★根室のチャシ 静かなブーム 最東端の名城 アイヌ民族の砦 アクセスの悪さ希少価値高める 道外発着ツアー企画 グッズの売れ行きも好調
【根室】根室市内にあるアイヌ民族が砦(とりで)などとして築いたチャシ跡群が、城郭を訪ね歩く愛好者の間で注目されている。
本土最東端の城郭であるのに加え、首都圏からの行きにくさが逆に希少価値を高め、大手旅行会社が道外発着ツアーを企画するほど。
地元の土産物店ではキーホルダーがよく売れるなど、経済効果も表れ始めている。
※写真 城郭を訪ね歩く愛好者の間で注目を集めている根室半島のチャシ跡群
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/image/2888_1.jpg 「城郭愛好者が、休日になると頻繁に訪ねて来る。これまでこんなことはなかった」と語るのは、
JR根室駅前にある市観光協会事務局の熊谷貴史さん。
愛好者のお目当ては、チャシ跡群のスタンプで、日本城郭協会(東京)が監修した
「日本100名城公式ガイドブック」(学研)の付録スタンプ帳に押すため、多い日には数十人がやって来るという。
同じデザインのスタンプを置いている根室市歴史と自然の資料館(根室)によると、
本年度のチャシ跡群の見学者は9月25日現在、284人とすでに2008年度のほぼ3倍に達している。
同資料館の猪熊樹人学芸員は「まさにひそかなブーム」と表現する。
チャシは、アイヌ民族が16〜18世紀に戦闘用の砦や祭祀(さいし)を行う場所などとして利用したと考えられている。
根室半島のチャシ跡は32カ所で、このうち24カ所が「根室半島チャシ跡群」として1983年に国指定遺跡になった。
06年には、日本城郭協会の日本100名城に選ばれたが、地元でも知らない人は少なくない。
大手旅行会社クラブツーリズム(東京)は9月、大阪と名古屋発着で、
五稜郭(函館市)や松前城(渡島管内松前町)と一緒にチャシ跡群を巡るツアーを企画し、計60人が参加した。
同社の広報担当者は「首都圏からのアクセスの悪さが売りになり、1カ所目や100カ所目の名城として
チャシ跡群を選ぶ愛好者も多い」と分析。現在、追加ツアーを検討中という。
ブームを受け、JR根室駅前の土産物店「光風」では、
昨年5月からヲンネモトチャシ跡の写真をあしらった携帯ストラップを販売している。
7月からはマグネットも作り、1カ月に30個以上売った。店主の佐々木弘往さんは
「年間100個売ればヒット商品の世界。これまでに経験したことのない売れ行きだ」と驚いている。(丸山格史)
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/495987.html