脳波で制御する義手、14週間の訓練で好成果 米研究
http://img.afpbb.com/i-img/image_for_msafari.php?article_id=10010496&mode=normal_detail&.jpg 脳波によって制御する義手を使い、「コーン」を積み上げる四肢まひ患者のジャン・シュールマン
(Jan Scheuermann)さん(2012年12月17日、米ピッツバーグ大健康科学大学院提供)。
(c)AFP/University of Pittsburgh Schools of the Heath Sciences/Ronald Fontana
【12月18日 AFP】米国防総省関連機関が支援する研究チームが、脳波で制御する義手の最先端を
いくロボットハンドを製作したと、17日付の英医学専門誌ランセット(The Lancet)に発表した。
さらに開発を重ねれば「長期のまひを抱える人も、日常生活を営むための手の位置や向き、動作などを
命じる自然で直感的な指令信号を回復しうる」とチームは期待をかけている。
研究者たちが長年関心を持っているのは、動作に関連する脳の部位の脳波をインプラントによって拾い、
その信号をコンピューターのコードに書き換え、義肢に動作指令を送る「ブレーン・マシン・インターフェース」
(BMI)だ。
今回の研究ではこのうち最初の脳波をコンピューター・コードに書き換える部分(アルゴリズム)が大幅に
改善された。研究チームが拠点とする米ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)のアンドリュー・
シュワルツ(Andrew Schwartz)教授は「無傷の脳が四肢の動作を制御する方法に非常に似せたコン
ピューター・アルゴリズムに基づいたモデルを使い、従来とはまったく違う角度から取り組んだ結果、従来
研究よりもずっと正確で自然な動きを義手にさせることができた」と語っている。
■まひの女性、2日目から義肢を操作
同チームは、脊椎小脳変性症と呼ばれる病気で首から下がまひし、四肢が動かせない52歳の女性の
左脳の運動皮質に二つの微小電極アレイを埋め込んだ。手術から2週間後、義肢が装着され、女性は
14週間の訓練を開始した。ところが2日目にはもう自分の意志で義肢を動かせたという。
この訓練では、手でつかむ、小さな物を動かす、「コーン」を重ねる、ボールを弾ませるなど9つの課題の中で
スキルの獲得を目指したもので、最終的に女性は最高91.6%という高確率で課題をこなし、しかも開始時
よりも30秒以上、早く完了できるようになった。
研究チームでは本当の変化だけを把握するために、偶然や事例証拠を排除する目的で設計した徹底した
基準試験を用いており、今回の例は確かに成功だと自信を持っている。
次の段階としては、できれば有線ではなく無線で患者の脳と義手を接続し、義手の表面が熱いか冷たいか、
あるいは義手が触っている面が粗いか滑らかかといったことを、ロボットハンドに内蔵したセンサーが使用者に
伝えられるどうかだろう。
今回の研究の出資元の一つは、米国防総省の技術開発機関、国防高等研究計画局(Defense
Advanced Research Projects Agency、DARPA)で、同局では傷病退役軍人による利用を含め、未来
技術の軍事利用を研究している。(c)AFP
AFPBB News 2012年12月18日 16:52 発信地:パリ/フランス
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2917362/10010496 High-performance neuroprosthetic control by an individual with tetraplegia
Jennifer L Collinger PhD, Brian Wodlinger PhD, John E Downey BS, Wei Wang PhD, Elizabeth C Tyler-Kabara MD,
Douglas J Weber PhD, Angus JC McMorland PhD, Meel Velliste PhD, Prof Michael L Boninger MD, Prof Andrew B Schwartz PhD
The Lancet, Early Online Publication, 17 December 2012 doi:10.1016/S0140-6736(12)61816-9Cite or Link Using DOI
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961816-9/fulltext ビデオ
http://www.thelancet.com/multimedia Motorlab, University of Pittsburgh
http://schwartzlab.neurobio.pitt.edu/ >>2あたりに続く