【安愚楽牧場事件】 オーナーには黒字、税務署には赤字 決算の数字、使い分け 2013.7.3 12:10産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130703/crm13070312110004-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130703/crm13070312110004-n2.htm 一部抜粋
経営破綻した安愚楽牧場の旧経営陣らによる特定商品預託法違反事件で、同社が
税務当局に「赤字」と申告する一方、出資者には毎年「黒字」と虚偽の報告を続け
ていたことが2日、関係者への取材で分かった。監督する農林水産省は破綻前の
調査でこうした資料を入手していたが、業務を引き継いだ消費者庁は十分な監査や
指導を行わずに矛盾を見逃していた。被害者側は「国の不作為が被害拡大の要因」として
国家賠償請求訴訟を検討している。
同社は確定申告で、純資産が平成19年にマイナス67億円、
20年にはマイナス40億円などと債務超過を示す書類を税務署に提出。
少なくとも11年以降の10年間、法人税を納付していなかった。
一方、出資者向けの事業報告書では、契約満了時に返還される出資金を「売上金」
に計上し、売上金が毎年伸びているように偽装。畜産事業は赤字だったのに、
年間で最大5億円の利益が出たなどと経営の順調さをアピールしていた。
監督官庁の農林水産省は同社が23年8月に破綻する約2年半前の21年1月、
立ち入り調査で財務資料を入手。子会社への貸付金が計上されていないなど
書類上の不備を指摘し、外部監査や財務状況を定期的に報告するように指示した。
その後、同年9月に発足した消費者庁に資料ごと業務を引き継いだが、
同庁は22年7月、同社が経営の改善状況などの報告を申し出た際、
「必要があれば連絡する」と断っていた。
同庁は当時、報告を断ったことについて、「農水省が指摘した不備は改善されていた」としていた。
21年3月末の出資者は約4万8千人、出資額は約2900億円
同社は実施するように指示された外部監査を行わず、破綻時には
約7万3千人、約4300億円に拡大していた。
全国安愚楽牧場被害対策弁護団の紀藤正樹弁護士は「農水省や消費者庁がもっと真剣
に取り組んでいれば、ここまで被害は膨らまなかった。国の怠慢は明らか」と訴えている。