大陸から飛来する微小粒子状物質PM2.5による大気汚染問題で、福岡市と国立環境研究所(茨城県つくば市)などの
専門家グループが31日、PM2.5の健康影響を調べるため、福岡市内の小学生を対象に疫学調査に取り組むと発表した。
福岡市によると、大陸由来のPM2.5に関する疫学調査は全国で初めて。
調査は国の研究費助成事業の基盤研究として採択された。市によると、対象は市内4校の小学5、6年生延べ約2000人。
2014年と15年の、PM2.5の飛来が例年多い5月に実施し、呼吸器やアレルギー症状などに与える影響を調べる。結果は16年春までにまとめるという。
今秋には、適切な回答方法や調査項目を決めるための予備調査もする。
PM2.5は直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さい粒子状物質の総称。肺の奥まで入りやすく、
呼吸器系や循環器系の疾患を悪化させるとされる。ただ、大陸から飛来するPM2.5が健康にどのような影響を及ぼすかは分かっていない。
環境省は09年に大気中の濃度を年間平均1立方メートル当たり15マイクログラム以下、
日平均同35マイクログラム以下とする環境基準を設定。今年2月には日平均同70マイクログラムを超えると予測される場合は、
自治体が外出を自粛するよう呼びかけるなどの暫定指針を設けた。
代表研究者で市黄砂影響検討委員の市瀬孝道教授(大分県立看護科学大)は
「国の暫定指針以下の濃度でも子供には影響が出る可能性がある。大陸由来の汚染物質による健康影響を調べ、環境対策に役立てたい」と話した。
http://mainichi.jp/select/news/20130801k0000m040133000c.html