★自民本部と地方 主要公約で党内不一致 参院選へ調整難航
●公約をめぐる自民党本部と地方の「ねじれ」
・米普天間飛行場移設
→沖縄県 昨年の衆院選での地域公約 「県外移設の実現に取り組む」
→政府・自民党の方針 辺野古移設を進める手続きに着手
・環太平洋連携協定(TPP)
→北海道 昨年の衆院選での地域公約 「TPP参加を断固阻止する」
→政府・自民党の方針 交渉参加を決定
・原発
→福島県 昨年の衆院選での地域公約 「県内の原発10基すべての廃炉を実現する」
→政府・自民党の方針 原子力規制委員会の規制基準を満たした原発は再稼働
自民党の地方組織が、夏の参院選で安倍政権の方針とは異なる地域政策を相次いでまとめる構えを見せている。
沖縄県連が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設、北海道連が環太平洋連携協定(TPP)、
福島県連が原発政策で一線を画す可能性がある。政権の主要政策で党内不一致が続けば、
与党としての信頼は大きく失われる。 (清水俊介)
沖縄県連は、普天間飛行場の県外移設を求めている。
安倍政権は日米合意に基づき、同県名護市の辺野古沖に移設させる方針だが、県連は認めない形だ。
沖縄県連は昨年末の衆院選でも県外移設を公約にして戦い、県内四選挙区中、三候補が勝ち、残る一人も比例復活した。
県内では辺野古移設に反対する世論が圧倒的。県連が方針を変えれば、県民から激しい批判を浴びるのは確実だ。
翁長政俊県連会長は先月末、党本部に石破茂幹事長を訪ね、「参院選でも県外移設で戦いたい」と訴えた。
石破氏は「日米の約束事は非常に重い。県内移設で戦ってほしい」と求めたが、翁長氏は認めなかった。
政策のねじれは、これにとどまらない。
TPPに関して、日本政府は七月からの交渉入りを目指す。
昨年の衆院選で党本部は「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対」と公約。
交渉参加を認める余地は残していた。一方、農業が盛んな北海道連は地域公約で「断固阻止する」と示した。
その後、安倍政権が交渉参加を決めたことに、北海道内では「公約違反」との反発が根強い。
このため、自民党の道選出議員には参院選の地域公約で交渉参加を容認するのは難しいとの見方が強い。
福島県連は昨年の衆院選で「県内の原発十基をすべて廃炉」として、脱原発の姿勢を打ち出し、
夏の参院選でも踏襲しようとしている。だが、安倍政権は安全性が確認された原発は順次再稼働させる方針だ。
自民党は今月中に参院選公約を取りまとめる予定。
これらの県連と調整が付かず、二重公約のまま参院選に臨めば、有権者の混乱は避けられない。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013050302000140.html