★改ざんの組織性が焦点 幹部指示か、食い違う証言 JR北海道捜査
JR北海道のレール検査データの改ざんをめぐる事件で、道警の捜査は、
改ざんに関わった社員に上部組織から指示があったかなど、組織性の有無が焦点となる。
国土交通省の特別保安監査などでは、幹部の指示で改ざんしたと認める社員もいたが、食い違う証言も出ている。
道警は容疑者の特定を慎重に進めるほか、法人の刑事責任の有無も判断するため、捜査の長期化が予想される。
12日、道警の捜査員16人が鉄道事業法違反容疑などで家宅捜索に入った大沼保線管理室(渡島管内七飯町)。
昨年9月、JR大沼駅構内で起きた貨物列車脱線事故をめぐる検査データ改ざんの主舞台だ。
関わった社員3人は、事故から2時間後の9月19日午後8時ごろから20日未明にかけ、
レール幅の広がりを39ミリから25ミリに書き換えたなどとされ、国交省が告発した対象案件の一つとなった。
改ざんを認めた社員の一人は国交省の特別保安監査などに対し、改ざんの理由について、
上部組織に当たる函館保線所の幹部の指示があったなどと証言。
この社員はJRの社内調査に対しても「事故翌日に(函館保線所幹部に)相談した」などと、
改ざんをめぐるやりとりを認めている。
しかし、当該の幹部はこの社員への指示を否定。双方の証言は真っ向から食い違ったままだ。
国交省の特別保安監査と異なり、強制力を持つ捜査機関の手で、改ざんの具体的経緯がどこまで明らかになるのかが鍵となる。
もう一つ、告発対象となった函館保線管理室のケースでは、改ざんに関わった11人に助役も含まれ、
助役が改ざんを指示していたと、特別保安監査などが指摘している。
今回の家宅捜索は保線現場の最前線である両管理室に加え、上部組織の函館保線所、函館支社、本社にまで及んだ。
道警は上部組織の関与だけでなく、本社が現場の改ざんをどこまで把握していたのかも調べる。
法人としての責任を問う「両罰規定」に基づき、国交省はJR北海道も告発対象としており、
改ざんが組織的で会社の管理責任に基づいたと判断されれば、法人自体が処罰される可能性もある。
事情聴取する対象者や分析する資料は膨大で、捜査は「少なくとも数カ月かかるのでは」(関係者)との見方も出ている。
<北海道新聞2月13日朝刊掲載>
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/520772.html