日本の政府機関や企業などを対象にした国内外からのサイバー攻撃関連の通信が、平成24年だけ
で少なくとも約78億件もあったことが10日、総務省所管の独立行政法人、情報通信研究機構
(NICT)の調査でわかった。
NICTは国の研究機関として唯一、サイバー攻撃の大規模観測を実施しているが、件数は17年
の調査開始から増加し続けており、24年は過去最多。
サイバー攻撃の多様化が進むなか、他国との連携した対策が求められている。
調査は、NICTサイバーセキュリティ研究室(東京都)が開発した観測用センサーを、日本各地
の大学や企業などに配置して実施。
サイバー攻撃かどうかは、通信の種類などから判断しており、一部の発信元には警告メールを送っている。
サイバー攻撃関連の通信は調査を始めた17年が約3・1億件だったの対し、5年後の22年には
20倍近い約56・5億件にまで増加。
23年は東日本大震災で一部の観測センサーの機能しない時期があったために減ったが、24年は
78億件にまで増えた。
増加の要因には、同研究室が観測網を充実させたこともあるが、サイバー攻撃の多様化も背景にある。
ウイルスに感染したパソコンが何者かに遠隔操作され、他のパソコンに攻撃をしかける手法が浸透。
同研究室では「攻撃の成功率は定かではないが、手口の巧妙な攻撃が広がっている」(同室)と危
機感を示す。
同研究室によると、23年からの2年間で計約25億件と発信元の国として最多だった中国では、
ウイルス感染率が高いとされる違法コピーのパソコン用基本ソフト(OS)が多く出回っている。
違法コピーの場合、遠隔操作ウイルスや、他のパソコンに自動的にウイルスを拡散させる攻撃を仕
掛けられるケースが後を絶たない。
計約23億件と中国に続いて多い米国からも、遠隔操作ウイルスの感染などによる攻撃が見られるという。
政治的な関係悪化がサイバー攻撃に結びつく例も指摘されている。
昨年9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化以降、中国からの日本の官公庁への攻撃が急
増したという報告もある。
ソース:産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130211/crm13021103070001-n1.htm