ソース(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140215/chn14021512000000-n1.htm 写真=1月26日、許志永氏の判決公判が開かれた北京市第一中級人民法院前で、記者の取材に応じようとして警察車両に
押し込まれる許氏の弁護人(中央)。中国当局はネット上でも言論統制を強めている
http://sankei.jp.msn.com/images/news/140215/chn14021512000000-p1.jpg 中国で憲法が認める権利の実現を目指す市民運動「新公民運動」の中心メンバー、許志永氏(40)が1月に公共秩序騒乱罪で
懲役4年の判決を受けたニュースは国内でも広く報じられたが、大手ウェブサイトのコメント欄は「良い判決だ」「厳重に罰せよ」など
司法当局を支持する声で埋め尽くされた。背景には、報道機関だけでなくネット上でも言論統制が行われている中国ならでは
カラクリがある。
■テンプレが存在?
「法律を軽視して世論を惑わせた。厳重な処罰を」
許氏に対する有罪判決を伝えるニュースのコメント欄は、判決を絶賛するネットユーザーの声であふれている。
これらのコメントには共通の特徴がある。まず極めて簡潔であること。そして似たり寄ったりの文言が並び、まるで見本の「テンプレ
(定型文)」が存在するかのようだ。
ユーザーのアカウントは最近取得されたものが多く、過去の発言も数回に留まる。いずれも「理性的に国を愛そう」、「習(近平)
総書記は人民のよきリーダーだ」など体制礼賛の内容ばかりだ。
いずれも、「五毛党」の書き込みとみられる。
五毛党とは、当局寄りのコメントを書き込むネット工作員を指す。1件ごとにわずかな報酬を得ているとされ、この名がついた。
情報統制が行われているとはいえ、中国のネット空間も普段は、官僚や政治家などの既得権益層を鋭く毒づくコメントが、
削除されないまま残っていることが結構ある。しかし、今回の新公民運動をめぐる動きに関しては、運動を支持したり、当局を批判
する書き込みは厳しく制限されているようだ。
当局側が、新公民運動に対していかに神経をとがらせているかがうかがえる。それにしても、「五毛党」のコメントで埋まっている
ことは一目瞭然。サイト運営者も「察してください」といったところなのだろうか。
■尋問の様子を暴露
中国では、書き込みの削除など当局の統制がおよばない米国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックや
ツイッター、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」といったサービスは利用できない。
しかし暗号化や認証技術を使った「仮想プライベートネットワーク(VPN)」を使って、こうした規制をくぐり抜けている人たちも多い。
許氏の判決公判が開かれた1月26日から27日にかけて、中国の著名人権活動家、胡佳氏(40)が北京市の公安当局に一時拘束
され、取り調べを受けた。この際、胡氏はツイッターで一部始終を“実況”してみせた。
「多くの制服警官が私の家の門の前に現れた。公共秩序騒乱の容疑で連行するようだ」
「まもなく連行される。もし24時間音信が途絶えたら、私の弁護士に連絡してほしい」
「私はすでに家に戻ったが、軟禁状態が続いている。今回は北京市公安局のネット安全保安総隊に連行された」
さらには取り調べの様子まで暴露している。「主な聴取内容は、私が新公民運動関連の裁判で支持者に集会を呼び掛けたという
ものだ。保安総隊は私のツイッターの発言をすべて監視しており、自分自身で書いたものなのかを尋問された」
(
>>2以降に続く)
(
>>1の続き)
■フランスのネット統制を揶揄
言論統制をしく当局とネットユーザーの網民(ワンミン)との攻防が続くなかで、人々の反感をかったのが、中国共産党機関紙
「人民日報」傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)が今月10日に掲載した記事だ。
記事は、フランスの主要経済紙トリビューヌの報道を引用したもので、タイトルは「世界でツイッターの管理が最も厳しいのは
フランス」。ツイッター社のまとめによると、2013年下半期に各国政府からあったツイートの削除要請のうち、フランスからの要請が
全体の87%を占め、結果として133のツイートが削除されたという。
フランス当局が削除を求めているのは人種差別的な発言などだ。記事は自国のネット規制を棚に上げて他国の言論統制を揶揄
(やゆ)したようにも読めることから、ネット上では、「なんて恥知らずだ。新浪微博(中国版ツイッター)はどうなるんだ」などと批判が
相次いだ。
「おもしろい。私は1週間でブログの発言が数十回削除された。みんなで合わせて計算してみよう」。この書き込みは今のところ
削除されていない。
(終わり)