東日本大震災の発生から、11日で丸2年となる。この間、埼玉をはじめ全国の警察官が被災地に入り、地元警察を支援した。
行方不明者捜索や警戒活動、被災者保護。福島第1原発事故に直面した福島県警も苦闘していた。「自分たちにできることは
ないか」。埼玉県警は300人の福島出身者がいる。震災をきっかけに、県人会が本格的に発足。故郷への思いを「絆」で結んだ。
《私たちの故郷である被災地において、昼夜分かたず奮闘されている多くの福島県警察官に対し…》
平成23年8月、激励文とともに約800枚のTシャツが福島県警に届いた。送り主は埼玉県警福島県人会。震災を機に正式な
親睦団体として発足した。
「絆がんばろう!ふくしまSAITAMAPOLICE」。胸のロゴに思いを乗せ、Tシャツは相馬、南相馬、双葉、いわき中央、いわき東、
いわき南など各署に送られた。
「あらゆる物資が不足して大変な時期。とにかく必死だった」。震災直後に着任した双葉署の今野大(ひろし)副署長は振り返る。
福島第1原発を管内に、8町村を抱える同署は現在、川俣町の福島署分庁舎3階の道場に仮の拠点を設けた。
庁舎は原発から50キロだが、警戒区域の警備も担当し、署員は線量計で被曝(ひばく)量を管理。見えない敵と戦う毎日だ。
署員は白い防護服の下に送られたTシャツを着込み、活動にあたった。
「故郷の力になりたかった」。震災2カ月後、強い希望で同署に配属された渡辺知之巡査長(29)もシャツを受け取った。
「遠くで働く県出身者の応援がうれしかった。いつか恩返ししたい」と力を込める。富岡町出身で双葉高校を卒業した地元っ子。
故郷をパトロールするたび「人1人いない。知らない場所に来たようだった」と心を痛めてきた。
管内では住民の帰還へ除染などが続く。不在の民家や避難者を見守るのも大切な仕事だ。「住民に何が役立ち、喜ばれるか
いつも考えている」。渡辺巡査長はこう語り「全国の支援に心から感謝している。今後も被災地に関心を持っていただければ」
と呼びかけた。
同署は3人が殉職した。今も行方不明の佐藤雄太警部補=当時(24)=は今野副署長の警察学校教官時代の教え子だった。
今野副署長は警察学校副校長に異動する予定だ。「後ろ髪を引かれるが、震災の現実や全国の警察官の心意気を学生に伝えて
いきたい」。
埼玉県警福島県人会発起人の1人、斎藤文彦広報課長(53)は「たいしたこともできず申し訳ないが、故郷を守ってくれる同志を
これからも後押しできれば」と話す。福島人の心の絆は続いていく。
ソース(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130309/stm13030923070002-n1.htm http://sankei.jp.msn.com/region/news/130309/stm13030923070002-n2.htm 写真=贈られた「絆」Tシャツを手にほほえむ福島県警双葉署の今野大副署長(左)と渡辺知之巡査長。
双葉署は他署の道場に間借りしている
http://sankei.jp.msn.com/images/news/130309/stm13030923070002-p2.jpg 写真=福島第1原発周辺の警戒区域で検問にあたる埼玉県警の警察官
http://sankei.jp.msn.com/images/news/130309/stm13030923070002-p1.jpg