全仏での大逆襲はあるのか。テニスの全豪オープン男子シングルス準々決勝で、
世界ランキング5位・錦織圭(25=日清食品)は前年覇者で同4位スタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)にストレートでまさかの完敗を喫した。
4強入りを逃した錦織の「敗因」と「課題」は何か。次なる目標の全仏オープン(5月24日開幕)に向け、「GAORA」テニス中継解説者の佐藤武文氏(43)が緊急提言――。
佐藤氏がまず敗因に挙げたのは第1セットの攻防だった。
ワウリンカは序盤からサーブ、ストロークともさえ渡り、錦織は伸びのあるボールに真っ向勝負を挑んだ。
しかし、逆に力んでしまい、ミスを連発してしまったという。「『これ、打ち過ぎだな』とリアクションする場面があった。
ワウリンカのボールが良かったので(錦織の)ミスが多かったです」。
もともと錦織は尻上がりにギアを上げていくタイプ。第4ゲームにはストロークが乱れ、ブレークを許した。
錦織の“勝利の方程式”は早くも狂っていた。
さらにチーム・ケイの作戦の誤算も重なった。片手バックハンドのワウリンカはダウン・ザ・ライン(サイドラインと平行に打つショット)が十八番。
錦織も警戒していたが、この日は何度もクロスに打ち込まれた。それも厳しい角度に決まり、タイミングを外された錦織は対応が遅れた。
「代名詞のダウン・ザ・ラインに対してカウンターを当てる作戦だったと思う。でも、ワウリンカは攻める中で(速度の遅い)スライスを1本も打たない。
そしてショートアングル気味のクロス…。あれがとにかく嫌だった。『こんなにかよ』というのがあった」。ワウリンカに研究され、上手をいかれた。
世界ランク4位と5位の差はこれほどまでに違うのか。しかし、一方で佐藤氏は次なる目標となる全仏に向け、取り組むべき「課題」もみえたと指摘する。
まずはサーブ&ボレーの強化だ。錦織はワウリンカ戦の後半で普段は多用しないサーブ&ボレーで揺さぶりをかけた。
「ストロークで打ってもこれはかなわないということで、プランBとかCであったと思う。新たな希望が見えた」。
全仏はクレーコート(土)で行われる。絶対王者の世界ランク3位ラファエル・ナダル(28=スペイン)が君臨し、
一筋縄ではいかないが「セカンドサーブでサーブ&ボレーは有効」と佐藤氏は見ている。
次にサーブの安定度の向上だ。錦織のサーブは最速202キロまで進化したが、サーブ合戦では最速222キロのワウリンカに圧倒された。
佐藤氏は速度ではなく、精度を上げるべきだと主張する。「サーブは平均して190〜200キロのサーブが打てればトップで確実に通用する。
今度は確率ですよね。ブレークポイントを握られた時、連続エースを取れたら楽」
そして、最後は片手バックハンド選手への対応だという。全仏でもワウリンカ、もう一人の名手で同2位のロジャー・フェデラー(33=スイス)が立ちはだかることは必至。
「早い展開に対して、ためを作らないといけない。予測のスピードを上げるということ」
敗戦を経験するたびにレベルアップして戻ってくる錦織。4大大会初制覇の夢はまだ消えない。
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