【フランス】オランド政権、富裕層向け「所得税75%」増税案を修正へ…重い税負担を嫌い富裕層が次々と「海外脱出」、違憲判決も下る

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 フランスのオランド政権は所得税の最高税率を75%に大幅に引き上げる増税案を修正する方向で検討に入った。重い税負担
を嫌って富裕層が外国籍を取得する「海外脱出」が相次ぐうえ、違憲判決も下ったからだ。中道左派のオランド政権は高所得者
への課税で債務危機対応や所得の再配分を進める方針だったが、早くも政策の軌道修正を迫られた。

 17年ぶりの社会党政権として昨年5月に発足したオランド政権は、富裕層から低所得者への所得再配分を掲げる。2013年から
は2年間の時限措置で年収100万ユーロ(約1億1500万円)を超える個人の所得税率を、現行の約40%から一気に75%に
引き上げる案を示した。

 税負担の大幅増を嫌った富裕層は外国籍の取得に動き始めた。昨年9月にはモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)の
ベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)がベルギー国籍を申請。有名俳優のジェラール・ドパルデュー氏は12月に
「仏政府は成功を収めた人や、才能がある人を罰しようとしている」と批判するコメントを発表。今月6日にはロシア南部ソチを
訪れ、プーチン大統領からロシア国籍を示すパスポートを直接受け取った。

 企業経営者や富裕層の多くが脱出先に選ぶのが隣国ベルギー。12年中にベルギー国籍を申請したフランス人は126人と、
前年から倍増した。ヒトやモノの自由な移動が認められる欧州では、日本に比べて外国籍取得に抵抗が少ない。ベルギーは
税制で富裕層が優遇されており、「資産家の逃避が本格化している」(仏紙ルモンド)。ロシアでも富裕層の所得税率は10%台
と低い。

 仏エロー首相はドパルデュー氏らの外国籍取得を厳しく批判。富裕層らに理解を呼びかけたうえで、計画通りに所得増税を
実施しようとした。ところが、今度は司法機関である憲法会議が増税に待ったをかけた。

 野党の訴えで増税法案を審査していた憲法会議は12月末に「税の公平性に反する」として、違憲判断を下した。増税案は
個人が対象で、夫婦のいずれかが100万ユーロの所得があれば75%が適用される一方、夫婦の所得がそれぞれ100万ユーロ
をわずかでも下回る場合には対象外となる。世帯収入が多いのに税負担が軽くなる可能性がある点が「公平性に反する」と
問題視された。

 仏政府は所得増税案を修正したうえで、13年の予算編成を見直す方針を表明した。オランド大統領は「富裕層に一段の負担
を求めることは変わらない」と述べ、法案修正を小幅にとどめる考え。だが、公約である所得再配分を実現するための増税法案が、
富裕層の海外脱出などによって修正を迫られた影響は大きい。オランド政権と経済界との摩擦も広がっている。

ソース(日本経済新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0807W_Z00C13A1FF2000/