日本市場に対する国内外の信用を揺るがした。その責任を重く見た司法判断と言えるだろう。
世界的な光学機器メーカー「オリンパス」の粉飾決算事件で、東京地裁が、金融商品取引法違反に問われた菊川剛前会長ら旧経営陣3人に有罪判決を言い渡した。
判決は、バブル期の財テク失敗で抱えた損失を隠蔽するため、3人が2011年3月期までの5年間の決算で、有価証券報告書の純資産額を最大で1178億円も水増ししたと認定した。
こうした粉飾工作について、判決は「組織的な犯行」と断じ、法人としてのオリンパスにも、金融商品取引法違反で過去最高額となる7億円の罰金を命じた。歴代トップが関与した粉飾に対する裁判所の厳しい姿勢の表れである。
判決は、虚偽記載に対する金融商品取引法の罰則が強化された時期の犯行だった点も重視した。「法改正の趣旨をないがしろにした」と批判したのはもっともだ。
粉飾の手口は、海外ファンドに損失を移す「飛ばし」など国際金融取引を駆使した巧妙なものだった。海外の租税回避地や秘匿性の高い金融機関も利用していた。悪質さは際立っていたと言える。
指南役とされる国内大手証券会社の元社員らは、粉飾の共犯として起訴された。さらに、オリンパスから受領した20億円超の裏報酬を海外に隠したとして組織犯罪処罰法違反でも追起訴された。
今回の事件で浮き彫りになったのは、企業のガバナンス(統治機能)の欠如だ。判決も「重要情報が少数の幹部に集中し、経営を監視する取締役会や監査役会は形骸化していた」と指摘した。
悪質な粉飾決算が長期間、チェックされずに続けられてきたことで、日本企業の体質そのものに不審の目が向けられた。それを忘れてはなるまい。
事件を教訓に、各企業は実効性のある内部管理体制の構築に努めるべきだ。上場企業では、社外取締役を選任するケースが増えている。経営監視に外部の視点を生かすことは有効だろう。
監査法人の在り方も問われている。オリンパスの粉飾決算に「適正意見」を出したあずさ、新日本の両監査法人は昨年、金融庁から業務改善命令を受けた。
金融庁は今年3月、決算に疑念がある場合、抜き打ち的な監査の実施を求める新たな監査基準を公表した。厳正な監査に徹し、不正を見過ごさないことが、監査法人の責務である。
ソース:読売新聞YOMIURI ONLINE 2013.7.8 01:42
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130708-OYT1T00013.htm ※依頼がありました
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