そんな事より
>>1よ、ちょいと聞いてくれよ。いまさら吉野家もなんけどさ。
昨日、母の葬式に出たんです。享年54歳。
そしたらなんか自分、涙が一滴もこぼれないんです。
で、よく見たら会ったこともないような親戚のおばさんですら泣いているんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
俺な、親の死を目の前にして放心してんじゃねーよ、ボケが。
目の前に人が死んでるんだよ、母親が。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人で葬式か。ほんとありがとう。
パパは息子さんに挨拶してくるから車で待ってなさい、とか言ってるの。いい親父だな。
俺な、親が死んでんだからもっと泣けと。
葬式ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
死に化粧をみた瞬間いつ涙があふれてきてもおかしくない、
泣くか叫ぶか、そんな雰囲気が普通なんじゃねーか。オレ、なんなんだよ。
で、やっと葬式が終わったかと思ったら、なんか次々と母のことが思い出されるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、今さら思い出したところで意味ねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、今度の休みには帰るよ、だ。
俺は本当に休みに帰るつもりだったのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
俺、適当に親との距離をとりたかっただけちゃうんかと。
親不孝者の俺から言わせてもらえば今、若者の間での最新流行はやっぱり、
反抗期、これだね。
親ってのはいつまでも生きているもんだと思っている。これがガキの考え方。
親の期待をかなえたつもりで一人暮らし。そん代わりコミュニケーション少なくなる。これ。
で、「少しだけ仕送りいれといたから」 「ああ、無理すんなよ」。これ最期の会話。
今になって後悔ばかりが思い出される、諸刃の剣
まあお前ら若いもんは、ほんの少しでもいいから親孝行しなさいってこった。
――今日も、駄スレをたてちゃった
窓の外は、雨。
ベランダに立つと、綿のように柔らかい感触が、差し出した手を濡らす。
――
>>1の駄スレも、あの人には届かなかった
憧れて、心焦がして、そして自分も駄スレをたてるようになった。
そうすれば、彼も喜んでくれると信じて。
――ずっと走ってきたけど、もう、疲れちゃった
>>1はそっと目を閉じる。
冷たい雨が、優しく降り注ぐ。
けれど、乾いた心は癒されない。
――駄スレたてる理由も、好きな人も、なくしちゃった
涙は流れなかった。
流す涙も、枯れ果てたのだろうか。
>>1は自嘲的な笑みを浮かべると、ベッドに横たわる。
――もう忘れよう。2ちゃんねるも、駄スレも。あの人も
二度と覚めない夢を見よう。
現実はいつも
>>1に厳しすぎた。
さようなら。