外資による水源地の買収が相次いでいる問題で、3月中に6県が相次いで水源地を
保全する条例を制定することが、各自治体への取材で分かった。
国は昨年4月に水源地売買の規制を強化した改正森林法を施行したばかりだが、
「国の規制では不十分で守れない」として、罰則付きの条例を制定しようとする自治体も出てきた。
3月の定例議会で水源保全条例を可決するのは、山形、長野、岐阜、富山、石川、福井の6県。
同様の条例は北海道が昨年3月に制定したのを皮切りに、群馬、茨城、埼玉、山梨の5道県が
制定済み。ほかに徳島、高知の2県が25年度中の制定を目指している。
従来の条例と異なり、3月中に制定する6県のうち長野県を除く5県が初めて、地方自治法の
上限となる罰則(過料5万円以下)を設けた。
北海道などの条例には違反者に対し「勧告」や氏名などの「公表」を設けているが、福井県は
「それだけでは不十分で、最大限の罰則を設け実効性を確保した」(森づくり課)と説明する。
林野庁によると、平成23年末までに、外資による森林地買収は49件、計760ヘクタールに上る。
大半は北海道で、山形、群馬、神奈川、長野などの各県でも買収事例が報告されているものの、
明るみに出ているのは氷山の一角とされる。
国も対応に乗り出した。昨年4月施行の改正森林法で、面積の大小にかかわらず所有者名や住所、
土地の利用目的などを所有者が市町村に届け出るよう義務づけた。それまでは1ヘクタール未満の
買収の場合、報告義務はなかった。
ただ、同法に基づいた届け出は「事後」で、国にさらなる規制を求める自治体が続出。
各条例では水源地売買の届け出を事後ではなく、30日から3カ月前までに届け出なければならない
「事前届け出制」にした。「水の王国」をうたう富山県は「届け出が購入後ではまったく意味がなく、
事前に把握することで監視ができる」(県民生活課)という。
また外資が買収した土地の利用目的の届け出欄にはほぼ判で押したように「資産保有」と
書かれているため、条例では土地利用の目的を明確化し、届けるよう義務づけている。
東京財団上席研究員の平野秀樹氏(国土学)は「条例は現場を知る自治体の危機感の表れだ。
今後は監視の目が緩いエリアへの行動が進むだろう。国土の無法化状態はより深刻になる。
住民が注視していける環境づくりが重要だ」と指摘している。
http://www.sankeibiz.jp/images/news/130318/mca1303181332015-p1.jpg SankeiBiz(サンケイビズ) 2013.3.18 13:28
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130318/mca1303181332015-n1.htm