★関電転嫁値上げ:「入居ゼロ」でも維持費 原価に算入
※写真 ほとんどが空き室となっている関西電力の社宅=大阪府八尾市で2013年6月16日、長谷川直亮撮影
http://mainichi.jp/graph/2013/06/17/20130617k0000m040090000c/image/001.jpg 今年5月に実施された関西電力(大阪市)の電気料金値上げで、
関電の社宅や寮のうち入居者がいない5物件(計70室)の維持コストが
電気料金算定の原価として申請され、認められていたことが、毎日新聞が入手した内部資料や関係者の話で分かった。
値上げ申請に伴う審査で、空き室の多い物件の維持コストは減額して原価に計上(減額査定)されたことが既に明らかになっている。
しかし、全く利用していない物件の維持コストまで電気料金に転嫁されていたことが新たに判明し、消費者の批判を集めそうだ。
電気料金は、電力会社が電力供給のために支払う必要経費(原価)と利益を回収できるように設定される。
内部資料は、関電が今年の値上げ申請の際、他社から賃借して社宅や寮として使っている
約250物件(計約5000室)の賃借料などのコストを原価に算入するよう求めて経済産業省に提出したもので、
物件ごとの昨年度の入居状況などが記載されている。
資料や同省関係者などによると、問題の5物件は大阪府や和歌山県、兵庫県などにある社宅4カ所と寮1カ所。
いずれも、昨年度の入居者数は「0」、2015年度までの入居見込みも「0」と資料に記されているが、
値上げ申請の際、賃借料全額を原価に算入するよう求めていた。
関電の社宅と寮計約7300室の入居率は約6割にとどまり、経産省の有識者会議は今回、
入居率9割未満の物件のコストについては、入居率に応じた額しか原価に算入しない減額査定を適用し、
コストの内容を初めて検証した。ところが、入居者ゼロの5物件のうち2物件については、
発電所などの近くにあり、電気事業に必要不可欠な施設と判断し、全額の原価算入を認めた。
また、残り3物件についても、コストの一部を原価に算入し、5月からの新しい電気料金に転嫁した。
このうち大阪府東部の物件(4階建て1棟・16室)の敷地は金網フェンスで囲まれ、
「立ち入り禁止」の看板も掲げられている。
関電は今回の値上げ申請で、既に廃止した社宅と寮の維持コストについては、原価算入を求めなかった。
しかし、入居ゼロなのに未廃止の5物件のコストについては原価算入を求めて認められ、現行の電気料金に盛り込まれた。
これらの物件の付近には、空き室がある他の社宅や寮も点在しており、事業に本当に必要かどうか疑問の声も出ている。
毎日新聞 2013年06月17日 02時30分
http://mainichi.jp/select/news/20130617k0000m040090000c.html