札幌市白石区のアパートで20日、女性(76)と長女(49)が死亡しているのが発見された。同区で知的障害がある女性と姉の孤立死
が分かったのは、くしくも2012年の同じ日。札幌市はこの2年間、孤立死の防止に取り組んできたが、「限界」も見えてきた。一方で、
孤立しがちな人たちを自主的に見守る町内会などは増えており、安全網を広げる努力は続く。
白石区役所によると、20日に見つかった女性は長女と2人暮らし。昨年5月に、要介護認定を受けていたが、介護サービスは利用
していない。一人暮らしではないため、民生委員による高齢者の見守りの対象ではなかった。
札幌市は2年前の姉妹孤立死の再発を防ごうと、高齢者や知的障害者の安全網を強化。発覚から半年後の12年7月、公的支援を
受けていない知的障害者のうち希望者に、民生委員が原則月に1回、訪問して様子を聞く「見守り」を始めた。
この年の12月には、コープさっぽろ(札幌)など3社と見守りの協定を締結。障害者や高齢者宅に商品を配達する際に、新聞が
たまっているなどの異変を感じたら、区役所や警察署などに通報する仕組みもつくった。
一方で、札幌市が電力会社やガス会社に求めた料金滞納の生活困窮者らの情報提供は、個人情報保護を理由に進んでいない。
知的障害者の見守りも、拒否されるケースが多く、希望者は20人にすぎない。
こうした中で分かった今月の母娘の死亡に、札幌市地域福祉推進担当課の吉田祐之課長は、「行政の取り組みも限界がある。
市民が自ら進んで、地域や行政に支援を求めなければ、孤立死を防ぐことは難しい」と話す。
一方で、地域の取り組みは進む。連合町内会や民生委員などでつくる、各地域の福祉のまち推進センター89カ所のうち87カ所が
見守りを実施。市社会福祉協議会は「地域の孤立死への関心は高まっており、ここ数年、地域の見守り活動は急増した」と言う。
中央区のあるマンションでは、住民組合が11年4月から、一人暮らしの75歳以上の住民を対象に、起床後、自宅のインターホンを
押すと管理室に履歴が残る仕組みを作った。住民組合の理事長(71)は「受け身になり、行政の手助けを待っているだけではダメ。
住民が互いを見守るコミュニティーを築く必要がある」と語る。(片山由紀)
◆札幌市白石区の姉妹孤立死
2012年1月20日夜、白石区の共同住宅の一室で女性2人の遺体が発見され、この部屋に住む無職女性(42)とその妹(40)と
確認された。姉は脳内血腫で急死し、知的障害のあった妹は外部と連絡が取れず、1月下旬から中旬の間に衰弱の末、凍死したと
みられる。2人は生活保護を受けておらず、料金滞納でガスや電気の供給を止められていた。姉は10年6月から計3回、白石区役所
に生活保護の相談に訪れていたが、申請はしていなかった。
ソース(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/516630.html 図表=孤立しがちな障害者や高齢者の異常を見分けるポイント
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/image/7810_1.jpg