危ない会社予備軍45社
決算書に危険なサイン
今年倒産した上場企業は、橋梁(きようりよう)工事のサクラダ(11月)、ファンモーター製造のシコー(8月)、半導体の
エルピーダメモリ(2月)など6社ある。そのすべてが、直近の四半期決算に「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイング・
コンサーン=GC注記)を付けられていた。
それだけに、市場はGC注記企業を“危ない会社”として認識することが多い。12年9月中間期には、海運の第一中央
汽船や情報・通信のガーラなど38社にGC注記があった。
「実は、危険なサインがもうひとつあります。GC注記ほどではないが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が
存在する場合に明記する『重要事象』です。12年9月中間期は45社ありました」(東京商工リサーチ情報部の増田和史氏)
市場関係者によると、「重要事象は“危険な会社の予備軍”という位置づけ」だという。予備軍には、経営不振にあえぐ
シャープやネット通販のケンコーコム、消費者金融のアイフル、写真プリント店のプラザクリエイトなど身近な企業も多い(別表参照)。
<半数以上が新興市場>
「特徴的なのは、新興市場が多いことです。数年前の上場ブームでマザーズやジャスダックに上場したものの、その後、業績が
思わしくなくなった。そんな企業が目立ちます」(増田和史氏)
確かに45社のうち、半分以上の26社が新興市場への上場組だった。
「GC注記と重要事象はハッキリとした境目がありません。だから、どちらも同レベルで注意したほうがいいという投資家も大勢
います」(市場関係者)
市場は「円安・株高」に沸いているが、危険水域にいる会社も少なくない。しかも重要事象は、危険度リスクの高いGC注記と
違って見逃しがち。警戒が必要だ。
【重要事象の記載があった45社】
◇シャープ/東証1部/電気機器 ◇アーバンライフ/大証2部/不動産業
◇SEED/JASDAQ/建設業 ◇フェローテック/JASDAQ/電気機器
◇プロルート丸光/JASDAQ/卸売業 ◇コムシード/名証セ/情報・通信
◇徳倉建設/名証2部/建設業 ◇燦キャピタルマネージメント/JASDAQ/サービス業
◇ケアネット/マザーズ/サービス業 ◇トランスジェニック/マザーズ/サービス業
◇ジパング/JASDAQ/鉱業 ◇価値開発/東証2部/不動産業
◇セキュアヴェイル/JASDAQ/卸売業 ◇大東紡織/東証1部/繊維製品
◇ケンコーコム/マザーズ/小売業 ◇21LADY/名証セ/小売業
◇ユニバーサルソリューションシステムズ/JASDAQ/卸売業 ◇インテア・ホールディングス/マザーズ/情報・通信
◇セブンシーズホールディングス/東証2部/情報・通信 ◇テクノマセマティカル/マザーズ/情報・通信
◇キーウェアソリューションズ/東証2部/情報・通信 ◇ニッコー/名証2部/ガラス・土石製品
◇高砂鉄工/東証2部/鉄鋼 ◇エンシュウ/東証1部/機械
◇東京機械製作所/東証1部/機械 ◇田淵電機/大証2部/電気機器
◇富士通コンポーネント/東証2部/電気機器 ◇池上通信機/東証1部/電気機器
◇リアルビジョン/マザーズ/電気機器 ◇東京カソード研究所/JASDAQ/電気機器
◇新日本無線/東証1部/電気機器 ◇プラザクリエイト/JASDAQ/サービス業
◇ホロン/JASDAQ/精密機器 ◇アビックス/JASDAQ/その他製品
◇大興電子通信/東証2部/卸売業 ◇銀座山形屋/JASDAQ/小売業
◇フューチャーベンチャーキャピタル/JASDAQ/証券・商品先物 ◇アイフル/東証1部/その他金融業
◇スターホールディングス/JASDAQ/証券・商品先物 ◇フジトミ/JASDAQ/証券・商品先物
◇小林洋行/東証1部/証券・商品先物 ◇グラウンド・ファイナンシャル・アドバイザリー/JASDAQ/その他金融業
◇フォーバル・リアルストレート/JASDAQ/情報・通信 ◇ウィルソン・ラーニング ワールドワイド/JASDAQ/サービス業
◇ベリテ/東証2部/小売業 (東京商工リサーチ調べ)
日刊ゲンダイ 2012年12月8日 掲載
http://gendai.net/articles/view/kenko/140019