金沢と上野を結ぶ急行「能登」と寝台特急「北陸」が、来年3月のJR東、西日本ダイヤ改正で廃止される
見通しとなった。今月中旬にも同社が発表する。旅情を誘う雰囲気と国鉄時代の名車両で人気は高かったが、
近年は夜行高速バス便の増加やビジネスホテルな ど安価な宿泊場所が普及し、乗客数は減少傾向にあった。
北陸と首都圏をつなぐ定期運行の夜行列車は姿を消すことになり、鉄道ファンや利用客からは惜しむ声が
上がっている。
「北陸」は1950(昭和25)年、「能登」は75年に運転を開始し、現在は同一区間を運行している。
両列車は、旅行客や帰省客に重宝され、お盆や年末年始の繁忙期は混雑した。東京方面に出張するサラリーマン
らの支持も集めた。
国鉄時代から走り続ける貴重な車両は全国から鉄道ファンが撮影に訪れる人気で、「能登」は運転席前方が
大きく出っ張っている「ボンネット型」の定期運行されている唯一の車両だった。
一方で、安価な高速バスや、時間が短縮できる飛行機、新幹線などに利用客が流れ、全国的にも「銀河」や
「富士」「はやぶさ」など寝台列車の廃止が相次いでいた。
鉄道愛好者でつくるNPO法人「ヘリテージ・オブ・レイル北陸」の岩谷淳平理事長は 、「夜行列車が
消えるのは寂しいが、景気の悪化や新型インフルエンザの流行で鉄道事業を取り巻く環境は一層厳しくなって
おり、仕方ない面もある」と分析。希少な車両は鉄道の魅力を発信する資源として生かせると指摘し「地域の
宝という形で車両を活用する動きが出てきてもいいと思う」と期待を寄せた。
9日夜、JR金沢駅で出発を待つ「能登」「北陸」には会社員や旅行客が乗り込んだ。 埼玉県の会社員男性
(49)は「夜行列車の車窓から見える田舎の夜の暗さが好きだったので、廃止されるのは寂しい」と話した。
ソース:富山新聞 [09/12/10]
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20091210101.htm