★安全審査長期化も 課題多い核燃サイクル、いつ動くかが焦点
核燃料サイクルの要である使用済み燃料再処理工場の安全審査が始まったことで、
サイクルがいつ動くかが次の焦点になる。
「核のゴミ」の最終処分場の選定も政府が本腰を入れ始めており、資源小国の日本に不可欠な、
エネルギーを有効活用するサイクルの本格運用が期待される。
だが、再処理工場の近くには活断層の疑いもあり、審査は長期化も想定されている。
先月施行された核関連施設の新規制基準は、フランスなど先進国の基準も取り入れ、
「相当厳しい内容になった」(規制委の田中俊一委員長)。
このため原発では半年程度とされる審査期間は見通せない。
特に再処理工場の動向は不透明だ。平成5年に着工して以来、トラブルが続き完成を20回も延期。
難関とされていた放射性廃液のガラス固化試験は昨年5月に終わり、規制委の審査を待つばかりとなっている。
新基準は工場にも原発並みの厳しい地震・津波対策を求めている。
青森県下北半島東部沖には「大陸棚外縁断層」(長さ84キロ)という
大規模な活断層があるとの指摘があり規制委が調査中。
一方で事業者側は「将来活動する可能性のある断層ではない」との調査結果をまとめている。
核燃料の再処理は、非核兵器国の中で唯一日本に認められている技術だ。
今月中にも閣議決定されるエネルギー基本計画では核燃料サイクルを「着実に推進する」と記載。
安倍晋三首相も「技術は高いレベルを持っており、引き続き取り組んでいく」と強調している。
ただ再処理工場が動いても、プルトニウムを燃料として使う高速増殖炉の計画が滞っており、サイクルの本格稼働は当分見込めない。
最終処分場の選定とともにクリアすべき課題は多い。(原子力取材班)
サンケイビズ
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/140107/cpb1401071221003-n1.htm