旧ソビエト“日本人保護せず”外交文書
終戦直後、30万人余りの日本人が取り残された朝鮮半島北部で、現地を占領した旧ソビエトが、
日本人の保護に応じなかったことを記した外交文書が新たに見つかり、大勢の日本人が死亡した
状況を知るうえで貴重な資料として注目されます。
この外交文書は、戦後の引き揚げを研究している国文学研究資料館の加藤聖文助教がスウェー
デンで見つけたもので、1945年9月に作成されました。
当時、旧ソビエトは日本の植民地だった朝鮮半島北部を占領し、北緯38度線より南に人が移動
するのを禁じたため、現地には30万人余りの日本人が取り残され、日本政府は旧ソビエトに保護
するよう要請していました。
今回見つかった文書の中で、旧ソビエトは日本の代理として交渉にあたったスウェーデンに対し「日本の
地位は敗戦によって大きく変わった」として保護の要請に取り合わず、また、スウェーデンはアメリカに
占領された日本の代理を果たす必要はないと主張しています。
結局、朝鮮半島北部に取り残された日本人の多くは保護されず、飢えや寒さ、それに旧ソビエト兵の
暴行などに遭い、厚生労働省によりますと、およそ3万5000人が死亡したとみられています。
加藤助教は「当時、厳しい状況に陥っていた日本人に関して、救済の求めが拒絶されたことを示す
もので、旧ソビエトの具体的な主張を記した文書が見つかったのは初めてだ」と説明しています。
NHK 12月7日 4時55分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121207/k10014016161000.html