522 :
彼氏いない歴774年:
「ねえお母さん、ここってどうなってるの?」
娘が小学校で性器について習ってきたらしい。
よし、と私は決心した。
百聞は一見にしかず、娘を私の前に座らせ、私の性器を見せて説明することにした。
「これが大陰唇、麻衣ちゃんのはまだお母さんみたいに性毛が生えてないかもしれないけど、あと何年かしたら生えてくるかな。
生え始める時期も性毛の濃さも人によって違うけど、決して恥ずかしいことではないの。
その内側にあるこれが小陰唇、ここも人によって色も形もバラバラなの。
色が濃いとか、形が変だとかで、自分のはおかしいんじゃないかって悩む人も多いけど、全然おかしなことじゃないのよ。
この小陰唇の上のほうにあるこのぽちっとしたのがクリトリス。ここも人によって違うの。
大きい人も小さい人もいるし、お母さんみたいに普段この陰核包皮っていう皮に隠れてる人もいれば、いつも包皮から出てる人もいるの。
じゃ次は小陰唇を開いてみよう。ここには穴が二つあるの。
この上の小さな穴が尿道口っていって、おしっこの出るところ。
下のこの穴が膣口っていって、ヴァギナの入口なの。赤ちゃんはここから生まれてくるの。麻衣ちゃんもここから出てきたのよ。
ここに男の人のペニスを入れて、ペニスから出てくる精子と、ここのずっと奥にある卵子が一緒になって、赤ちゃんができるの。」
その時、私の体にある変化が現れた。
「あ、何か白いものが出てきた」
多くの大人はこういう時ごまかしてしまうかもしれないが、私はむしろこれをチャンスだと思い、自分の生理現象を包み隠さず説明した。
「これは膣分泌液っていって、気持ちよくなるとヴァギナの壁から出てくるの。
これはペニスをスムーズに受け入れられるようにするために、とっても大事なものなの。」
娘は初めて見る女性の体の部分に興味津々で、その後も次から次へと質疑応答が続いた。
大人たちの中には、私の行動に眉を潜める人もいるかもしれない。
けれども性をタブー視したり、ごまかしたりすることは、結局子どもが間違った性の情報に翻弄されることに繋がるのだ。
正しい性の知識を身につけさせることは、子どもを守ることにもなるのだ。