◆アルガルベ杯 ▽A組第2戦 日本1―2ドイツ(8日、ポルトガル・パルシャル)
世界ランク3位のなでしこジャパンは、同2位のドイツに1―2で敗れたが、初招集でチーム最年少の
FW田中美南(18)=日テレ=が前半18分に左足で同点ゴール。
澤穂希(34)=INAC神戸=らに続く史上14人目の代表デビュー戦ゴールを決めた。
チームは佐々木則夫監督(54)就任後初の公式戦3連敗を喫して、2大会連続の決勝進出を逃した。
雨の中、フル出場した最年少なでしこは、ほろ苦い思いとともに快挙を味わった。
「なでしこジャパンでデビューできたのはすごくうれしい。でも負けて悔しい」。
初先発で歴代7位の年少ゴール。田中美は悔しさと喜びを一緒にかみしめた。
開始7分に失点。序盤はシュートまでもっていけない劣勢ムードを背番号26が打ち消した。
前半18分、FW大儀見がDF2人と競り合って落としたボールに反応。
「本当に来るとは思ってなかった。マジか、という感じ」と左足でボールを枠に流し込み、1年前の
同大会決勝で3―4の死闘を演じた相手から流れを奪い返した。
建築関係の仕事を営む父・典生さん(58)が、仕事で訪れたタイで知り合った母・チャリンダさん(47)と結婚。
母がタイ東北部にあるウボンラーチャターニー県の実家に帰省中に誕生。
「南」生まれで、「美しく」というルーツと願いが名前に込められている。その思いをサッカーで表現した。
昨年のU―20W杯ではドイツの準決勝でわずか25分で交代。「あの試合は本当に悔しかった。
借りを返したい」。2月の大分合宿ではU―19代表候補として参加。フル代表とは“区別”されていた。
「一緒に戦ったヤンなでメンバーが(代表予備軍の)チャレンジ枠に入ったのに…。自分だけ何でと思った」。
その悔しさを力に変えた姿を佐々木監督は「ゴールへの意欲がある」とひたむきな姿を評価して抜てきした。
ドイツW杯優勝メンバー9人と一緒に先発で起用した指揮官は当初の途中交代プランを変更。
「90分間できることを確認できた。可能性を感じた」と孝行娘をねぎらった。
田中美も、「ここにきた経験を生かさないともったいない。もっとレベルアップしたい」。
18歳のシンデレラが、なでしこ定着への足がかりをつかんだ。
2013年3月9日06時03分 スポーツ報知
http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/japan/news/20130309-OHT1T00079.htm