高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究データ操作問題で、研究を行った5大学
のひとつ、千葉大が外部機関に依頼した解析調査で、多数のデータの相違が見つかっていることが9日、関係者
への取材で分かった。人為的に操作された可能性があり、千葉大は月内に調査結果を公表する方針。
研究には、ディオバンを販売する製薬会社「ノバルティスファーマ」の社員(退職)が所属を隠してかかわって
いたが、千葉大側は「(元社員に)データは触らせていない」としており、大学の関係者が関与した可能性が高い。
複数の関係者によると、解析調査は7月から、大学の依頼を受けた公益財団法人「先端医療振興財団臨床研究情報
センター」(神戸市)で行われた。研究対象となった高血圧患者のカルテに記載されたデータと、実際の論文に
使われたデータを照合。その結果、多数のデータに食い違いがあった。人為的な操作が行われた可能性があると
いう。
臨床研究は、ディオバンに脳卒中予防など降圧作用以外の効果もあるかを確かめるため、当時、千葉大にいた小室
一成東大大学院教授を責任者として、平成14〜21年に実施された。研究チームは、当初の目的だった脳卒中
や心筋梗塞などの予防効果については他の降圧剤に比べディオバンの有意性はないとする一方、「心臓や腎臓など
を保護する効果が高い」とする結果が論文にまとめられた。
ノ社の調査では、元社員は千葉大側の研究者との間に亀裂が生じたため、研究にはほとんど関与しなかった。元
社員は研究用のデータベースにアクセスする権限は与えられていたが、実際にアクセスした証拠は見つかってい
ないという。
千葉大は研究が行われた期間に、ノ社から約2億4600万円の寄付金を受けた。ノ社は千葉大の論文を自社の
資料や広告に100回以上使用していた。
研究責任者だった小室教授は取材に対し、「調査中のためコメントは差し控える」としている。
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【用語解説】降圧剤のデータ操作問題
降圧剤ディオバンを使った臨床研究で、不正なデータ操作が行われたことが京都府立医大や東京慈恵会医大の内
部調査で発覚。「血圧を下げる以外に脳卒中などを減らす効果がある」などとする論文が書かれ、製薬会社の広
告などに使われた。厚生労働省は、医薬品の効果について虚偽や誇大な広告を禁じる薬事法に違反する恐れがあ
るとして調べている。
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引用元: MSN産経ニュース 2013/12/10
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131210/crm13121007060001-n1.htm