イタリア総選挙(上下両院)は24日、投票が始まった。有権者数は約5000万人。
投票は25日午後3時(日本時間同11時)で締め切られ、即日開票される。
先行する中道左派連合を反緊縮派が猛追しており、モンティ暫定首相(69)の構造改革路線が継承されるかどうかが焦点。
専門家は「中道左派主導政権が樹立される公算が大きい」と予測しつつ、
中道右派連合のベルルスコーニ前首相(76)らが勝利すれば「イタリアの信用が低下する」と警戒する。考えられるシナリオを探った。
◇シナリオその1:中道左派連合が勝利
ベルサーニ書記長(61)率いる民主党を軸とする中道左派連合が下院(定数630)で過半数を獲得するケース。
単独では上院(任命制終身議員を除く定数315)で過半数に達しない恐れもあるが、
モンティ氏の中道勢力連合「イタリアのためモンティと共に」の助けを得れば政権樹立が可能になる見通し。
この場合、改革継続路線の「ベルサーニ首相−モンティ副首相・経済相」のコンビとなる公算が大きく、
ローマの私立・社会科学国際自由大学(LUISS)のロベルト・ダリモンテ教授(政治学)は
「イタリアにとって好ましい結果で、国際市場・投資家も安堵(あんど)する」と見る。
労働市場改革で中道左派連合メンバーの左派政党「左派環境自由党」(ベンドラ党首)をどう説得するかが政権安定のカギ。
世論調査会社SWGのマウリツィオ・ペサート副社長は「政権安定でベルサーニ、モンティ両氏の利害は一致し、
ベンドラ氏も連立政権を崩壊させたくはないはずだ」と予想する。
◇シナリオその2:反緊縮派が勝利
波乱要素は、大衆迎合主義色の濃いベルルスコーニ氏の復活と、
既成政党批判で支持を広げてきたコメディアン、ベッペ・グリッロ氏(64)の政治団体「五つ星運動」の台頭だ。
ダリモンテ教授は「ベルルスコーニ氏の復活は反緊縮世論の表れで、五つ星運動の台頭は体制に対する国民の反発が理由」と解説し、
「万が一、ベルルスコーニ氏が勝つようなことになれば事態は極めて深刻で、イタリアの信用は間違いなく失墜する」と警戒する。
政治スキャンダル続きのイタリアで「五つ星運動」は既成政党に愛想を尽かした国民の不満を吸収、
中道左右両陣営支持層を切り崩しており、自由国民を抜き下院第2勢力に躍り出る可能性もある。
◇シナリオその3:大連立または再選挙
上院で中道左右両陣営の勢力が伯仲し、いずれも過半数を握れない場合、
中道左派と中道右派の「大連立」の選択肢が浮上する。
ベルルスコーニ氏は2年間の限定付きで大連立を受け入れる用意を示しているが、「反ベルルスコーニ」を掲げるベルサーニ氏は消極的だ。
八方手を尽くしても安定政権ができない場合、「数カ月後に再選挙」の可能性もあり得る。
◇イタリア総選挙
昨年12月のモンティ暫定首相の辞任に伴い解散された上院(任命制終身議員を除く選出議員定数315)と下院(定数630)の議員を選ぶ選挙。
いずれも、有権者が候補者個人でなく政党や政党連合のシンボルマークを選ぶ比例代表制。
選挙後に発足する政権を安定させるため、最多得票の政党・政党連合に下院では最低340議席が保証され、
上院では20の州(選挙区)ごとに割り当てられた定数の55%の議席が与えられる。
上下両院はほぼ同等の権限を持つが、議席配分方法が違うため、第1勢力が異なる「ねじれ」が生じる可能性がある。
両院議員の任期は5年。【ローマ福島良典】
毎日新聞 2013年02月24日 20時18分
http://mainichi.jp/select/news/20130225k0000m030052000c.html [写真]イタリア総選挙が始まり、ローマの投票所で投票する修道女ら=2013年2月24日、AP
http://mainichi.jp/graph/2013/02/25/20130225k0000m030052000c/001.html ▼関連スレ
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