米国務省が発表した今年の報告書で、人身売買と闘う「ヒーロー」に日本人で初めて選ばれ、6月にワシントンで表彰された。
計4000人以上の在日外国人労働者を支援し、過酷な職場と搾取の根絶を目指す長年の活動が評価された。
「沖縄の基地問題とか言いたいことはあるが、日本の小さな活動をちゃんと見ている米国の強さを実感した。次の一歩の
力にしたい」と喜ぶ。
活動方針や考えを情熱的に伝える語り口は「炎のオルグ」と呼ばれる。1993年、バングラデシュ人の未払い賃金交渉に同席
した際、雇用主から突然ガソリンをかけられ火をつけられた。全身やけどで2カ月間の入院中、車椅子で集会に出席し、周囲を
驚かせた。この壮絶な体験が異名の由来だ。
バブル期に急増した外国人労働者を組合に受け入れ、労災申請や未払い賃金請求を助けた。その後、国際協力を目的とした
外国人研修・技能実習制度が、超低賃金で外国人労働者を長時間酷使する仕組みに使われるようになると、実習生を「シェルター」
にかくまい、一緒に雇用主に立ち向かった。「大半の雇用主は普通の人だが、国の制度が邪悪な心に変える」。国に制度廃止を訴え、
3年前に受け入れ側の責任強化につなげた。
苦しむ外国人労働者は今も後を絶たない。「ごまかしをやめ、労働者として正面から受け入れる覚悟が必要だ」。炎の信念を突き付
ける。【河津啓介】
【略歴】鳥井一平(とりい・いっぺい)さん。60歳。大阪府出身。移住労働者と連帯する全国ネットワークの事務局長。東日本大震災の
被災地支援にも力を入れる。
ソース: 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130911k0000m070095000c.html