堺 雅 人 が好きな喪女 6

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32彼氏いない歴774年
ディナーを終え、帰路につき、喪子と夫がテレビを見ながらくつろいでいると携帯が鳴った。
雅人からのメールだった。
≪今日は楽しかった あなたをあのまま帰したくなかった 愛してる≫
喪子は何度もメールを読み返した。雅人への愛おしさがこみ上げてくる。
≪わたしも雅人だけを愛しています≫
雅人からのメールはすぐに返ってきた。
≪明日逢えないかな?いつもの場所でいつもの時間に待ってる≫
メールを返信しようとしたそのとき、夫が横から携帯を覗き込もうとして、
喪子は慌てて携帯を背に隠した。
「なぜ隠すんだ?」
「なんでもないわよ」
「さっきからずっと携帯を弄ってるじゃないか」夫が不審な目で見ている。
「姉からよ…明日会う約束をしているの」
喪子はとっさに嘘をついた。

夫がシャワーを浴びている間、喪子はこっそりメールを返信した。
≪明日 楽しみにしています≫
夫に見つからないように、メールのやりとりはすべて消去した。

その夜、珍しく夫が喪子の寝室に入ってきた。黙って喪子が眠るベッドに潜り込んでくる夫。
かれこれ1年以上もレスだったのに急になんなのよ…。
喪子は夫に触れられるのもイヤだった。嫌悪感ばかりが募る。
「やめて…今日は疲れてるの」
夫はおかまいなしにパジャマの前ボタンに手をかけた。
「やめて!」
喪子が声を荒げても、夫はやめようとしなかった。喪子は露わになった上半身をまさぐられながら、
必死に抵抗した。
雅人、助けて!雅人!心の中で叫んでいた。
喪子は雅人にしか抱かれたくない。それなのに喪子を抱いているのは雅人じゃない。
もはや喪子には夫が、荒い息遣いのオス豚にしかみえなかった。
喪子の頬を涙がつたう。
「なぜ泣くんだ?そんなにイヤか」
夫は怒り、行為を止めた。
喪子はただただ雅人を想い、赤子のように泣きじゃくっていた。