氷見えん罪事件の被害者、柳原浩さんが国や県などに対して損害賠償を求めている裁判で、4日、
当時の捜査関係者の証人尋問が初めて行われました。
この裁判は、柳原浩さんが富山県警のずさんな捜査によって、強姦事件の犯人にされたとして、国と県、
そして捜査を担当した警察官と検察官に対し、損害賠償を求めているものです。
4日、富山地方裁判所で開かれた19回目の口頭弁論では、当時の捜査関係者2人の証人尋問が初めて行われました。
最初に証言台に立ったのは、捜査の陣頭指揮にあたっていた、当時の氷見警察署の刑事課長です。
尋問は、午前10時から昼休みを挟んで3時間あまりに及びました。
原告代理人の質問です。
Q「現場に残された毛髪や精液が、柳原さんのものと一致せず、犯行に使われたサバイバルナイフやチェーン、
靴が発見されないのに犯人とするのはあまりにも一方的だ」
【刑事課長】A「様々なことを今思うと、もっと詰めた検討が必要だった」
Q「犯行現場に残された足跡と一致する星型のマークが入った靴が柳原さんの車の中にあったと捜査指揮簿にあるが写真はないのか?」
A「撮っておりませんでした」
Q「柳原さんは星型の靴を持っていないので、あるわけがないが誰が見たのか?」
A「捜査員が見つけた」
Q「嘘ですね?」
A「当時は真実だと思った」
当時の氷見署の刑事課長は、「分からない」「記憶にない」と 答える場面も多く、
柳原さんは口を結んだまま証人を厳しい表情でじっと見つめていました。
続いて、午後3時過ぎから行われたのは、捜査全体を指揮していた当時の県警捜査1課の課長補佐です。
課長補佐は平成14年の8月に氷見市内でおきた別の事件での 捜査会議後、当時の氷見署長から
柳原さんが逮捕されていた、その年の1月と3月の事件に続き「こんなに類似する事件が発生するものか」と
疑いを持つ発言を聞きましたが「似たような事件はおこりますよ」と言ってそれ以降は話をしなかったとしました。
4日の証言者はいずれも捜査が不十分だったとしましたが、違法性はなかったとしています。
今後の証人尋問の予定です。
当時の捜査を指揮していた幹部や担当していた警察官合わせて5人のほか、原告の柳原さん本人や
被告となっている取調官と検察官の尋問が行われる予定です。
次回の口頭弁論は、5月27日に開かれ、似顔絵を描いた担当者など2人の尋問が行われます。
北日本放送株式会社 KNB NEWS|KNB WEB 2013 年 03 月 04 日 18:26
http://www2.knb.ne.jp/news/20130304_35723.htm