかな世が欲しい」
「安らかな世……」
67Ms.名無しさん:03/05/04 04:23
「そうじゃ、その世をうみだうは女子のつとめ。この母がお屋敷ならば……。わが胎の児にこの争
いの根を断つ力をさずけたまえと祈りつづけます。祈って産んで、祈って育てます。国中の母の
祈りがそうなれば、この業火もいつかはきっと消えましょう。お屋敷もその祈りをかなえられるよう
なお子を産みなされ」
「はい」

(母は兄信近の死を誰よりも強く呪い、誰よりも深く悲しんでいる。母は明日の運命もわからぬ現
世に抗議している)

「よいか、くれぐれも胎の中の和子のためにも祈るのですよ」
「はい」

その夜から於大は夜な夜な百ぱいの水を浴びて祈りはじめた
この乱世をなくせるような子を授けたまえと……

これが噂となって岡崎の城から村へと流れた
「お屋敷さまは井戸の水を浴びてお祈りなさるそうじゃ。ありがたいことじゃ」
「殿は体にさわるとおとどめなされたそうじゃが、おやめにならぬそうな」
「籠城の覚悟と知って、お聞き入れなさらぬそうな。見上げた烈婦じゃ」
「これで勝たねばならぬ。三河武士が女子に負けておられるものか」


今川と織田が矛を交えたのはそれからまもなくのことであった
最初は今川勢優勢のうちに、戦を進めていたが……
今川勢の大将庵原安房守が織田の若武者川尻与四郎に討たれてから、形勢は変わった
68Ms.名無しさん:03/05/04 04:23
勢いづいた織田勢は怒とうのごとく今川勢におそいかかり、今川勢は総崩れとなった
松平広忠は今川勢を助けんものと撃って出て奮戦し、松平隼人佐信吉とその子伝十郎勝吉を失
ったものの、今川義元を岡崎城に逃げこませることができた
そして、勝ちほこって駒を進める織田勢の背後から大久保党がおそいかかった
それに呼応するように城からも松平勢が撃って出て、織田勢を散々うち破った
さすがの織田勢も安祥城に逃げこまざるを得なかった
松平家の重臣たちの作戦は、見ごとにあたったのである
今川義元は岡崎城でこれをみきわめて、一応兵をまとめて駿府へ帰り
また、織田信秀も織田信光を安祥城に残して尾張に引きあげた
この戦、今川義元は遠征に失敗し、織田方も多くの家臣を殺しただけであった


―刈谷城
「もう間もなく正月じゃのう」
「はい」
「よく生きられたものじゃ。またひとつ歳をかさねる、畳の上で死ねるかもしれぬな」
「まあ」
「今年は妙な年じゃ。小豆坂の合戦には加わらずにすんだが、そのかわり信近を失のうた」
「信近さまを……本当に惜しゅうございました」
「信近が曲者に討たれたあとで熊屋敷の娘も後を追うて自害してのけたというのう」
「はい、於国さまと申されるそうです」
「そなたたちはその女子の死をどう思う」
「はい、今の世に好きな殿御のあとを追うて死ねるとは幸せな方と存じまする」
「ふむ、人間の幸せとは存外そうした所にあるかも知れぬな。わしも畳の上で死ねると考えだして
から、少しずつ世間を見る目が変わってきたでのう」
69Ms.名無しさん:03/05/04 04:24
ガラッ
「父上、お加減はいかがでございます」
「おう、忠近か。おもわしくないのう。やはり若い時からの戦場ぐらしがたたっているのであろう」
「気弱なことを。父上、今度織田信秀さまはこんどこそ目にもの見せてくれようと上野の城を攻め
取って戦備おさおさ怠りない由」
「そうであろう、あのままひっこむ織田ではなかろう」
「また、今川方も改めて三河に兵を出し、一挙に尾張をふみにじると、これも狙っているとか」
「忠近、織田からまた使者でも参ったのか」
「は、はい」
「それで、そなたこのわしを説きに参ったのか」
「いえ、それは」
「ふふ、小豆坂の一戦に、もし水野勢が加わっていたら、見事岡崎城をとり得ていたそう使者はい
ったであろう。ことによると、こんど味方せねばまず刈谷を血祭りにあげる。このくらいのこと言うた
であろう」
「父上、乱世でございます。日和見は許されませぬ。織田か今川かはっきり決める時でございます。
兄上は父の亡くなるまで加担のことはお許しあれと使者に言い、手きびしくはねつけられましてご
ざいます。それまで待てぬ。が尾張の申状でございます」
「水野もずいぶんみくだされたのう……。忠近、信元に父の遺言じゃと申せ。信元に孝心あらば、
わしの生きている間は織田への随身ならぬと申せ。やむを得ぬゆえ一戦つかまつる、そう使者に
は答えよ」
「すると父上は、家運をかけても織田の幕下に入らぬと……」
「どうしても織田の幕下に入らねばならぬのなら、まずこのわしを斬ってからにしろ」
「父上を!そのようなバカなこと……。忠近、そこまで決心なされてる父上のお心を知りとうござい
ます」
「世のつねの舅どもは、武略政略とただそれだけで縁組したり、斬ったりする。わしはそれとちがっ
た道をたどって、黄泉へ旅したいのじゃ。信元が織田に随身するのは止めぬが、わしは岡崎の舅
じゃ。心の底から婿の身を案じて死のうと思い定めた。於大を広忠につかわしたは、世のつねの
政略ではなかったと……。そのしるしを残していって、後に残るものが見たいのじゃ。おぬしはまだ
元服したばかり、ちとむずかしいかのう」
70Ms.名無しさん:03/05/04 04:24
「ではどうあっても織田への加担はなりませぬか」
「わしの目の黒いうちはな」
「しかし、織田家の使者はご不承とあらば戦場でと申してございます」
「ふふふ、忠近もよくおぼえておけ。それが駆引と申すものじゃ。こちらは岡崎につくともいっては
おらぬ。父が病気ゆえ、いずれにも従いかねるというものを、わざわざ敵にまわすほど織田方に
人物なしとそなたは思うのか。わかttら信元にはっきり申せ。この父を斬るか、使者にことわるか」


「大殿、岡崎の姫から使いが参りましたぞ」
「おう、縫殿助か入れ」
「ごめん」
「して、姫からの使いとは」
「岡崎に男子ご誕生!殿、男でござりますぞ」
「男!男が生まれたか」
「それもただの男ではござりませぬぞ」
「なに、それでは何か問題があるのか」
「いえいえ、寅の刻に生まれたそうにございます。寅の年の寅の刻の守護仏は虚空蔵菩薩。岡崎
では縁起がよいと、ワーッと一度に歓びの声があがったとか。それほど、岡崎の家臣たちは待ち
望んでいたのでございましょう。広忠君にも殊のほかおよろこびで、わざわざ産屋の外に出向き
和子の泣き声を聞かれたそうにございます」
「そうか、そうか。於大は家臣にまで愛されるようになってたのじゃな」

於大の男子出産で、岡崎は湧きかえって新しい年をむかえた
だが、暮の十二月二十六日寅の刻にはお久の方も男子を出産していた
「和子さまのお名前はお祖父さまの幼名をいただいて、竹千代さまと決まりましたそうな。勘六さま
ご誕生の時は、お殿さままでわざわざお部屋に渡らせましたのに」
「はい、雑炊ができました」
「寅の年の寅の刻なら、この和子さまも同じ生まれ、同じお殿様の和子。どうしてまだ、名前をつけ
て下さらぬのでしょう」
71Ms.名無しさん:03/05/04 04:24

「どうなされました」
「たべとうない」
「でも、召上がらねばお体に……」
「食べとうないと言うのに」

広忠のもとにお久を側室にあげたのは、人一倍主家思いの父 松平左近乗正だった
―「殿は元服なされたが、まだ十三歳にておく手と見受けられるゆえ、そなたがなにかと心をくばっ
  て男にしてあげてくれ」

そして、母に伴われて登城し、桜の下ではじめてお久は広忠を見た
この時、お久は十五歳であった
―「殿、これからは身辺のご用は、このお久にお命じなされまし」
―「うむ、久というか。予はもう一鞭あてて戻るゆえ、待っておれ」
―「それっ」

―「殿は元服なされたといっても、まだ子供。よろしくたのみますぞ」
―「はい」

その夜から広忠の湯殿の世話はお久であった
半年ほどは広忠は無邪気な子供そのものであった
だが、秋も深くなった頃
―「ふーん、おかしいな」
―「なにがでございます」
―「予と久と体が違うぞ。裸になってみよ。予が背中を流してとらそう」

その日以来、お久は広忠に愛されていると思っていた……
於大が嫁いでくる時には毒殺までしようとお久の耳にささやいた広忠だったのだが…
それが今、於大と同じ日に産んだ子の顔もまだ見に来ぬとは……
お久はこのさびしさに胸がしめつけられるようであった
72Ms.名無しさん:03/05/04 04:25
ガラッ
「お父上」
「年賀の酒で少し酔うたわ。おお、元気そうじゃ。殿によく似ておる。この児も竹千代どのと日を同じ
ゅうして生まれるとはなんというふしぎであろうか」
「父上、勘六どのは泣きませんでしたか」
「おうおう、つれてこられた日からすっかり館のふすまの虎が気にいってな。虎のそばに夜具を敷か
して休んでわ」
「まあ、ホホホ」
「ははは、この者まで笑うているわ。笑うがよい、兄者の勘六どのが虎の絵と寝てるときにその弟は
生まれたのじゃ。虎の威にたわむれる兄、寅年の寅の刻に生まれた弟。兄もかもめでたづくしじゃ。
このふたりが心を合わして竹千代どのを補佐したら、おそらく天下に敵はあるまい。松平家は万々歳
じゃ、笑うがよい笑うがよい。のう、一族の中で相争うことほど愚かなことはないからな。安祥の信定
どのを見よ、家督争いから織田につき、岡崎を狙っている。ひとつ不平を持つたびに松平は小さうな
った。力を合わせて羽ばたけば、これほど大きな力はないが、肉親が争うたらこれほどみじめな負い
目もない」

(父はわたしの不平をおさえにきている)

「お父さま、久はひとりになりとうございます。久は、お七夜を迎えても名も頂けぬ子を生んで頭が重
うございます」
「おうおう、そうじゃ。その事じゃった。わしはその和子の名を告げに参ったのじゃ」
「えっ、では和子に名が…」
「おお、よい名がついたぞ」
「なんと申しまする」
「恵新と申す」
「恵新……それは松平家にゆかりの名でござりまするか」
「ハハハ……ハハハハ……。恵とは知恵の恵、新は新じゃ。日に日に新しい恵さで世を開く、よい名
であろう。これは三千大世界を書く、御仏の子の大きな名じゃ」
「えっ、御仏の名とは……」

「仏弟子じゃ。僧侶じゃ。生まれながらの名僧知識じゃ」
「それでは。その子は生まれながらにして仏門に…」
73Ms.名無しさん:03/05/04 04:25
(泣くでない、泣くでないぞ。竹千代どのご誕生の同じ時刻に生まれたのがこの不運……ではない、
幸運じゃ)

「双虎ならび競うて傷つくことがあっては一大事。それよりははじめから仏門に入ってな、竹千代どの
の武運と祖先の霊につかえる」
「そ、それはどなたのお計らいでございます」
「お久、小さな了見でこれを不幸と考えるでない。これはな、ひとりひとり持って生まれる自然の位で
ちがうことじゃ。釈迦は王家に生まれながら、王位をすてて仏道を立てられた。王位に満足してたら、
ただ小さな一国の王にすぎなかったが、今は三千世界に君臨しておわす」
「でも、これはただの出家とちがいまする!」
「いやいや、この出家が尊いのじゃ」
「いいえ、久にはそう受け取れませぬ」
「はて、どうとれる」
「この児ははじめから邪魔にされています。久はそれが口惜しゅうございます。出家は自分から世を
見捨てて仏門に入ります。生まれながら世に捨てられた出家など久は聞いたことがありませぬ。そ
のような酷いことがいったい誰の指図で決まったのかそれを聞かせて下さいませ」
「どうしてもそれを聞きたいなら申そう。この父の申し出で決まったことじゃ」
「えっ、お父さまご自身の」
「お久、忍んでくれ。この世は堪忍の世の中じゃ。だれかが心の虫を殺して堪忍せねばならぬ」
「お久にはまだわかりませぬ!」
「ならば、もっとわかりやすく話そう。わしが年賀をかねてお祝に来てみると、城中湧くような歓びの中
に、ただひとつ曇り日に似た暗さがあった……。同じ時刻にふたりの子がふたりの母の腹を出る……」

吉相か凶相かと阿部兄弟をはじめ、酒井雅楽助も石川安芸も判じかねているようすだった
そこでわしは吉相と判じてやった
74Ms.名無しさん:03/05/04 06:37
「わかるか、わしの心が……。そなたを殿のお傍にあげたのも一族を思うため堪忍であった。小さな殿
を守るためにも……。一族の和合がのうてこの乱世、どう生きぬける。西の織田の狼、東の今川とて
風次第。もしわれらが和合結束しなければ、そのどちらかにつぶされる。老臣たちは、それがよくわか
っているために二虎の誕生を心配した。このふたりが争うたらと。殿にしてもわしに遠慮し、そなたをは
ばかっている。その時にそなたが不満であるといったらどうなると思う。殿は困り、おまえは殿のそばか
ら退けられると気づかぬか。そなたは殿を愛おしく思っているであろう。生まれた和子も愛おしいかろう」
「は、はい」
「ならばなおさら堪忍するのじゃ。二虎が相争うことを誰かがおそれ、和子の生命を狙うと思わぬか」
「松平党の中にはな、お家のためとあらば泣いて事を起こす忠僕どもが五指にあまる事実を知らぬか。
わしはな、そなたも無事、和子も無事、それで一族の和も傷つけぬこれが最良の方法と思うて計ろうた。
よいか殿を怨むな、老臣どもを怨むな。怨むならばこの父を、この父を怨んでくれ……」


その頃
於大の産室ではすでに父子の対面もすみ、選びだされた乳母もふたりついていた
ひとりは家臣 天野清左衛門の妻 お貞
もうひとりは、清水孫左衛門の妻 亀女

「頼もう。大久保新八郎、若君竹千代さまに年賀言上のため参上いたした、お取次ぎめされ」
「はーい。どうぞ、お通りを」
「黙らっしゃい」
「竹千代さまはご幼少とあなどって、ご都合も伺わず一存に計らうとは不届至極。そのほうの名は何と
申す」
「は、はい。亀女と申しまする」
「亀女か、めでたい名じゃ。名に免じて今日の不届は聞き流す。早々に若君のご都合を伺って参れ」
「は、はい」
75Ms.名無しさん:03/05/04 06:37
三河の重臣は硬骨と気概を単純に示すを誇りとしている
君に忠の一筋を追いかける
その中でも大久保一族は硬骨をもって鳴っていた

「どうしましょう、まだ目も見えぬ赤子に、お伺いをたてろなどと……」
「これ早くせぬか、若君にはご機嫌よくわたらせようか」

「若君に申し上げまする。上和田の大久保党にその人ありと聞こえた武勇のお方、新八郎忠俊さま年
賀言上のためまかり出でましてござります。いかが取り計らいましょうや」
「ムッ」

(清左衛門の嬶め、味なことをやるわい。それにしても聞こえた武将はお世辞がすぎる。こらしめてやら
ねばなるまい)

「若君は、もう見えられる頃であろうとお待ちかねでおざりました」
「なに、待っていたと。若君がそう申されたか」
「はい、そう申されました」
「それはまた待たせたものじゃ。それにしても、生まれて十日たつかたたぬかに口をきかれるとは恐れ
いった」
「すぐれた若君でございますゆえ」
「ワッハッハハハ、そうかすぐれた若君か。通るぞ」

「若君、大久保新八郎忠俊にござりまする。いつも変わらぬご尊顔を拝し」
「くすっ」
76Ms.名無しさん:03/05/04 06:38
(そうか、初めてあうのにいつも変わらずはまずかったな)

「ウオッホン。えっ、もうちっと近うまいれと仰せられるか、かしこまってござります」
「くっくっ」
「おうおう」
「若君が何か申されましたか」
「うむ、申されたとも。ちと内々でと申されたので、拙者は耳を持って参ったのだ。それを笑うとは何事だ」
「もってのほか、だれも笑いませぬ」
「いや笑った。この新八郎、よくわかる」
「これはご無体な。よろこんでいる笑顔をそのように取りちがえられては迷惑でございます」
「なにっ、よろこんでいる笑顔……ムムッ」

「えっ、若君なにごとで。……なるほど。ご心痛おもっともと存じすれば、この新八郎きびしく申し渡すで
ござりましょう」
「?」
「これ清左衛門の妻女」
「はい」
「ただいま若君が申されるには、わが側に軽薄なる者どもがいる故この新八郎に叱って帰れと申された
が、おぬし心あたりがあるか」
「まあ」
「ご幼少の折に乳を差上ぐるというは、並々ならぬ用心のいるものじゃ」
「その儀ならば……」
「心得ているとすぐさま才女顔で申す……。それがいかんと仰せられるぞ」
「はい」
「なんとしても乳母の気性はうけつぐものじゃ。おぬしは家中でも賢女のほまれある女子。他人の顔を
見て武勇の聞こえ高きなどと軽薄な世辞はよも申すまい」
77Ms.名無しさん:03/05/04 06:38
「心して仕えますれば、お許しのほど」
「若君は、さようなことはいちばん嫌いじゃと申された。よいか、世辞をよろこぶような腑抜けに育ててく
れるなと申された」
「恐れいってござります」
「また軽薄によろこぶ癖もつけてくれるなと申されたぞ。簡単な喜怒哀楽は愚痴にすぎぬと申された」
「くれぐれも用心いたします」
「若君の取次はこれだけであとは私用じゃ、ワッハッハ」
(ホッ)

松平家の家中で大久保党がいちばん気骨奇行にとんでいる
だが彼らの奇行の裏には、つねに何ほどかの諷刺と皮肉とがかくされていた

「さてと、長居をした。そろそろおいとまするか。和子はのう、生まれる前から武勇の徳を持たれた方じ
ゃ。御身たちにそれがわかるか。胎におわすうちからわれらをお守りくだされた。去年の秋の小豆坂の
戦でな」

大久保さまは和子が於大の胎にあってゆえ水野家は織田方に加担しなかった。小豆坂で勝ったのは
そのためだと言っているようであった
於大は嬉しかった
家中一同から竹千代の誕生はまぶしすぎるほど歓ばれている

>>60-77
続きを書いていただき、本当にありがとうございます・・・(涙
お忙しいのに無理を言ってすみません・・・。
しっかり読ませていただきます・・・。
感謝です・・・(涙
79Ms.名無しさん:03/05/19 21:56
HEY3見てまだキスもしたことの無いBoAの口に無理矢理直接精液を飲ませたくなった(*^^*)モゾモゾ
80Ms.名無しさん:03/05/20 11:15
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | >>1ってうざいよね〜
  \  _______
   V
  ∧_∧∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ・∀・)´∀` )< だよね〜、誰か殺してくれないかな?
 (    )    )  \_______________ ∧ ,∧
 | | || | |                           (・д・,,)ペッ!!
 (__)_)__(_)                          、'(_@
                 
                / ̄ ̄ ̄ ̄\
               (  人____)
                |ミ/  ー◎-◎-)
               (6     (_ _) )    
                |/ ∴ ノ  3 ノ   
                \_____ノ,,
                  /,.>>1つ 
                 (_(_, ) 
                   しし'    
                     
                     
  ∧ ∧ムカムカ           
  (#゚Д゚) ̄ ̄ `〜                   ∧ ∧
    U U ̄ ̄UU                     (   ) イッテヨシ!!
  へ                            |  ヽ
/    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ったく、サルみてーに糞スレ乱立させてんじゃねーよゴルァ!!
\________________________

81Ms.名無しさん:03/05/20 19:19
1stライヴツアーで泣きじゃくる姿見てまだキスもしたことの無いBoAの口に無理矢理直接精液を飲ませたくなった(*^^*)モゾモゾ
82山崎渉:03/05/22 00:58
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
83山崎渉:03/05/28 16:51
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
84Ms.名無しさん:03/06/20 17:36
     /::::::::::::::::::::::::::ヾヽ
     i:::::::::(((((((((⌒);)    湿度の高いジメジメとした熱帯夜の中
      |:::::::/        .iノ     >>1はおもむろにパンツの中から
      |::::/    ヘ  / |     己のイチモツを取り出した!
    ,⊥|:|----(=・)-(=・)     まだ、実戦経験がないためか?
    l  !:; ∪  ⌒´⊃` |       亀頭の色彩は綺麗なサーモンピンクだ
    ゝ_┃     ´___/
       |┗━⊃<二二y'         ハードディスクの7割を占めようかという
      |   \_二/        ロリ画像の数々……
    /ト、   /7:`ヽ、_       さぁ今日のオカズは何だ?
  /::::::::| ~''x‐''''~~ /::::::::::::::`ー   洋物か?あるいは国産か!?
/::::::::::::::::| ,,イ;;;;>、 /::::::::::::::::::::::::::   少女のまだ未発達の肉体が
::::::::::::::::::::::| /:::::| /:::::::::::::::::::::::::::::::  鬼畜な>>1のリビドーを刺激する!

人差し指と親指で作ったイチモツへのエンゲージリングを
己のペースで……まるで太鼓を叩く猿のオモチャのような激しい上下の反復運動

ああーーーーと!ここでアクシデント発生だぁーーーーー!!!
なんとティッシュボックスの中が空っぽだ!!
>>1の亀頭から無色透明な先走り汁が溢れ出す!
んっ!?……まさか、まさかっ!そのまま出すのかーー!?
この男は、たった一瞬の快楽のためにそこまでのリスクを犯すのか?

ああっと>>1はどうやら覚悟を決めたようだ、その表情は心なしか落ち着いている
自分の運命を覚悟した神風特攻隊のような清々しい漢(おとこ)の顔だ
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っと!!!!!!
滑らかな放物線を描き母と父から受け継いだ濃厚なザーメンが
>>1のキーボードとディスプレイを直撃するーーーーーーーーーーー 
85Ms.名無しさん:03/06/24 17:34
         /:::::::::::::  ::::::::\
       /:::::::::::::::::::::::::::::  :::\
       |:::::::::::|_|_|_|_|_|
       |_|_ノ∪ \,, ,,/ ヽ
       |::( 6  ー─◎─◎ )
        |ノ  (∵∴∪( o o)∴)
       |   <  ∵   3 ∵)
     /\ └    ___ ノ
       .\\U   ___ノ\
         \\___)   ヽ

-------------------->>1の経歴-------------------------------------
小学校:病弱で「デブ」「ブタ」「オタク」といじめられつつも卒業。
中学校:中2のとき凄惨ないじめにあって自殺未遂を犯す。
高校:高1のときクラスの不良のリーダー格に標的にされる。
  以後、周辺の不良にリンチをくらう、中学時代のいじめっ子にも駅で待ち伏せされ金を取られる日々。
  高2の3学期までギャルゲーしかせず、留年しかけて学年末試験で猛勉強するも、平均57.3点止まり、
  担任の先生に呼び出されて「おまえ就職か?」と言われ、頭に来て担任にナイフを刺して停学。しかし留年は免れる。
  高3のときは悲しく半引きこもり(部活にも入ってない)で成績も常に平均以下で卒業。
浪人:予備校を前期で辞めて、ひたすら2ちゃんねる。学力が落ちる。
大学:なんとか中堅の私立大学に補欠合格しかしアキバにばかり行ってたので
   単位が足らず強制退学。
ヒッキー期間:8ケ月、現在進行中!!
86Ms.名無しさん:03/07/02 20:38
保守
87Ms.名無しさん:03/07/12 11:24
保守
88Ms.名無しさん:03/07/14 17:48
             \        .∧_∧                  /
              \   ピュ.ー (  ^^ )<これからも僕を  /     ∧_∧
 山崎渉は      \   =〔~∪ ̄ ̄〕          /∧_∧  ( ^^  )
    かっこいい。     \ .= ◎――◎            / . (  ^^ ) /   ⌒i
           从// . \     ∧∧∧∧     /.  /   \     | |
   (  ^^ )     n      \  <.      >.. /.   /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
  ̄     \    ( E)      \< の 山. >/.   __(__ニつ/  山崎  / .| .|
 フ     /ヽ ヽ_//         < 予.    >.         \/       / (u
―――――──―――――――< 感 崎. >―――――──―――――――
                      <. !!!.    >
        山崎渉age(^^)   <     渉. >  1 名前:山崎渉 投稿日:02/
    ∧_∧.             /<..     >\    (^^)
  ∧(  ^^ ).           /   ∨∨∨∨.   \
 ( ⊂    ⊃.        /                  \  3 名前:山崎渉 投稿
 ( つ ノ ノ       /. ―━[JR山崎駅(^^)]━― \.    >>2
 |(__)_)     /                     \   (^^;
 (__)_)      /. ―━―━[JR新山崎駅(^^)]━―━― \
         ./                            \
89山崎 渉:03/07/15 12:43

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
91Ms.名無しさん
  /            `ー─ー-,,,__
    i′      ─''   `‐-       ̄\
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.     |   \\i          |      ヽ
     |/二二 `、   (〇)    /     (〇|
     ι, ', ‐‐==‐ ヽヽ      /\      ノ
      '、'/ ̄ ̄   \ ‐-‐''"    `゙‐--‐'"